あえていうなら、この1年はかつてコンテンツ世界のかく乱を夢見ていたが、いまではプラットフォームの気まぐれに左右される見かけだおしの制作会社になりさがっているデジタルメディア企業にとって、ひどいものだった。手厳しい評価に聞こえるとしたら、今年学んだことを思い出して欲しい。広告だけで収益を上げているなら、メディア事業を拡大していくことはほぼ不可能だ。動画への転向は高くつき、Facebook用の短尺動画以外のものを制作する方法を知らないほとんどの企業にとっては失敗に終わるだろう。消費者から収益を得るには、人々が関心を持つブランドを構築する必要があり、自社コンテンツがほかの人々のニュースフィードにしか登場しない場合には、それは一層難しくなる。現実路線への転向はデジタルメディア企業をひどく打ちのめしたが、DIGIDAYにいくつか優れた業績ももたらしてくれた。デジタルメディア事業がどれだけ実際に不運なのか詳しくわかる今年の記事をいくつか選んで紹介しよう。

「現実」を突きつけられた、デジタルメディアたち

現状が崩壊していくひとつの瞬間を正確に示すとすれば、それはおそらく11月の終わりといえるだろう。マッシャブル(Mashable)はかつての時価総額2億5000万ドル(約284億円)の5分の1でジフ・デイビス(Ziff Davis)に売却され、BuzzFeedとVice両社がこのままでは年間収益目標を達成できないことが明らかになった。一方、AOLとヤフー(Yahoo)の合併会社オース(Oath)は、最大560人の従業員を解雇し、GoogleとFacebookの複占と競争しようとしている。広告だけではその非常に高い査定額に見合う業績を残せず、動画で真の成功を収めるには実際先行投資が必要だという現実に、パブリッシャーたちは最終的に直面している。重要な一文: 「テーブルを囲んでニュースについて話しながら見るような動画に人々がお金を払うことはない。真のビジネスモデルの転向が必要になるのだ」。

Facebook ミッドロール広告 、収益性は「小遣い程度」?

非常に多くのデジタルメディア企業が、Facebookのコンテンツ制作に投資すれば、最終的に収入が得られるだろうと期待している。これまでのところ、それは実を結んでいない。Facebookが動画や番組制作に対してメディアパートナー数社に支払おうとしている金額を除いて、Facebookのマネタイズプロダクトから得られる収益はほどんどない。1カ月に再生回数2000万回を記録したFacebookページからあるパブリッシャーが得たのはわずか500ドル(約5万6000円)のみだ。重要な一文:ちなみに最後の1社は、Facebookミッドロール広告のCPMについて訊ねると、フロー・ライダー[Flo Rida]の曲『Low』の歌詞をテキストで送ってきた。

デジタル動画市場、活況から一転すでに凋落

残念な話題が尽きないなかでのある事例。少なくともFacebookは、動画制作者の番組制作に、いまだにお金を出している。2017年、デジタルパブリッシャーやスタジオが番組購入を期待していたプラットフォームの多くが、それらの購入を停止したり、出費規模を小さくしている。そうした企業には、フルスクリーン(Fullscreen)、NBCユニバーサルのシーソー(Seeso)、コムキャストのワッチャブル(Watchable)、ベライゾン(Verizon)のゴー90(Go90)などが含まれている。その市場の企業は、テレビ規模の番組に少しずつ移行しており、そうした番組の制作に長けた優れた技術を確立していないパブリッシャーにとっては厳しい状況だ。すべてを完璧に総括している、世界的に有名な変人からのツイートがこちら。
「インターネット:2005年以来誰も望んでいないウェブシリーズを作る」

パブリッシャーの動画シフト、バイヤーからは疑問の声

動画制作会社になることを誰もが望んでいるが、みんなが成功するわけではない。今年の夏、複数の広告バイヤーが米DIGIDAYに語ったことは、動画に転向するパブリッシャーのほとんどがくだらないコンテンツを制作しており、プレミアムTVやストリーミング番組のように、広告収入といったものを意のままにすることは到底できないだろうということだ。人々が注目さえしてくれればよいのだが。いまだに忘れられない広告バイヤーの言葉:「それでも、全員が動画に行けばいいとは、我々は考えていない。動画はお金がかかる。みんながうまくいくわけではない。また、動画を受け入れるユーザーばかりではない。プレミアムなものよりもガラクタの方がはるかに多い。CPMは相変わらずかなり高く、そこから言えるのは、不足があるということだ」。

デジタル動画が普及するなか、解雇に怯えるライターたち

動画に転向したデジタルパブリッシャーにとっては苦労の年だが、彼らが残したものを忘れてはならない。動画への投資は、テキストエディトリアル側の人間の解雇をしばしば伴った。その様子を米DIGIDAYのルチア・モーゼスは、次のように表現した。「Twitter上では、お別れのツイートや同情のツイート、『この人を雇って』と推薦のツイートが投稿され、そして業界の先行きに関する嘆きの声がツイートされる、というパターンが繰り返される」。猫のGIFで説明する、動画への転向。

ディズニーの760億円投資をめぐる いざこざの中身

デジタルメディアの収益問題は最近の話だと考えているかもしれないが、今年のはじめ、ディズニーはメーカースタジオ部門の人員を整理し、YouTubeネットワークのクリエーターを数万人規模から300人に縮小している。その理由は、事業がほぼ完全にYouTubeに依存している場合、健全な事業を構築することが難しく、しかもメーカースタジオは2016年に3億7000万ドル(約420億円)の収益を上げており、決して小規模経営とはいえないからだ。いまではもうおなじみの話かもしれない。おそらく今日の分散型メディアパブリッシャーは、YouTubeマルチチャネルネットワークの失敗にもっと注意を払うべきだったのかもしれない。重要な一文:「MCNのゴールドラッシュを見たディズニーは、調査を実施してこういっていた。『我々は、もっとも大きく、もっとも輝いている会社を買うことにしよう。この分野が成長するとすれば、最大の会社をもっておくことには価値がある』と。私が想像するに、彼らは何を買おうとしているのかを理解していなかったのだろう。率直に言って、買うべきものなど大してなかったと思う」。Sahil Patel (原文 / 翻訳:Conyac)