パソコン大掃除して、きれいな作業環境で新年を迎えたい (写真:リチャード / PIXTA)

そろそろ正月休みの足音が聞こえてくるこの時期。最後の最後に、大仕事が1つ控えている。大掃除だ。

オフィスの掃除は専門の業者に頼んでいる会社も増え、ペーパーレス化がすすんで紙の書類が減っていることもあり、「それほど掃除するところはないでしょう」という人も多いかもしれない。

毎日使っているからこそ大掃除を


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しかし、そんな中でも、目を背けられない大掃除の必須事項が「パソコン」だ。言うまでもなく、多くの職種で常に触らざるをえないビジネスツール。ほぼ毎日触れている“商売道具の相棒”を、掃除している人は少ないのではないだろうか?

よくみたらキーボードは黒ずみ、ディスプレイは薄汚れ。さらに、デスクトップ上にはファイルが乱雑に並んでいる、ということはないだろうか?

「年1回くらいは、パソコンの掃除をしたほうがいい。たとえば毎日手で触れるキーボードは、ゴミや雑菌が付着するため『トイレよりも汚い』ともいわれますからね」と、話すのは、テクニカルライターの芹澤正芳さんだ。

「さらに本体にホコリがたまったり、ハードディスクの中に、無駄なファイルが多かったりするとパソコンの処理能力が下がる。パソコンを掃除しないと、業務効率の低下にもつながります」(芹澤さん)

そこで今回は、「パソコン周りの大掃除法」を芹澤さんに伺った。先輩や上司たちから、一方的に「デジタルに強いだろ。若いし」と思われがちな、若手社員の方々にお届けしたい。

まずは最も汚れがつきやすいキーボードから。

キーボードの汚れは、文字の書かれたキー(キートップ)一つひとつが手の脂などで黒ずんでベタつくのと同時に、キーとキーのすき間にホコリや髪の毛が入り込んでいることが多い。ついでにおやつに食べたポテトチップスの破片や、先輩が出張先で買ってきた信玄餅のきなこなどが入り込んで、すき間の下を侵略していたりする。

そのため、用意したいのはまず「エタノール」と「エアダスター」である。エタノールは、コンビニやスーパーで売っている消毒用エタノールスプレーでOK。まずこれをかわいた布きれに染み込ませたうえで、キートップを拭いていく。もちろん、このときはパソコンの電源を落としてから行おう。

キーは外せるので、洗濯するのも選択肢?


キーボードの”キー”は専用の工具を使えば簡単に取り外すことができる(筆者撮影)

これだけでみるみる黒ずみは取れ、ベタベタしていた肌触りも、新品同様に変わっていく。さらに、すき間に入り込んだホコリは、ノズルから勢いよく空気を吐き出すスプレー缶「エアダスター」の出番だ。シュ!と勢いよくキーの間に吹き込めば、ホコリが勢いよく飛び出てくれる。

「もちろん、これだけでもキレイになりますが、年に1度の大掃除なら、キーを外してキレイにするのがおすすめですね」(芹澤さん)

案外知られていないが、基本的にほとんどのデスクトップパソコンのキーボードのキー(キートップ)は取り外せる。ドライバーなどで引き抜くこともできるが、専用のキー引き抜き工具が、数百円でパソコンショップやAmazonなどで売っているので、事前に購入しておくといいだろう。これを使ってキーを1つずつはさんで、ガキッと引っこ抜いていく(写真)。壊れそうで怖いかもしれないが、そもそも取り外しできる構造だし、キーボードはハードに扱われることを想定しているので大丈夫だ。

「こうしてすべてのキーを取り外したら、これを洗濯ネットに入れる。私の場合は、これを洗濯機で洗っちゃいます」(芹澤さん)

いや、いくらなんでもハードに扱いすぎだろう、とも思うが、実際、洗濯洗剤を使って普通に洗濯してしまう人は多いという。洗濯機を使わなくても、洗濯ネットに入れて、風呂桶などに中性洗剤とお湯を入れて、さっともみ洗いしてもいい。終わったあとはすすいでタオルでふきとって、自然乾燥させるだけ。キーを一つひとつエタノールでふくよりも極めて簡単かつ豪快にキーをキレイにできる、というわけだ。

「さらにすべてのキートップを取った本体に心置きなくエアダスターをふきかけてホコリを取ってください。そして乾いたキートップをまたガチガチとはめ込んでいけば大丈夫」(芹澤さん)

ただ、1つだけ注意点がある。それは、「あれ、Hのキーってどこだっけ……」などと取り付け直す段になって、キーの位置がわからなくなること。それを避けるために、取り外す前にデジカメでキーボード全体を撮影しておくと安心だ。


キーボードの隙間やパソコン本体の内部のほこりはエアダスターで一気に吹き飛ばす (写真:Graphs / PIXTA)

パソコン本体はまず筐体(きょうたい)部分を、キーボード同様に、エタノールをつけた布でふきとるのは基本所作。ホコリなどがつくため、普段からこまめにやっておきたいが、大掃除で手をつけるならば、内部である。

「これももちろんデスクトップのパソコンに限りますが、本体のカバーは簡単に外せます。年に1回はこれを開けてエアダスターでホコリやゴミを飛ばすのは必須ですね」(芹澤さん)

なぜか? パソコン本体は作動中、CPUを中心に熱を持つ。これを冷却するためにCPUの近くには「ファン」が付いているが、このファンの周辺に最もホコリがたまりやすいからだ。ホコリがたまるとファンの威力が弱まり、CPUに熱がこもりやすくなる。

「するとCPUに熱がこもってしまう。少し前のパソコンだと故障の原因になりましたが、最近のCPUは、熱を持つと、それ以上ムリしないよう、『処理能力が下がる』ように設計されています。これこそパソコンの掃除をしないと仕事の効率が下がる理由です」(芹澤さん)

面倒でも、年に1度は本体を開けて、丁寧にエアダスターで本体にたまったホコリをファンやCPU周りを中心に徹底して取り除きたい。

冷却機能の低下はパソコン能力にも影響

「ディスプレイもエタノールでキレイに……」といきたいところだが、これはNGだ。液晶画面は各社が美しく映像を出力できるよう、コーティングなどをしている。これらは繊細なものが多いため、エタノールや洗剤などを使うと、これがはがれ、画面に傷がついたりするリスクがある。

「ティッシュやタオルといった繊維が粗いもので乾拭きするのもオススメしかねます。やはり画面に傷をつけることもありえるので」(芹澤さん)

そこで使えるのが家電量販店などでも売っている「ディスプレイ用クリーナー」だが、わざわざ専用のものを買わずとも、「メガネ拭きの布」で代替できるという。繊維が極めて薄いため、液晶画面の繊細なコーティングも傷つけない。あくまでこれで表面を拭き取る感じで使う。ゴシゴシと力強く磨くと、やはり傷がつくこともあるので気をつけたい。

また本体で見落としがちなのが、USBなどのコネクタ(差し込み口)だ。以外とここにホコリがたまる。いざ、USB機器をつなごうとしたとき、動作しない……というのは、実は大抵、差し込み口にホコリやゴミがたまっているからだという。

「掃除をするときはコネクターの差し込み口にもエアダスターを吹き付ける。普段使わないコネクターには、専用のキャップをつけておくとホコリがたまらずにすみます。数個セットが100円程度で売っています」(芹澤さん)

ちなみにノートPCの場合は、本体やキーボード部分はエタノールでの拭き取り、キーボードや差し込み口はエアダスターで対応。そして画面はメガネ吹きで拭く、というのが正解だ。キートップが抜けない機種がほとんどなので、注意したい。

実のところ最も大掃除しておきたいのが、パソコンの本当の内部、ハードディスクの中身かもしれない。大抵1年も使えば、パソコンの中には、ムダなファイルがどっさりと入ってくるからだ。

とくに他部署や取引先からメールで届いたテキストデータやエクセルファイル、画像データなどをダウンロード。しかし、以前取り込んだものを改めてダウンロードしてしまい、知らず知らずのうちに同じ内容のデータがパソコン内のどこかしらに重複して存在している人は多いものだ。

「こうした重複するデータはまったく意味がないうえに、じわじわとハードディスクの容量を圧迫します。かといって大抵、微妙にファイル名を変えて保存していたりするので、自力で探すのは難しい」(芹澤さん)

1年分のファイルをまとめて、あとは検索機能を活用

そんなとき使えるのが「File Many」というフリーソフトだ。これをインストールした後、重複ファイルを探したいフォルダを指定。「検索」ボタンをクリックするだけで、フォルダ内の重複ファイルを見つけ出して、一覧表示をしてくれる。実際のデータの中身やファイルサイズで「保存した名前は違うが中身は同じ」というファイルをあぶり出してくれるので、片方をその場で削除すればいい。

「ムダなデータがパソコン上にあれば、やはり処理スピードは多少遅くなっていく。年に1度はこうしたファイルの大掃除もやっておきたいですね」(芹澤さん)

また、そもそもファイルの整理が苦手で、デスクトップ上にやたらと作業中のデータが乱立していたり、中途半端に分類したファイルをいくつもつくって「何がどこにあるかわからない」という、カオスなファイル管理をしているひとは多いはずだ。こういうタイプは、むしろ「仕事のデータは1年間分、すべて1つのファイルにまとめて、とにかくそこに保存しておく」という手がおすすめだという。

「今はパソコンの検索機能が高いので、中途半端にデータ名を工夫したり、ルールづけしてファイルを分けるよりも、1つのファイルに入れておいて“検索”で使うデータを見つけるほうがムダがない。ファイルを指定して検索すれば『拡張子』『日付』『データ名』などで並べ直せるし、データ内のテキストなどでも素早く検索してくれる。かつてのように検索時間もかかりませんからね。ただし、ファイルが複数にわたると面倒だし、時間もかかる。だから1つのファイルに入れておくというのが重要」(芹澤さん)

こうして外から内からパソコンをクリーンアップすれば、年明けからはすっきり晴れやかな気持ちで仕事始めを迎えられるだろう。ついでにだれかの帰省土産の信玄餅のきなこも、まだまだ存分にキーボードのすき間に落とせるはずだ。