「Thinkstock」より

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「◯×カードありますか?」

 店舗で買い物をすると、会計の際に必ずといっていいほど店員から聞かれる言葉だ。

 コンビニエンスストア、家電量販店、ファストフード、カフェなどでは、もはや代金の一部をポイントで還元するのが当たり前となっている。簡単な手続きで持つことができ、ポイント還元などのメリットを得られるため、ポイントカードを持っている人は多いはずだ。

 しかし、ファイナンシャルプランナーで税理士の犬山忠宏氏は、「ポイントをためることに執着し過ぎると、結局は消費者が損をする」と指摘する。

●ポイントカードは消費者に無駄遣いさせる仕組み

 まず、ポイントカードについて整理しておこう。加盟店が多く使い勝手のいい共通ポイントとして、主に次の3つが挙げられる。カルチュア・コンビニエンス・クラブの「Tポイント」、三菱商事系のロイヤリティマーケティングの「Ponta(ポンタ)」、楽天の「楽天スーパーポイント」だ。会員数はそれぞれ、約6300万人、約8000万人、約9000万人となっている。

 また、矢野経済研究所が2016年9月に発表した調査結果によると、15年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は1兆4440億円で、20年度には2兆300億円に達すると予測されている。消費者がポイントカードを利用する機会は、今後ますます多くなるだろう。

 ところが、多くの人が利用するポイントカードには、企業側による“巧妙な罠”が仕掛けられているという。

「企業側がポイントカードを導入する目的は『顧客の囲い込み』です。ポイントカードというのは、自社グループ内で継続的にお金を使ってもらうための販促ツール。同時に、他社との価格差を消費者に意識させずにリピーターになってもらうためのツールなのです」(犬山氏)

 買い物で重要なのは、商品の質と価格だ。以前なら、店舗で何かを購入する際には可能な限り他店と価格を比べていたはずである。しかし、ポイントをためて「得した気分」になっていると、徐々に「どこが安いか」という価格の比較を行わなくなる。

 つまり、「より安い価格で買うこと」よりも「ポイントをためること」を優先してしまい、思考停止状態に陥ってしまうのだ。

 また、ポイントカードには、「ポイントをためたい」という心理を利用して「消費者の無駄使いを誘発する」という恐ろしい側面もある。

「たとえば、『◯◯円以上お買上げのお客様はポイント2倍』『ポイント3倍デー』『対象の商品はポイント5倍』というように、期間や商品が限定されるかたちでポイント還元率が高くなると、購買欲をあおられて余計な買い物をしがちです。

 でも、その商品はもともと不必要なものだったはず。それがトイレットペーパーやゴミ袋など、必ず使用する日用品だったとしても同じ。大量の在庫を持つことは、ビジネス的な感覚でいえば明らかに『無駄』なのです」(同)

 不必要なものを保管すると余計なコストがかかり、モノによっては時間経過による品質の劣化で使い物にならなくなるかもしれない。「ポイント還元」という言葉に釣られて余分な買い物をするのは、結局のところ損なのだ。

 加えて、ためたポイントを使うときにも無駄遣いの危険性が増すという。

「ポイントの使用時には『身銭を切っている痛み』が発生しないため、心理的にタダで商品をもらえた感覚に陥ります。だから、あまり中身を吟味せずに商品を購入してしまう傾向があるのです」(同)

●家電量販店ではポイント還元よりも現金値引きを

 そもそも、ポイントはお金と同価値のように思われがちだが、「ポイント=現金」と考えること自体が大きな間違いだ。むしろ、ポイントは現金に比べてデメリットやリスクが多いのである。

「現金は、預金すれば理論上は利息がついて増えますが、ポイントは決して増えることはありません。しかも、ポイントは企業側によって簡単に改悪されてしまう危険性もあります」(同)

 特に注意しなければならないのは有効期限だという。家電量販店のポイントカードを持っている人なら、会計時に店員から「期限が切れています」と告げられたことが一度ぐらいはあるはずだ。このように、利用頻度の少ない店舗ではポイントやカードが失効してしまうこともめずらしくない。

 さらに、家電量販店の場合は別の罠もある。家電量販店は現金値引きよりもポイント還元率が高い傾向があるため、「ポイント還元のほうがお得感が高い」と考える消費者が多い。

 しかし、ためたポイントで購入する商品が明確に決まっていなければ、ポイント還元を選んでも、結局は失効させてしまったり無駄な商品を買ったりしてしまう可能性が高い。そのため、犬山氏は「次回買う商品が決まっていなければ、現金値引きのほうがお得です」と断言する。

 ポイントをためて「得した気分」になるのは錯覚にすぎない。ポイントカードというのは、企業が消費者にたくさんのお金を使わせるためのシステムなのだ。

 こうした巧妙な罠に引っかからないために有効なのは、「ポイントはためずに使うべき」(同)という考え方だ。注意して有効に利用すればお得な面もあるが、そんなことに気を使うぐらいなら、最初から持たないほうが無難かもしれない。
(文=鉾木雄哉/清談社)