「太陽光だゴウダ♪」で、関西ではおなじみのCM(写真:ゴウダ)

「太陽光だゴウダ♪」のCMで、関西では知らない人がいないほどの知名度を持つゴウダの合田順一社長。実は、筆者とはだいぶ前から知り合い。今や、全国に27の工場を持ち、年商330億円の企業グループになりましたが、その熱い企業家魂は健在です。

太陽光発電の学校を作ったワケ


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太陽光発電を普及させるため、合田社長は画期的なプロジェクトを進めています。

「施工工事をしっかりしなければ、雨漏りなどが発生します。屋根は大事です。そんなトラブルをなくすため、2010年に施工の職人を育てる学校を作りました」


職人を育てる学校を創立(写真:ゴウダ)

名付けて「太陽光発電工事専門校ゴウダ関西校」。技術の習得だけでなく、家庭への訪問態度まで教えます。すごいのは、自社だけでなく他社の職人も受け入れていること。通信教育、校内実習、施工実務試験を経てようやく卒業。その後、認定試験を合格すると、太陽光発電施工士資格が付与されます。

機材が発達しても施工するのは人間。職人が育てば太陽光発電業界の底上げとなり、普及が進めば価格も下がる、という好循環になります。ゴウダ自身もその好サイクルに乗れればありがたい、と考えています。


「機材が発達しても施工するのは人間」という考えの下(写真:ゴウダ)

一度使われた段ボールを「もったいない」「再利用できないか」と考えたのが、ゴウダの出発点です。今でいう「リサイクル」です。つまり最初は「パッケージ」の会社でした。1971年に社名を1960年に創業時の「合田商店」から「合田包装産業株式会社」に商号変更。お近くに松下電器産業(当時、現パナソニック)があり、その「産業」の響きが気に入って社名に加えたと言います。

社名からは、関西発の大企業である松下にあやかりたい、という合田社長の素直な思いが伝わります。当時は、夜はモノづくり、昼は配送に走り回りました。労働時間はなんと1日20時間だったといいます。

「滋賀の栗東町に工場用地を取得。そこから全国へ配送しましたが、渋滞で大変でした。若かったから乗り切れたんでしょうね」と合田社長。この創業時の思いをそのままに「パッケージ部門」は現在、大阪、滋賀、静岡、関東で稼働しています。

網戸の組み立てから全国27の工場へ


ゴウダの合田順一社長(写真:ゴウダ)

1986年、ゴウダのもう1つの柱、「建材加工部門」が誕生します。大手ハウスメーカーの積水ハウスから、やったこともない網戸の組み立て加工の依頼を受けたのです。経験はない、ノウハウもない。でもそこにニーズがあるかぎり、挑戦する。そして取り組んだらあきらめない。創業以来のゴウダ精神で何とか乗り切りました。

この延長線上で建材加工部門が誕生。社名も「ゴウダ」に変え、関東、静岡、東北に次々と工場を建設して、2000年を迎えます。

そして大手ハウスメーカーの建築部材を取り扱う中で、建材切断のロスや粉塵、騒音解決のため、「プレカット工法」が開発されます。建築現場での作業を工場に吸収しようとする試みです。ここで培ったノウハウを生かして、第3の柱、「建材施工部門」が誕生します。そしてこの部門確立のため、東北から九州まで、全国に27の工場拠点を設けました。

「消費地の近くに工場を建てるのは大変です。でも、壁材や屋根など、かさ高い部材の物流を考えると、消費地に近いのは短時間、タイムリーで、圧倒的な強みになります」と合田社長。確かに初期の設備投資は負担でしょうが、取引先、消費者の信頼を得て継続的な受注につながれば、結果として初期投資も回収でき、さらに成長が期待できます。もちろん、当初の負担増を耐えうるだけの会社の体力、そして無理のない投資計画が前提ですが、将来を見据えた戦略が何より重要ということです。

しかし売り上げはともかく、全国に27もの工場を擁することは、組織管理上はそう簡単なことではありません。

「管理限界は、組織長1人で部下30人と言われます。ましてや、工場は全国に分散しています。人を使うのは正直難しいです」

合田社長は、社員のモチベーションを高めるためには顔を合わせて話をするのがいちばん、と考えていました。そうは言っても、全国を1人で行脚するのは事実上不可能。それで導入したのが、TV会議でした。会社が小さい頃から上場会社並みの設備を整え、リアルタイムで現場とやり取りします。TV画面を通して活発な議論がなされ、担当者が涙を流す場面もあるとか。この真剣勝負の積み重ねが、今日のゴウダを支えています。

太陽光発電でゼロエネルギーを目指す

「太陽光発電は、10年ぐらい前からよく耳にしたでしょ。2008年の洞爺湖サミットで環境への取り組み方が変わりました。環境問題から、太陽光発電が脚光を浴びたのです。住宅関連施工をしていた関係で、太陽光発電は身近でした。そして、2011年の東北の大震災で、環境もさることながら、エネルギー問題もクローズアップされました。ますます太陽光発電の必要性を感じた出来事でした」

ただこの事業を始めた頃は、設置機械を温水器と間違われたこともあったそうです。一般に浸透していないので価格も高い。なかなか普及に至りません。

「以前は、環境に良いといっても、太陽光発電システムを取り付ける人は少なかったんです。しかし国が補助金を出し、業界の努力もあってコストが下がってから、普及し始めました」


建築現場での作業を工場に吸収しようとする試みは、その先へ(写真:ゴウダ)

屋根の上に太陽光パネルを設置することで二重屋根になり、2階の部屋は設置前より4度ほど違います。断熱効果もあるのです。さらに蓄電という発想もあります。ゼロエネルギー住宅は、災害時には大きな威力を発揮します。「太陽光発電によるゼロエネルギー住宅の実現が、これからの大きなミッションです」と合田社長。パッケージから、建築部材、そして太陽光発電とゼロエネルギー住宅。つねに時代の一歩先を読む合田社長の目の付けどころに感心します。


メーカーの本社ビルというよりも…?(写真:ゴウダ)

JR茨木駅でタクシーに乗って「ゴウダに行ってください」と言うと、皆さん、よくご存じです。着いた先は、メーカーの本社ビルというより、カルチャーセンターのたたずまい。地域では「ゴウダC&Eビル」の名で親しまれています。

「地域の皆様に支えられてわれわれがあります。本社ビルを建てるにあたり、皆様にどんな施設が欲しいか、とアンケートを募りました」

北摂最大級の大型書店も運営

大きい本屋が欲しい、クリニックがあればありがたい、多目的ホールは備えられないか。地域への恩返しと、できるだけ要望に応えられるような建物を造りました。C&Eは、カルチャー&エンターテインメントの略。北摂・茨木から文化を発信する一大拠点を、2007年3月にグランドオープンさせました。

1〜2階の本屋は400坪の広さに蔵書数20万冊。文具、雑貨、CD、DVDレンタルも備えた北摂最大級の大型書店です。3階にはクリニックが入り、また150名収容の多目的ホールもあります。映画、ジャズコンサート等、随時イベントが開催され、市民の憩いの場となっています。

ちなみに本屋では、パッケージ部門の社員が勉強して売り場に立っています。社員の方も、まさかパッケージを売らずに本を売るとは、と戸惑ったと思いますが、今ではお客様の問い合わせや、子ども向け定例イベント(毎月第3日曜日に絵本、童話などを読み聞かせる活動)の準備に充実した日々を送っています。


合田社長は、長年の印刷紙器・段ボール業界および住宅建材業界への貢献により、黄綬褒章を受賞(写真:ゴウダ)

合田社長は、長年の印刷紙器・段ボール業界および住宅建材業界への貢献により、2010年に黄綬褒章を受賞されました。また地元からの期待も大きく、4年前から茨木商工会議所会頭も務めています。事業をやって儲ける、だけではなく、業界や地域のために動くと結果としてビジネスも育つ。まさに有言実行です。

いつ会っても明るい合田社長。その明るさが、平均年齢30歳の若い会社を未来に向けてさらに引っ張っていくことでしょう。