周知の通り住友林業がゼネコンの熊谷組と資本業務提携した。発表の席で住友林業の市川晃社長は「どうしても当社にゼネコンの機能が必要だった」と熱っぽい口調で語った。住友林業側の拠出額(熊谷組の第三者割当増資への対応額)に驚いた。約346億円。同社はM&Aを数次にわたって行っているがそれは100億円に届かない額だった。

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 市川社長はなぜ「どうしても」云々と口にしたのか。瞬間私は住友林業の「焦り」をまず感じ取った。少子高齢化という時代の変遷の中での「住宅需要の減少」がその背景。国内住宅の着工件数は2016年度の97万戸から30年度には、54万戸に減少するとされる。木造注文住宅を主体とする住友林業の18年3月期は「6%の販売減」が見込まれ、11月9日に通期見通しの下方修正を行った。

 市川社長はこうした状況下で新規成長分野として(製材くずや古材を活用した)「バイオマスエネルギー発電」と、木質高層住宅の拡充を口にし「そのためには熊谷組の力(バイオマス発電所建設、高層住宅の躯体技術)が必要。具体的な枠組みはこれから決める」とした。住宅メーカーがゼネコンを傘下に入れる提携では既に大和ハウスや積水ハウスが実行している。しかし具体的なシナジー効果のほどは聞こえてこない。約346億円の出資で持ち分適用会社にすると、今期でみると住友林業は8億5000万円近い配当収入が得られる。「当面は配当収入を得ながら・・・」では納得できない。

 改めて住友林業の至19年3月期の中計を見直してみた。売上高1兆1700億円(16年3月期1兆405億円)・経常利益550億円(同305億円)を達成するために「3年間で1500億円の投資を行うこと」「介護事業を注力分野の一つとし、500億円近くを投じ有料老人ホームを10から20施設に/デイサービス施設を3から10施設とする」と位置付けている。

 今春には神戸鋼系の介護施設15カ所を運営する神戸ケアライフを買収している。また同社では介護部門を担う子会社が「熊谷組が台湾をはじめアジアに有するネットワークは事業の海外化にとりかっこうの環境となる」としている。

 現時点で件の資本業務提携で浮かびがってくる姿は、ここに留まる。