WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 まもなく迎えるニューイヤーから新たに施行されるルールが、R&A(英国ゴルフ協会)とUSGA(全米ゴルフ協会)から発表された。

“レキシー・トンプソン・ルール”とも言われる、このルール改正は2点。実際のルール規定にはないのだが、「大会中、視聴者からの電話やメールによるルール違反の指摘は取り上げない」ことと、「選手が違反に気づいていなかった場合は、スコア提出後でも”スコア誤記”のペナルティーは科さない」ことが、ローカルルールとして公示され、米PGAツアーなど世界の主要ツアーでも採用されることが決まった。

 そもそもこの改正は今年4月、女子メジャーのANAインスピレーション(カリフォルニア州、ランチョ・ミラージュ)で起きた出来事に端を発する。最終日にトップを独走していたレキシー・トンプソン(22歳/アメリカ)に、突如”4打罰”が科せられたことだ。


視聴者からの指摘で4打罰を科せられたレキシー・トンプソン

 ペナルティーの理由は、前日のプレーで「トンプソンがグリーン上でマークしたボールを戻す際、わずかに位置が違っていた」と視聴者から指摘があり、競技委員が改めてビデオで確認すると、確かに位置が違っていたからだった。そのため、「誤所からのプレー」で2打、そしてすでにスコアを提出後だったため、「過少申告」の2打が加えられ、合計”4打罰”が科せられた。

 その結果、一気に優勝争いは混沌として、最終的にはトンプソンとユ・ソヨン(27歳/韓国)がプレーオフで争って、ユ・ソヨンが優勝。トンプソンはほぼ手中に収めていたメジャー制覇を逃してしまったのだ。

 これには、ゴルフファンのみならず、現場のプレーヤーも黙っていなかった。タイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)が「視聴者はレフリーではない」と苦言を呈せば、フィル・ミケルソン(47歳/アメリカ)が「あの試合はレキシーが勝つべきものだった」と発言するなどして、大きな論争が巻き起こった。

 そういう意味では、今回のことはそうした論争を受けてのルール改正とも言える。ゆえに、”レキシー・トンプソン・ルール”とも呼ばれているのだ。

 さて、今回の改正によって、視聴者からの指摘は採用されなくなるが、それに代わって、大会中は映像を確認する競技委員が常時配置されることになる。この”映像”というのは、「大会を放映するテレビ局のもの」と限定され、例えばファンがスマホなどで撮影したものは採用されない。
※PGAツアーでは、ファンによる写真・映像の撮影は、個人的な使用に限って許されている。

 映像確認はあるものの、実際に物事を判断するのは、選手がプレーしているうえでの”裸眼”でわかる範囲というのが基準。現在の映像は高画質でありすぎるため、のちの映像で違反が確認されても、「プレー中の判断が妥当だった」とジャッジされれば、ペナルティーは科せられないことになっている。

 USGAのルールディレクターであるトーマス・ペーゲル氏は、今回のルール改正についてこう話す。

「今回の改正は、ゴルフファンが世界のトップ選手のプレーをもっと楽しんでほしい、というメッセージ。そして、ルールはプレーする選手、そして大会の競技委員の判断に委ねようというもの。彼らがベストなジャッジをすると自信を持っている」

 改正されたルールは、2018年1月1日から実施される。

 折しもゴルフ界では今、2019年1月1日から施行される”ルール大改正”に向けて調整が進んでいるところだ。これは、ゴルフ人口減少の要因のひとつに、「ルールが難しすぎる」として敬遠するアマチュアが多いため、とされている。

 そこで、R&AとUSGAは「現在に合ったルールに近代化されるべきで、もっと誰にでも理解できるシンプルなものにしたい」という目標を掲げ、2017年の夏までに一般からも広く意見を求めてきた。

 そうした状況の中、今回のルール改正は”大改正”の時期を待たずして施行されることになり、トンプソンも喜びのコメントを出している。

「(今回の改正で)私と同じような不幸なペナルティーを受ける選手がいなくなる。R&AとUSGAに大きな拍手を送りたい」

 およそ1年後には大規模なルール改正が発表される。それもまた、大いに注目である。

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