12月13日に上場したSGホールディングスは2017年最大のIPOとなった(撮影:梅谷秀司)

2017年は最後に大物が駆け込んできた──。

佐川急便を傘下に持つSGホールディングスは12月13日に東証1部に上場。調達額は1276億円と、2017年のIPO(株式新規公開)で唯一、1000億円を超えた。

12月の「駆け込み上場」はSGのほかにも多い。株式市況の好調を追い風に2016年12月の14社から1.5倍以上の23社が上場する予定だ。2017年全体の新規上場は12月末までに90社となる予定で、2016年比で7社増加した。

公開社数増でも調達金額は減少


調達額は前年の約8360億円から約6470億円と2015年から2年連続で減少する見通しだ。ただし調達額の落ち込みは、2015年の日本郵政グループ3社(調達額1兆4362億円)、2016年のJR九州(同4160億円)といった民営化の超大型案件が2017年にはなかったことが大きな要因。

その影響を除けば2017年も活況が続き、「個人投資家の資金がIPO銘柄に集中的に向かった」(IPOジャパンの西堀敬編集長)。

では、個別銘柄のパフォーマンスはどうだったか。今回、東洋経済は12月14日までに上場した企業の初値と14日終値から騰落率を算出。銘柄の「勝敗」をランキングにまとめた。


新領域のIT企業の上場も目立った

トップのジャパンエレベーターサービスホールディングスは、独立系のエレベーターメンテナンス会社。2018年3月期の上期に2度、業績予想の上方修正を行い、株価も上昇気流に乗った。

IPO銘柄にネット関連やハイテク企業が多いのは例年どおり。ただ、17年は家計簿アプリなどを手掛け、金融とITを組み合わせたフィンテック分野のマネーフォワードや、動画共有サイト「ユーチューブ」への投稿で稼ぐユーチューバーのマネジメントなどを行うUUUMのようにこれまでにない新領域を主戦場とする企業が出てきた目新しさがあった。

ハイテク企業の中でも株主から高い期待を集めるのが、AI(人工知能)分野でアルゴリズムの開発・提供を行うPKSHA Technology(パークシャ テクノロジー)だ。

東京大学大学院で最先端の機械学習技術を研究した上野山勝也社長が起業。2018年9月期は売上高14億円、営業利益5.6億円の計画だ。トヨタ自動車やNTTドコモが株主に名を連ねていることも、技術力への期待を裏打ちし、PER(株価収益率)は14日終値で351.6倍と極めて高い。

また2017年は投資ファンド傘下にあった企業の再上場も目立った。代表格は3年ぶりに上場した調査会社マクロミルと、回転ずし首位「あきんどスシロー」を運営するスシローグローバルホールディングス(8年ぶりの上場)だ。

大型上場で値動きが鈍く、投資家が短期的な利益を得にくいこともあって、両社とも初値は公開価格割れに陥った。その後は業績や成長性を徐々に反映し、株価はともに公開価格を超えて上昇。マクロミルは対初値騰落率ベスト12位に入った。

騰落率でワースト1位になったマーケティング支援のシャノンは6月に行った2017年10月期の業績見通しの下方修正などが影響。ワースト2位になったAI開発が軸のユーザーローカルも初値は公開価格の4倍超にハネ上がったが、その後は右肩下がりで推移している。

ただし、公開価格に対する2017年の初値騰落率(11月29日時点、IPOジャパン調べ)は平均で120%と2016年の同72%を大きく上回っている。株式市場の好況で、公開価格算出の基礎にする既上場の類似会社の株価水準はすでにかなり高い。

そうした状況下での平均初値騰落率の高さに「IPO市場には過熱感が出ている」(西堀編集長)と指摘する声も出ている。

QBハウスも上場か

危うさをはらみつつも、IPO市場の熱気は2018年も続きそうだ。野村証券の倉本敬治・公開引受部長は「90〜100社が上場するのでは」と予想する。


当記事は「週刊東洋経済」12月30-1/6日号 <12月25日発売>からの転載記事です

市場関係者の間で2018年のIPOが取りざたされるのが、フリマアプリが主力のメルカリだ。ヘアカット専門店のQBハウスを展開するキュービーネットホールディングスやフィンテック分野でクラウド会計ソフトを手掛けるfreeeなども話題に上る。

良好な市況を足掛かりにする上場が増えても、最後は個々の企業の実力とそれを見極める投資家の眼力が試されることになる。