一見チョコレート屋とは気づかない店構え

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札幌市東区にある「カカオラボ・ホッカイドウ」。ここは毎週金・土の計8時間しか営業していないことで話題のチョコレート工房です。一体なぜこんなに短いのか? その理由を探りに行ってきました。

店内に展示されている原材料のカカオ豆

■ 原産国、だけじゃない「カカオ豆」の仕入れ先

地下鉄東区役所前駅から徒歩7分。店内に入るとチョコレートの甘い香りとともに、香ばしい香りが広がります。同店では、チョコレートの販売だけではなく、併設されている工房で焙煎から製造までを行っているそう。ただ販売しているだけではなかなか出ない、工房併設ならではの香ばしい香りにチョコレートへの期待感が高まります。

ここのチョコレートは、70%のカカオと30%の砂糖のみで作られているのが特徴。そのカカオ豆に大きなこだわりがあるんです。通常、さまざまなカカオ豆を混ぜたり、原産国だけに絞って作られることが多いチョコレートですが、同店では原産国はもちろん、カカオ豆が栽培された村や農協単位で使用したり、他の地域の豆は混ぜない工夫がというこだわりが。これらの豆のなかには、店主の鈴木さんが実際に中南米に赴き、仕入れたものもあるんだとか。

例えば「ダーク・チョコレート」(800円)は、ドミニカ共和国のコナカド農協の有機フェアトレードカカオを使用しています。食べ口は軽く、マイルドな苦味を感じますが、最後にはナッツのような余韻が残ります。はじめは、ナッツが入っているのかな? と思ってしまうほど、ナッツの風味が豊かに香ります。チョコレート好きの人への贈答用としてもおすすめです。

どのチョコレートもおいしく、産地によって驚くほどの違いが感じられます。なぜ週に2日しかお店を開けないのでしょうか。その理由は、店主の鈴木さんが焙煎からチョコレートにするまで全て一人で行っているから。「豆ごとに分けてチョコレートを作っているので、一度に作ることができないんです。なので、どうしても製造に5日かかってしまいます。本当はもうちょっと開けたいんですけどね」

同店で作られるチョコレートは、サクッとした食べごたえが特徴ですが、鈴木さんによれば「欧米では滑らかな口溶けこそが良いチョコレート」とされているそう。しかし、滑らかな口溶けにするには、カカオ豆をかなり細かく挽く必要があり、そうするとカカオ本来の風味が薄くなってしまうんだとか。そのため同店のチョコレートは、カカオ豆を粗挽きにし、わざとカカオの風味が強烈に感じられるようにしているそうです。

■ 元ヨットエンジニアからチョコレート職人へ

元々ヨットのエンジニアをしていたという鈴木さん。しかし、長引く不況の影響でヨット需要が減り、徐々に仕事がなくなっていったそう。そんななか、趣味でそば打ちやコーヒーなどを始めたそうです。その一つがカカオ豆から作るチョコレート作り。徐々に納得のいくチョコレートができたころ、レストランのシェフに味見をしてもらったところ「これはもうプロの味だ」とお墨付きをもらい、この「カカオラボ・ホッカイドウ」を始めたんだとか。

実際に現地に赴き、仕入れも行う店主の鈴木さん。同店では、購入前に食べ比べもできます。「ぜひ食べ比べて、お気に入りのチョコレートを見つけてください」と鈴木さん。週に二日と、手に入れるのも大変なチョコレート。自分用もいいけれど、プレゼントにするともっと喜ばれそうですね!

■住所:札幌市東区北9条東7-1 ■電話:011・776・7929 ■時間:14:00〜18:00 ■休み:日曜〜木曜

<ライター/Noughts(中田徹)>(北海道ウォーカー)