平昌五輪まで1ヵ月半、日本勢の仕上がりは?

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 フィギュアスケート全日本選手権が終わり、注目のオリンピック代表権争いに決着がついた。

 3枠の男子は優勝の宇野昌磨(20)に2位の田中刑事(23)、そして前回のソチ五輪の金メダリストで、実績では群を抜く羽生結弦(23)が負傷欠場ながらも文句なしで代表に選ばれた。一方、2枠の女子は股関節の疲労骨折から復帰したばかりの宮原知子(19)が実力を示して優勝。大一番に強い坂本花織(17)が2位に入り、この2人が代表権を得た。

 平昌冬季オリンピックは1ヵ月半後の来年2月9日(25日まで)に開幕するが、これまであまり話題に上っていなかった。だが、こうした代表権争いや、出場予定選手が国際大会で好成績を収めたニュースを耳にすると、開幕が近づいていることを実感する。

 とくに今季はいくつかの競技の五輪前哨戦といえる国際大会での日本選手の活躍が目覚ましい。その好調が五輪でのメダルにつながるのか、チェックしてみた。

出場のたびに世界新!
スピードスケート女子

 まず最も金メダルの期待値が高いのが、スピードスケートの女子だろう。個人では500mと1000mの小平奈緒(31)、1000mと1500mの高木美帆(23)という2人のエースが強さを発揮しているし、高木美を含む団体パシュートでは出場するたびに世界記録更新という驚異的な強さを見せている。

 スピードスケートの五輪代表選手選考会は、暮れも押し迫った27〜30日に長野で行われるが、小平と高木美、団体パシュートのメンバーである高木菜那(25・高木美の姉)、佐藤綾乃(21)、菊池彩花(30)は間違いなく代表に選ばれるだろう。

 小平は2010年バンクーバー大会、2014年ソチ大会に続いて3度目の五輪となる。バンクーバー大会では団体パシュートのメンバーとして銀メダルを獲得しているが、個人戦の1000mと1500mは5位、ソチ大会でも500mで5位に終った。が、その後はレベルアップを続け、今季のW杯500mは4戦全勝、1000mでも3勝、12月10日に行われた1000mでは世界記録更新の快挙も成し遂げている。また、W杯500mでは15連勝中という圧倒的な強さを見せている。

 高木美も強い。幼い頃からトップレベルの実力を発揮し、バンクーバー大会は中学生で出場。だが、前回のソチ大会は直前で不振に陥り、出場できなかった。その悔しさをバネに実力を上げ、今季のW杯1500mでは4戦全勝、1000mも3戦で小平に次ぐ2位に入った。

 つまり五輪の500mでは小平が金、1000mでは小平と高木美の2人が表彰台に上がり、1500mでは高木美が金メダル、という可能性は十分あるのだ。また、滑れば世界記録という抜群のチームワークを見せる団体パシュートも金メダルが濃厚だ。W杯第3戦の1000mで小平の転倒があったように勝負では何が起こるか分らないが、そうしたアクシデントがない限り、この4種目では期待通りの好結果が見られそうだ。

直近に表彰台独占!
スノボ・男子ハーフパイプ

 ソチ五輪では平野歩夢が銀、平岡卓が銅と、ふたつのメダルを獲得したスノーボード・男子ハーフパイプでも日本勢大活躍の報が届いた。21日に中国で行われたW杯第3戦で19歳になった平野が1位、片山来夢(22)が2位、戸塚優斗(16)が3位と表彰台を独占。さらには4位に安藤南位登(20)、7位に平岡(22)と、8位以内に5人の日本選手が入った。五輪本番では日本選手同士が金メダル争いをするのでは?と思わせる成績だ。が、この結果は少々割り引いて見る必要がある。スノーボードはW杯以外にも数多くの賞金大会が行われており、欧米のトップレベルの選手たちは中国のW杯を欠場したのだ。

 ただ、この2週前にアメリカで行われ欧米の有力選手が出場したW杯で平野と片山は1位になっている。2人の実力が世界でもトップにあることが示された結果であり、十分金メダルが期待できる。

 また、女子ハーフパイプでも冨田せな(18)、空中高く飛び出して演技を見せる新種目「ビッグエア」の女子、鬼塚雅(19)、岩渕麗楽(16)、藤森由香(31)、男子の大久保勇利(17)らも欧米のトップ選手が出場するW杯で優勝や上位経験があり、メダル獲得圏内にいる。

今季いまひとつ不調の高梨沙羅
五輪本番に合わせられるか?

 一方、少し気になるのがノルディックスキー・ジャンプ女子のエース高梨沙羅(21)だ。昨季まではW杯で勝ちまくり、大差をつけて総合優勝したが、今季はW杯第1戦、第2戦とも4位、第3戦、第4戦は3位に入ったが、まだ優勝がない。風向きに恵まれなかったという声もあるが、昨季はそれでも勝っていたわけで、ジャンプに微妙な狂いがあるのだろう。ただ、ソチ五輪の時はW杯で勝ちまくりながら五輪本番では4位に泣いた。五輪の重圧もあったのだろうが、ピークを持ってこられなかったということもあるはずだ。W杯は年明けの1月6日に再開され、五輪まで10戦もある。実力は間違いなくトップなのだし、ここで課題を修正しながら五輪にピークを合わせて行けば、前大会とは違う好結果に結びつくのではないだろうか。昨季、高梨に次いでW杯総合2位になった伊藤有希(23)も第2戦で3位に入った以外は表彰台に上がれない状態が続いているが、こちらも同様だ。

 一方、男子は今季のW杯開幕戦で小林潤志郎(26)が初優勝する好スタートを切ったが、それ以降は小林が上位に食い込む程度で苦戦が続いている。ソチ五輪で銀メダルを獲得したレジェンド葛西紀明は入賞もほど遠い順位ばかりだ。ただ、ジャンプを知り尽くしている葛西は五輪に調子をしっかり合わせてくるだろう。他の選手もその姿に引っ張られ、調子を上げてほしいものだ。

 ソチ五輪のノルディック複合で銀メダルを獲得した渡部暁斗(29)はW杯開幕戦で3位、第2戦で優勝という好発進。その後は表彰台に上がれていないが、W杯では6季連続で総合3位以内に入っている実力者であり、本番でも力を出し切れれば、五輪2個目のメダルに手が届くはずだ。また、22歳の山元豪も第4戦で7位に入るなど今季急激に力をつけており、五輪での飛躍が期待できる。

羽生結弦は間に合うか?
日本人同士で頂点争いも

 そして、やはりファンの一番の関心事はフィギュアスケートの日本選手の活躍だろう。ソチ五輪男子シングル金メダリストで世界ランキングも1位の羽生結弦は右足首の負傷の回復が遅れ、ぶっつけ本番で五輪に臨む模様だ。が、羽生サイドからは「間に合う」という声があったようで、復活した姿を見せてくれるのではないだろうか。そして世界ランク2位の宇野との日本人同士の頂点争いを見せてもらいたいものだ。

 今後の1ヵ月半、五輪前哨戦となる国際大会が続き、各競技の日本選手の仕上がり状態が伝わってくることになる。それらをチェックすることで五輪観戦の興味は、さらに増すにちがいない。

(スポーツライター 相沢光一)