大きな経済効果と雇用を生むナイトタイムエコノミーは、行政にとっても重要。欧州の主要都市では「夜の市長」と呼ばれる行政ポストを設け、その旗振り役や調整役を担わせているようだ(写真はイメージです)

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要約者レビュー

 出張や旅行で地方都市を訪れた際、夜になると早々に行くところがなくなり、ホテルで仕方なくテレビを見て寝たという経験はないだろうか。もしその時間帯に魅力的な場所があれば喜んでそこへ赴き、大いに消費をするかもしれないのに。

 著者は日本人としては珍しいカジノ経営の専門家だ。日本でのカジノ合法化や統合型リゾート(IR)導入に関する議論でも、その意義や制度設計のあり方などを説いている。そんな著者の目には、日本のナイトタイムエコノミー振興策、特に行政の関与には、改善点が多数あるように映るのではないだろうか。

 カジノの象徴である米国ラスベガスは非常に華やかであるが、IR事業者への監査は非常に厳しい。経営層の犯罪歴や反社会的勢力との関わり次第では、査察を受けて営業停止になることもある。ひるがえって日本では、風俗営業法に反する飲食店などの深夜営業が事実上黙認されているなど、行政がナイトタイムエコノミーに関わる事業者をなかば野放しにしてきた。

 著者の主張する通り、ナイトタイムエコノミーに大きなポテンシャルがあるのはまちがいない。本書『「夜遊び」の経済学』はこれまで日本でほとんど論じられてこなかった、ナイトタイムエコノミーの経済効果と行政の役割がまとめられている貴重な一冊だ。地域活性化や観光振興、および新たな「公」の役割に興味のある方は、ぜひご一読いただきたい。(ヨコヤマ ノボル)

本書の要点

(1) ナイトタイムエコノミーとは、夕刻から翌朝までの経済活動の総称である。含まれる業種としては飲食、娯楽、教育、交通、不動産などがあり、その経済波及効果は非常に大きい。
(2) 大きな経済効果と雇用を生むナイトタイムエコノミーは、行政にとっても重要である。欧州の主要都市では「夜の市長」と呼ばれる行政ポストを設け、その旗振り役や調整役を担わせている。
(3) 「夜は寝るもの」という価値観が続いてきた日本では、ナイトタイムエコノミー振興に向けた取り組みが遅れている。ここで重要なのは「稼ぐ」こと、つまり消費機会の創出という観点である。

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