ディズニーシーのシンボル「プロメテウス火山」を望む立地に建設されている独身寮(編集部撮影)

JR舞浜駅から徒歩15分、オリエンタルランド(OLC)本社から同10分ほどの場所に建築中の8階建ての集合住宅。総戸数249のこの物件は、OLCが2018年2月末の完成に向け建設中の社員向け独身寮だ。その狙いは「約10カ所に点在している社員寮を集約するほか、正社員の増加に対応するため」(同社広報)。

前2016年度には、テーマパークで働くキャスト(アルバイト)の管理などを担当する契約社員821人を正社員化。OLC単体の正社員数は2016年3月末の2230人から、2017年3月末には3146人に急増している。

独身寮が必要な本当のワケ


背景にあるのが、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーともに目白押しの開発計画と、全国的な人手不足だ。

来2018年度に開園35周年を迎える東京ディズニーリゾートでは、東京オリンピックが開催される2020年に向け、総投資額800億円超と、2001年のディズニーシー開業以来の大規模投資プロジェクトを進めている。

2019年度にはディズニーシーに大型アトラクション「ソアリン(仮)」がオープン。2020年春にはディズニーランドに『美女と野獣』エリアの開業が予定されている。キャストの管理を担う人材の正社員化は、こうした新施設のオープンをにらんだものでもある。

さらに、会社側は正式発表をしていないものの、2020年以降には平面駐車場を一部立体化し、ディズニーリゾートの敷地拡張と『アナと雪の女王』関連新施設の建設など、さらなる大規模開発が検討されている。

「急募」の求人チラシ


一方、足元で喫緊の課題となっているのが全国的な人手不足の影響によるキャストの採用難だ。

2017年の11月以降、キャストの採用を担う東京ディズニーリゾート キャスティングセンターが近隣の住宅地などに求人チラシを投函。物販施設の19時以降のクローズシフトを募る「急募」という表現からは、クリスマスシーズンや年末年始の繁忙期に向けた採用への切迫感も感じられる。


当記事は「週刊東洋経済」12月30-1/6日号 <12月25日発売>からの転載記事です

ディズニーリゾートで働くキャストは平均1.5万人以上。OLC側も「計画どおりの採用数は確保できているが、特に飲食や物販関連のキャストは採用に力を入れないと集めにくくなっている」と明かす。

同社の次の一手として大型開発計画ばかりが話題になるが、実質的な手元資金(ネットキャッシュ)は約2180億円(2017年9月末)と、財務的な懸念は少ない。むしろ新施設を支える社員・キャストの数と質をいかに確保するかが、今後のカギを握っている。