全米チャート上昇中! 強烈な個性を放つ新星ラッパーによる“問題作” / 「GUMMO」6IX9INE(Song Review)

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 パープル、イエロー、レッド、グリーン……ロングへアに混じり合うレインボー・カラーと、目がくらむような虹色のグリル。額と腹には自身のアーティスト・ネームである「69」という数字が刻まれ、両腕には紋章(?)のような模様が規則正しく並んでいる。赤のバンダナとラインの入ったグリーンのジャージという、個性的なストリート・ファッションなど…ビジュアルのインパクトだけでいえば、今年のヒップホップ界No.1と断言できる、米ブルックリン出身の新人ラッパー=6IX9INE(シックスナイン)。

 インパクトが強いのはビジュアルだけではない。1曲聴くだけで耳が痛くなるシャウトは、クランクの代表格=リル・ジョン以来の五月蠅さ。とはいえ、“誰っぽい”と例えられない強烈な個性は、アーティストとして一番の強みといえるだろう。その6IX9INEのデビュー曲「GUMMO(ガンモ)」が、11月10日にリリースされたばかりにもかかわらず、最新の全米ソング・チャート(2017年12月30日付)で12位まで上昇し、ラップ・チャートでは5位をマークするヒットを記録している。

 サウンドは今流行りのトラップっぽくもあり、前述のリル・ジョンがヒットさせていた2000年代中期のクランクにも近い。トラップ自体、クランクから派生して生まれたジャンルだから、似ていると感じるのも無理はないが、トラップよりもクランクっぽく聴こえるのは、やはり6IX9INEのダミ声から放たれるフロウによるものではないか、と。その楽曲をプロデュースしたのはピエール・ボーンというプロデューサーで、本来はトリッピー・レッドというラッパーに提供したものらしいが、そのトリッピー・レッドが許可なく6IX9INEに曲を渡してしまい、トラブルになったと報じられている。TOP10目前の大ヒットとなっているので、結果オーライな気もするが……。

 攻撃的なサウンドに乗せたリリックも、かなり過激。銃をぶちまける、ドラッグで金を稼ぐ、女をマワす…など、日本では到底考えられないようなことが歌われている。こんな曲がラジオから普通に流れてくるのも、アメリカならでは。ただ過激すぎるからか、ラジオよりもストリーミングを中心にヒットしているようで、ストリーミング・サービス=スポティファイでの再生回数も絶好調。大勢の仲間とストリートで騒ぐガラの悪いミュージック・ビデオは、現在(2017年12月)までに6000万視聴を記録している。トータル2分37秒と演奏時間が短いのも、サラっと聴き流すストリーミング時代を象徴している。

 本名ダニエル・ヘルナンデス、1996年生まれの21歳。過去にはドラッグの売人をしていたり、刑務所生活を送ったこともあるそう。また、未成年の女子とのわいせつ行為をSNSに投稿したり、両手に銃を構えた写真や、なかなかヤバいことを叫んでいる動画などをインスタグラムにアップしたりと、生い立ちや私生活もブっ飛んでいる。今年も色々と問題作はあったが、その中でも歌詞やミュージック・ビデオなど、6IX9INEの「GUMMO」は問題作中の問題作といえるだろう。久々に“問題児”と呼べるようなラッパーが登場したことに、今後何をヤラかしてくれるのか、ワクワクさせられる。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
「GUMMO」
6IX9INE
2017/11/10 RELEASE