「月刊Hanada」(飛鳥新社)2018年2月号

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 今年を表す漢字一文字を「私は、挑む。挑戦の『挑』ですね」と答え、ネット上で「逃げるの『逃』の間違いじゃないのか」とツッコまれたばかりの安倍首相。たしかに、最近も国会が閉会したかと思えば、さっそく自分を擁護してくれる「最強の論客」である松本人志らと会食するなど、味方のサークルに逃げ込んだ。

 そして、11日には"安倍応援雑誌"である「月刊Hanada」(飛鳥新社)の「独占インタビュー」に応じ、その模様が20日発売の同誌2月号に掲載された。

 いまにはじまった話ではないが、一国の総理が"ヘイト&歴史捏造雑誌"に嬉々として登場するとはまったく恥ずかしいかぎりだが、しかも、このインタビューで安倍首相は、またも「森友・加計問題は陰謀」論を展開したのである。

 まず、今回のインタビュアーを務めたのは、衆院選公示日前日に幻冬舎社長・見城徹の番組『徹の部屋』(AbemaTV)に安倍首相が出演した際も見城氏といっしょになってヨイショに励んでいた有本香氏。当然、このインタビューでも有本氏は、こんなことを言い出すのだ。

「二〇一七年は、いわゆる「モリカケ」問題では、奥様も、そして総理ご自身も大変な思いをされました」

「大変な思いをされた」って、それは安倍首相と昭恵夫人が自ら蒔いた種であり、どう考えても自業自得。いやそれ以前に、国民への背信行為だろう。だが、安倍首相は平然とこう返す。

「政治家は常に、批判と向き合いながら仕事をしていく宿命にあります。総理であれば特にそうですね。そういった批判のなかで、国民の信頼を失わないことが最も大切です。(中略)これからも謙虚に進んでいきたいと思っています」

 いやいや、「国民の信頼」はもうズタボロだ。直近のNNN世論調査でも、森友問題に対する政府の姿勢に「納得していない」と答えた人は80.7%で、「納得している」としたのはたったの7.3%。にも相変わらず「謙虚」と言ってしまうのだから、どこまで図々しいのだろう。

 しかし、有本氏はこうした世論などまるで無視して、「私は「モリカケ」問題というのは、一部のメディアと野党などの勢力が協力する形で仕掛けられた倒幕運動であり、虚構だと言い続けてきた」「連日、あれほど執拗に、マスメディアと国会が、北朝鮮等の重要事項そっちのけで騒ぎ立てる事態を恐ろしくも感じました」「何年か前なら、この虚構で内閣が倒されていた可能性さえありました」と強調。だが、「いまはそうではありません」と言い、「メディアがおかしな報道をすれば、たちまち SNSを中心にネットで「それはおかしいぞ」というカウンター的な指摘が広まります」と述べるのだ。

●安倍首相、ネトウヨと安倍応援団ががなり立てる「モリカケはフェイク」デマに乗っかる

 恐ろしいのは、森友にしろ加計にしろ、ここまで証言や証拠が積み重なっても「内閣が倒されていない」現実のほうだが、そうした事実を「虚構」と断言して、ネトウヨのフェイクニュースを「カウンター的な指摘」などともち上げる......。これが総理大臣へのインタビューで繰り広げられている会話なのである。

 どこのパラレルワールドの話かと頭がおかしくなりそうだが、極めつきはこれに対する安倍首相の返答。安倍首相は有本氏の弁に乗っかり、このように御託を並べるのだ。

「SNSの浸透によって、仮にあるメディアが世論を一方向に持っていこうとしても、できない時代になった。「SNSがフェイクニュースの発信源だ」「ネットユーザーは偏っている」などの批判もありますが、これは間違いです。むしろネットユーザーは、既存メディアの報道以外にも様々な情報を突き合わせて、自らファクトチェックをしている。
 一つのニュースに対し、たくさんの人が寄ってたかってチェックしますから、少しのミスでもすぐに明らかになってしまう」

 まったく何をおっしゃるやら。たとえば安倍首相は、衆院選の党首討論において、加戸守行・前愛媛県知事と八田達夫・国家戦略特区ワーキンググループ座長の証言を朝日新聞が「(加戸氏が)証言された次の日にまったくしておられない」「(八田発言を)ほとんどしておられない」と猛攻撃して、「ぜひ国民のみなさんは新聞をよくファクトチェックしていただきたい」などと呼びかけたが、実際は、朝日は八田氏の発言を10回以上も取り上げ、加戸氏の証言も閉会中審査翌日の7月11日と25日付の朝刊で取り上げていた。

 だが、こうした安倍首相の「虚偽」の発言をネトウヨは拡散し、「モリカケは朝日の捏造だ!」という陰謀論の材料にいまなお使っている。安倍首相がこうしてデマを流してきた例は枚挙に暇がないが、にもかかわらず、安倍首相は自身がフェイクニュースの発信源になっていることは棚に置いて、そうして流布されている情報を「ファクトチェック」されたものだと言い張っているのである。

 さらに、安倍首相は、言うに事欠いて、こんなことも述べている。

●自身に批判的な報道を「フェイク」「デマ」と叩くのが、安倍首相の常套手段

「情報を発信する側が適当にまとめたような記事は、もはや通用しません。結論ありきの記事も通用しない。すぐに検証されてしまうので、事実に当たり、事実に基づく報道だけが通用する時代に繋がっていくのでしょう」

 ネトウヨまとめサイト「保守速報」をFacebookで堂々とシェアする人の発言だと思うと、苦笑いしか浮かばない。だが、安倍首相はその上、有本氏に「トランプ大統領と初めてお会いになった際に「実はあなたと私には共通点がある。あなたはニューヨーク・タイムズに徹底的に叩かれた。私も朝日新聞に徹底的に叩かれた」と総理が仰って意気投合した、と報じられています。これは事実ですか?」と尋ねられ、こう返答をしている。

「ははは。私は朝日新聞を敵だと思ったことはありません。むしろ、「鍛えていただいてありがとう」という気持ちです」

"「日教組・共産党・朝日新聞」叩き"が大好物の安倍首相が、白々しいにも程があるだろう。先の国会で安倍首相は、籠池泰典前理事長が財務省に提出した設置趣意書に「安倍晋三記念小学校」と記したと朝日新聞の取材に証言した一件を1日で2回も取り上げて、「朝日新聞は籠池容疑者が言ったことを鵜呑みにした」「ファクトが根本から違っている」とがなり立てていたではないか。そもそも昭恵夫人の過去の発言からも、安倍首相が自分の名前を冠した小学校がつくられることにまんざらでもない様子だったことが明らかになっているが、そうした事実はなかったことにして、安倍首相は自らの疑惑を指摘する報道を「フェイクだ」「デマだ」と全否定することで不正そのものをなかったことにしてしまおうとしているのだ。いつもの常套手段である。

 だいたい、わざわざ約1時間も時間を割いてまで独占インタビューに応じるなど安倍首相が贔屓にしているこの「月刊Hanada」同号の「総力大特集」は、「朝日虚報と全面対決!」というもの。小川榮太郎による「朝日の抗議文を完全論破」という記事にはじまり、日本維新の会・足立康史議員の「朝日は、やっぱり「死ね!」」、上念司「朝日はいつ潰れるのか」などなど、計6本もの朝日バッシング記事を掲載。ちなみに、同誌は前号で「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」だった山口敬之氏が、レイプ疑惑の論点を逸らしてTBSの金平茂紀氏や東京新聞の望月衣塑子記者を攻撃する記事を執筆している。

 安倍首相に溜飲を下げてもらおうと必死に朝日叩きとモリカケ陰謀論に精を出すお友だちが集うメディアに逃げ込み、慰められ、被害者ヅラをする。これで国民に納得しろというほうが、どうかしているのである。
(編集部)