セブン-イレブンは棚板をスライド式にし、商品補充や清掃の効率を上げる実験をしている

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 コンビニエンスストアがITなどを活用した「次世代型店舗」の構築を進めている。セブン―イレブン・ジャパンは7日、働きやすさに配慮して改装した店舗をオープン。ローソンは2018年春に首都圏の一部店舗で、支払いをスマートフォン決済に限定し、レジ作業を無人化した店舗を開く。背景にあるのは深刻な人手不足やシニア従業員の増加。生産性向上は喫緊の課題だ。だが効率化の方向性を誤れば、ネット販売との競争が激化する中で実店舗の意義が問われる。

 セブン―イレブンは本社が入居するビル内にある千代田二番町店(東京都千代田区)を“次世代にあるべき店舗を支える技術を集めた店”に改装した。陳列棚の板を全て固定式からスライド式にし、商品補充をしやすくした。

 飲料などの冷蔵保存場所は従業員にじかに冷風が当たらない構造にし、身体への負荷を軽減する。店舗でシニア従業員が増えているため、立ったままレジ袋を取り出せる棚も導入した。

 働きやすさだけではなく、店外の路面や屋上に太陽光パネルを敷くなど環境にも配慮。大橋尚司取締役執行役員は「“打ち上げ花火”では一切ない。全国展開が可能だという裏付けを持って、具現化した」と強調する。

 ローソンは都内に、ITを活用した店舗向けの実験施設を設けた。棚から商品を取り出すと腕の動きをセンサーでとらえ、商品情報をデジタルサイネージに表示する。出入り口のゲートで商品に付いた電子タグを読み取り、自動精算する仕組みも実証中だ。

 パナソニックが開発した「レジロボ」も設置。RFID(無線識別)を活用し、電子タグ付きの商品を入れた専用カゴを置くと、自動で精算・袋詰めする。すでに実店舗で実験済みだ。顔認証技術を用いた決済方法も検討している。

 採用難とともに人件費は高騰している。少ない人員を効率よく、どの業務に配置するかも重要な課題だ。ファミリーマートはLINEやグーグルと提携。グーグルとは人工知能(AI)を店舗での商品発注に生かす実験をしている。

 経験不足の従業員も業務をこなせるようにする狙いだ。ファミリーマートの澤田貴司社長は省力化できる業務に「レジ作業」を挙げる。同社は8月以降、ボタンを従来比3割減らしたレジに順次切り替えている。

 レジ作業のうち、現金の受け渡しに関する手間を軽減するため、現金以外の手段で決済する「キャッシュレス化」の動きも目立つ。

 ローソンが18年春に一部店舗で午前0時から5時のレジ業務をなくす実験を行う。来店者はスマートフォンのアプリを起動して入店し、自分でバーコードを読み取って決済する。従業員はバックルームでの商品整理や品出しに、専念する。

 外食分野ではロイヤルホールディングスが11月に、支払いをクレジットカードと電子マネーに限定した実験店舗を都内に開いた。「通常店で40分掛かるレジ締め作業が、ボタン一つでできる」と黒須康宏社長は説明する。

 スーパーやコンビニではセミセルフレジの導入が進んでいる。商品のバーコードをスキャンする作業は従業員が担うが、支払いは別の機械で来店者が自らする仕組みだ。

 業界の生産性向上をめぐっては経済産業省は4月にコンビニ大手5社と25年までに全取扱商品への電子タグ装着で合意。ただ、人手不足の店舗で商品に電子タグを装着するのは非現実的で、メーカーによる装着を想定。

 さらに衣料品などに比べてコンビニの商品は単価が低く、電子タグの価格が1個1円以下になる必要があるなど解決すべき課題が多い。人手不足への対応は待ったなしの状況にあり、各社は独自に省人化の方法を探っている。

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