清酒メーカーの売上は回復傾向 「獺祭」旭酒造が急上昇 帝国データバンク調査

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 帝国データバンクの調査によると、海外需要を取り込んだことで清酒メーカー全体の売上が回復している一方、必ずしも増収企業ばかりではないことが分かった。

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■清酒の売上は2011年から回復中

 21日、帝国データバンクは「清酒メーカーの経営実態調査」を発表した。これは同社が所有するデータベースから抽出した清酒メーカー1,254社を集計・分析したもの。

 2016年度における清酒メーカーの総売上高は4,416億900万円。これは前年度比+0.6%で、5年連続で前年比プラスとなった。

 ここ10年の推移をみると、2007年には4,700億円を超えていた売上は、2011年位は4,200億円台にまで減少。しかし2012年以降は前年比で0.5〜1%程度の増加が続いているため、かろうじて底を打った感がある。

■酒どころの新潟、長野、兵庫

 清酒メーカー1,254社の内訳をみると、都道府県別で最も多いのが新潟の84社。以下、長野(64社)、兵庫(57社)、山形(51社)、福嶋(49社)と続いている。

 創業年代では、明治時代が431社と最も多く、次いで江戸時代の399社と、この2つの時期で全体の3分の2を占めている。

 ただし江戸時代以前に創業したメーカーが14社あると同時に、平成になってからの創業開始メーカーも25社あるように、新旧様々なメーカーが共存していることが分かった。

■「獺祭」の旭酒造が売上を大きく伸ばす

 メーカー別で売上高トップは、兵庫県神戸市に本社を置く白鶴酒造で、2017年3月期の売上は約348億円だった。次いで月桂冠(京都市、約273億円)、宝ホールディングス(京都市、約248億円)、大関(兵庫県西宮市、約163億円)、日本盛(兵庫県西宮市、約147億円)、小山本家酒造(さいたま市、約113億円)、菊正宗酒造(神戸市、約110億円)の順。

 以上の7位までは前年と比較して順位は変わっていない。しかし前年の11位から8位に浮上したのが「獺祭」で有名な旭酒造(山口県岩国市、約108億円)だ。なんと売上は前年比+65.3%で、この調子で行けば2017年には5位辺りも視野に入りそうだ。

 もっとも、この後に出てくるように、そう簡単に生産量を増やせないのが清酒の難しいところで、高騰する転売価格が解消するのは、もうしばらく先のようだ。

■約半分の清酒メーカーで売上が横ばいに

 売上動向の調査結果を見ると、2016年に増収だった清酒メーカーは30.8%だった。これは2015年の35.5%から減少しており、旭酒造のように売上を伸ばしている企業は一部に留まっていることが分かる。

 ただし減収と答えた清酒メーカーの割合も、2015年の22.6%から20.9%と減っており、その分、売上が横ばいだった企業が増えた(2015年:41.9%→2016年:48.4%)形。

■海外の需要増加に応えることができるか

 資料によると「原材料価格の高騰などで必要な酒米を十分に確保できなかったほか、国内の清酒出荷量減少などが響いた」とある。

 国内におけるアルコール消費量は、飲酒人口の減少や嗜好の多様化もあって、清酒のみならず全体的に厳しい状況にある。では簡単に輸出できるかと言えば、そうは行かない。

 資料に「中小零細メーカーの中には、自社商品の拡販に注力する一方で海外での販売活動に明るい人材が不足し、好調な海外市場での販売機会を取り込めないケースもみられ」とある。

 ここで思い切って海外展開を進められるか、もしくは「獺祭」のように強いブランドを打ち出すことができるか。その辺りが清酒メーカーの岐路になりそうだ。