[写真]胴上げされる川村慎二監督(写真:長田洋平 アフロスポーツ)

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 バレーボールの日本一決定戦、天皇杯・皇后杯 全日本選手権大会の決勝が24日行われ、男子はパナソニック(ホームタウン:大阪府枚方市)が5年ぶり4度目の優勝を決めた。川村慎二監督にとって4シーズン目にして初のタイトル。「やっと勝てたなという気持ち。嬉しく思います」と感慨深げ。一方、女子はトヨタ車体が9年ぶり2度目の頂点に。2シーズン目で日本一に導いた多治見麻子監督は「選手の頑張りに感謝しています。成長段階のチームなので自信になります」と喜びをかみしめながら語った。

「パナソニックは最強だけでなく最高のチーム」

 清水邦広のサーブからのラリー、最後はクビアク(ポーランド代表)のパイプ(バックアタック)が決まり、ついにパナソニックが川村監督が就いて初めて、チームとしては5年ぶりに日本の頂点に立った。前日の準決勝で前回覇者の東レを、2時間を超える戦いの末に破り(第5セットは19-17)、この日も粘る豊田合成を気持ちで突き放した。苦しかった分、喜びが弾ける。

 2014年の天皇杯・皇后杯、2015/16 V・プレミアリーグ、2017年の黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会は準優勝。「自分が監督になって決勝ですべて負けているので払拭したい」と話していた川村監督は、「やっとつかめました。勝てたのはすばらしい選手がいてのこと。目の前の1戦1戦に全力で臨んでくれた結果。強い気持ちで戦ってくれた」と安堵の表情を見せた。

 準決勝、決勝と最多得点を挙げチームを優勝へと導いたエースの清水も笑顔。

 「優勝できて嬉しいです。苦しい試合でしたけど、こうして勝てて、家族のためにもファンの皆さんのためにもいいクリスマスプレゼントができました。サーブとブロックで貢献できて嬉しいです。調子が上がって(得点できて)いるのは周りに助けられているから。決めやすい環境にしてくれている。パナソニックは最強だけでなく最高のチームです」

 「優勝という結果で『自分たちは強い』ということを証明できて嬉しいです」と深津英臣キャプテンも誇らしげだった。

クビアク「清水はベストオポジット」

 昨シーズン、パナソニックはけがに苦しんだ。清水が右足の甲を痛め戦線離脱し、V・プレミアリーグ途中にはクビアクが左足を負傷。天皇杯・皇后杯に出場できず、準々決勝で敗退。その後のV・プレミアリーグでも本来の力を出せず、5位に終わった。清水のけがは無理をしてしまうと選手生命が脅かされてしまうくらいの深刻なもの。完治が見えずつらい日々だったと清水は振り返った。

 夏場に徹底的にリハビリを行ったことで、今季は開幕からけがの不安なくプレーができているという。「リハビリの成果で、いいコンディションで臨めている」と清水。V・プレミアリーグはここまで(12月10日時点)で、アタック決定率3位、総得点・アタック決定本数7位(日本人最上位)、サーブ効果率4位(日本人最上位)と数字面でも存在感を示している。

 天皇杯優勝も、清水の復活があったからこそ。「今日と昨日の試合(準決勝・決勝)で、リーダーとしての姿をプレーで見せてくれた。このチームを代表する大切な選手ということを体現してくれた。彼こそが、リーグの中で “ベストなオポジット”だ」

 クビアクもそう清水を称えた。バレーボールをやる以上、オリンピックを目指すのは義務だと清水は言う。日本代表への思いは常にある。

 今季、そのクビアクが外れずいることもチームが簡単に崩れない要因だ。川村監督は言う。
 「クビアクは存在感が素晴らしい。入るとチームが変わる。声を出す、みんなにはっぱをかける。そういう声掛けや気迫も見てほしい」

谷村さんに恩返しを

 清水邦広や福澤達哉らには、昨シーズンのリベンジに加えて、どうしてもタイトルを取りたいもう一つの理由があった。

 ウィングスパイカーとして活躍しリーグ優勝にも貢献、日本代表にも選ばれた谷村孝さん(2016年に現役引退)が9月に突然、35歳で亡くなった。清水や福澤、白澤健児らにとって、谷村さんは「偉大な先輩」でありともに戦ってきた仲間。今季、パナソニックは谷村さんの「18」のユニフォームをベンチに置き、一緒に戦いに挑んでいる。

 「今季はみんなコウさんと一緒に戦っています。清水も自分も、コウさんのユニフォームをさわってからコートに入ります。原動力になっています」(福澤)「いつもユニフォームに助けられています」(白澤)

 特に親しかったという福澤は優勝を決めた後のインタビューで、一言断った上で思いをこめて叫んだ。

 「コウさん、優勝したよ!」

 パナソニックは、V・プレミアリーグのレギュラーラウンドで現在、首位。

 「これ(天皇杯優勝)を一つの通過点としてVリーグでもしっかり戦っていきたい。誰が出ても勝てるチームになるように、コートに立った選手、立てなかった選手も普段の練習から、“自分が出るんだ”という気持ちを出してもらって。Vリーグの決勝は違う選手が立っているかも」と川村監督。

 「(谷村さんの)助けを借りてリーグも勝ちたい」と福澤。「勝つことが恩返し」と勝利を誓う。パンサーズの次なる頂点は、2013/14シーズン以来のリーグ優勝だ。
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