いよいよ最終回となった日曜劇場『陸王』(TBS系)。

 12月24日放送の第10話では、茂木(竹内涼真)が因縁の豊橋国際マラソンに「陸王」を履いて出場し、見事に勝利。1年後の、大きくなった「こはぜ屋」が新たなスタートラインに立つまでが描かれた。

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 刻一刻と迫る豊橋国際マラソンを前にして、「(陸王は)僕たちが茂木をずっと応援している証なんです」と熱く語る大地(山崎賢人)に「R兇鰺いて豊橋に出るのがベストなら、それでいい」という父・宮沢(役所広司)。そんな大地はかねてから志望していたメトロ電業の一次面接を通過していたものの、その案内を捨てていた。それを知った飯山(寺尾聰)は、捨てられたはずの案内を手に「チャンスを自分から手放すんじゃねえぞ」と拳を握らせる。

 そしてやってきた大会当日。茂木が「陸王」を履くはずのないことに宮沢は「今日は負けにきた。潔く負けて、またゼロからスタートだ」と口にする。選手のアップ会場に村野(市川右團次)とともに向かった宮沢は、茂木に「背中を押してくれてありがとう」と、神社で願掛けした「陸王」の靴紐を渡す。そこへやってきたアトランティス社の小原(ピエール瀧)に、「R兇詫けません」と言う茂木。そしてバッグからは、村野からこっそり手渡されていた「陸王」を取り出し、「都合良く離れていく連中を何人も見てきた。今のこはぜ屋さんは2年前の俺なんです。俺はこれからもこはぜ屋さんと一緒に走りたいんです」と言い放った。「世界を目指すなら、R兇鰺いてくれ」という小原の言葉に、2つのシューズを見つめる茂木。

 しかし、選手入場で一番最後にやってきた茂木の足下には「陸王」があった。驚き、涙を流す「こはぜ屋」一同。彼らの前に立ち止まった茂木は、深々と一礼をした。スタート地点では毛塚(佐野岳)が「結局そっち履いたんだ。いい靴なんだな」と言い、茂木は「最高だ」と返す。

 落ち着いた走りの茂木に対し、毛塚はペースを上げ、トップ集団にくらいつくため給水地でもボトルを取らない。しかしそれにも限界がある。みなが苦しむ坂道で、ぐんぐん追い上げを見せる茂木は、毛塚の背の目前まで迫る。35km地点、毛塚がようやく水分補給しようかという給水地で、まさかのボトルを落としてしまう。その毛塚に、茂木は自分のボトルを手渡す。会場から拍手を送る人々。中継を見ていた埼玉中央銀行の大橋(馬場徹)も、これには笑顔を見せた。

 接戦となる茂木と毛塚。次第に笑顔となる両者を見た茜(上白石萌音)は、「こんなすごい人たちのためにお父さんたちはシューズを作ってたんだね」と涙を滲ませた。面接のため遅れてやってきた大地は、「全てが始まった場所」で宮沢と会う。かつて茂木がリタイアした場所であり、彼らがいよいよ走り込んでくるはずの40km地点だ。ここでまさかのトップ選手が倒れてしまう。2年前のことを意識せざるを得ない状況に、顔を歪ませる茂木。しかし沿道から宮沢と大地の「モギー、陸王を信じて走れー!」の言葉を受け、毛塚と最後の最後まで接戦の末、1位でゴールテープを切った。「つえーな」と言葉をかける毛塚との、強く握り合った手はまぶしかった。「この陸王を作ったこはぜ屋のみなさんに、今日の優勝を捧げたい」と答えた優勝のインタビュー後、「こはぜ屋」の電話は鳴り止むことはなかった。

 メトロ電業に見事合格した大地だが「陸王でランニング業界に殴り込みをかけること以上に面白いことはない」と、父・宮沢に改めて「俺をここで働かせて下さい」と頭を下げる。ところが宮沢は「世界を見てこい。待ってるから」と声をかけた。

 1年後、大きくなった「こはぜ屋」。大橋の「まったくしぶとい人たちだな、こはぜ屋さんは」の言葉に、宮沢は「それが強みかな」と明るく答える。そして新たなレースのスタート地点から走り出す茂木と、歓喜する「こはぜ屋」一同の姿。マラソン足袋「陸王」をめぐる人々の出会いと奮闘は、こうして幕を閉じた。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

(折田侑駿)