フォーマルな場でもセダン以外が通用する環境ができた

 今年の7月に登場した新型トヨタ・カムリのテーマが「セダンの復権」であったことからも分かるように、日本市場のセダン人気は低迷して久しい。2016年の新車乗用車販売ランキングトップ30を見ても、セダンは7位のトヨタ・カローラ、21位のスバル・インプレッサ、23位のトヨタ・クラウン、27位のマツダ・アクセラの4車種だけ。といっても、純然たるセダンはクラウンだけで、他の車種はハッチバックやステーションワゴンも含まれている数字となっている。

 セダンが好調だったのは80年代〜90年代前半で、販売ランキングも、上位にトヨタ・カローラ、トヨタ・マークII、トヨタ・コロナ、日産ブルーバード、日産サニーといった懐かしい名前が並んでいるが、90年代半ばになるとトヨタ・エスティマやホンダ・オデッセイ、ホンダ・ステップワゴンといったミニバンの名前がランクインし始め、現在はプリウスやアクアなどハイブリッドカーが上位を占めるのはご存じの通りだ。

 では、なぜセダンの人気が低下してしまったのだろうか? 恐らくセダン自体の価値は昔から下がったりしているわけではない。なぜならメルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車やレクサスなどのフラッグシップモデルではまだまだセダンの人気が衰えていないからである。

 通常、セダンを選ぶユーザーはビジネスシーンや冠婚葬祭など、フォーマルなシーンを想定して購入するユーザーが多く、法人ユーザーが多いのもそのためだと考えられる。一方、それ以外のユーザーは、利便性や経済性などを鑑みてミニバンやハイブリッドカーを選ぶ事が増えてきた。そしてフォーマルな場でもミニバンやハイブリッドカーで違和感のない環境が出来上がってきたため、必然的にセダンを選ぶ必要がなくなってきてしまったのではないだろうか。

 つまり、クルマの選択肢が増えたこと、そしてセダンでなければならないシーンが減ってしまったことが、セダンの人気低迷の原因と考えられる。今後、セダンの復権を狙うのであれば、セダンならではの高い静粛性や、クラッシャブルゾーンが多く安全性が高いなど、セダンの利点をアピールし、伸ばしていくことが必須ではないだろうか。