骨盤はゆがまない!なぜ“ゆがむ”と浸透してしまったのか?

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Googleに「骨盤」と入力すると、「歪み」と予測候補が表示されるほど、一般に浸透している「骨盤がゆがむ」症状。骨盤のゆがみを直すために、姿勢を正したり、矯正ベルトを付けている人も少なくないはず。しかし、本当に骨盤は“ゆがむ”のでしょうか? そこで、株式会社ライフタイム・アスリート代表取締役であり、これまでに1200名以上の肉体改造に携わった安藤ひろゆきさんに話をうかがいました。

骨盤がゆがんでしまったら大事件

安藤さんに、骨盤がゆがむ可能性があるのか聞いたところ、「ない」とキッパリ。

「基本的にはゆがみません。骨盤は真ん中に『仙骨』、左右に『寛骨』という腸骨、坐骨、恥骨がくっついたものです。それらの骨は強力なじん帯で固定されていますが、人が歩くために数mm程度動くようになっています。車に例えるなら、ハンドルを左右に回した際の“遊び”のようなイメージです。みなさんが“ゆがんでいる”というのは、骨盤が“ガタッ”とズレていることを指していると思いますが、1~2mm程度動くことはあっても、ズレることはありません。もし、ズレているなら、じん帯が損傷して切れている、すなわちケガをしている状態です」(安藤さん、以下同)

じん帯損傷のようなケガであれば、相当の痛みが生じるので病院で受診することになります。でも、「骨盤がゆがんでしまった」という人には、痛みの症状はほとんど出ていないと安藤さん。

骨盤はゆがむのではなくバランスが崩れている

ネット上には、骨盤がゆがむ原因として、「姿勢の悪さ」や「ヒール」、「鞄を片方の肩で持ち続ける」など、いろいろいわれていますが、これらが人体に与える可能性があるのは筋肉のバランスが崩れることなのだとか。

「骨盤はゆがみませんが、座り方や歩き方といった普段の癖などによって、筋肉が緊張したり、縮むべきところで縮まなくなったりして、筋肉のバランスが崩れてしまうことがあります。そうすると、体が前後に傾いたり、左右の高さが違ったりしてしまうのです」

つまり、「骨盤がゆがんで左右の高さが違う」というのは間違い。正しくは「筋肉のバランスが崩れて左右の高さが違う」ということ。

ちなみに筋肉のバランスを整えるために整体に行っても対処療法のため、治るのは一時的なもの。根本を改善するには、個人差があるものの3週間〜1カ月程度の時間をかけて、原因をつきとめ、部位にあったエクササイズや生活習慣の改善などを行う必要があるそうです。

「骨盤がゆがむ」は商業目的だった可能性

ここまでで、骨盤はゆがまない、万一ゆがんでいたら、一大事で整形外科などで受診しなければいけないことがわりました。しかし、なぜネット上には「ゆがむ」という言葉が蔓延しているのでしょうか?

「推測にはなってしまいますが、“骨盤がゆがむ”とは、おもに整体などでよく使われる言い回しで、人は“ゆがんでいる”と言われると、“治さなくちゃいけない”と考えます。こういったように恐怖を与えることは“ビジネスとしては”いいですよね。おそらく、商業目的で誰かが言い出したのが、広まってしまったのではないでしょうか」

どこかでカラダを見てもらった際に、「骨盤がゆがんでいますね」と言われたら、それはただのセールストークという可能性があることも覚えておくとよさそうです。

(文・奈古善晴/考務店)