ソフトバンク・武田【写真:荒川祐史】

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松坂から背番号18を受け継いだ武田

 ソフトバンクの武田翔太が来季から背番号「18」をつけることになった。松坂大輔の退団によって空いた番号を継承したものだ。ホークスとしては19代目に当たる。

 背番号「18」といえば、日本球界ではエースナンバーとされるが、球団によって少し事情が異なる。ホークスでは歴代最多勝(221勝)の皆川睦雄は「49」「22」、2位の杉浦忠(187勝)は「21」。「18」をつけて100勝した投手はいない。

 ホークス歴代の「18」を振り返ろう。

〇1リーグ時代
中野正雄 外 1938年秋40試29安0本10点8盗 打率.201
国久松一 内 1939年-1942年376試324安4本83点91盗 打率.226
堀井数男 外 1943年82試66安1本21点6盗 打率.229
丸山二三雄 投 1946年-1948年100試35勝34敗629.1回 防率3.30

 戦前の南海の「18」は全て野手だった。そもそも日本プロ野球で「18」がエースナンバーとして意識されたのは戦後になってからだ。中野、国久ともに主力選手。堀井は、のちに南海の5番打者として活躍するが、1年目だけ「18」をつけた。息子の堀井和人も南海でプレー、「親子鷹」として知られる。

 戦後すぐに「18」をつけた丸山は同番号を背負った1年目に25勝を挙げたが、登板過多の影響か、2年目に10勝を挙げて以降、鳴かず飛ばず。1949年に中日に移籍した。

西岡は5年連続2桁勝利を記録

〇1980年まで
中原宏 投 1950年-1955年123試40勝31敗606.2回 防率3.17
福田弘文 投 1956年(登板なし)
東実 投 1957年-1959年45試2勝6敗106.2回 防率3.54
橋本敬包 投 1960年-1961年10試0勝1敗19.1回 防率8.55
西村省三 投 1961年-1970年41試3勝6敗102回 防率3.71
西岡三四郎 投 1971年-1975年122試38勝44敗0S690.1回 防率3.43
村上之宏 投 1978年-1980年98試14勝25敗5S326回 防率5.25

 中原宏は阪神から移籍。ドロップが売りの先発投手だった。福田弘文は専修大から投手として入団し「18」をつけたが1軍に出場することなく翌年には外野手転向。背番号も「28」になった。代打の切り札として活躍し、巨人に移籍して福田昌久と改名。引退後は巨人のコーチとしてV9時代の川上巨人を支えた。

 その後も東実、橋本敬包と投手が背番号を継いだが活躍できず。そのあとの西村省三は10年も「18」をつけていたがわずか3勝。引退後は西村省一郎と改名し、スコアラーとしてチームに貢献した。

 西岡三四郎は2年目の1969年から2年連続で10勝を挙げ、翌年から「18」に。通算5年連続で2桁勝利を記録し、エースナンバーにふさわしい成績を残した。プレイングマネージャーの野村克也監督のリードで才能が開花したと言われた。村上は78年に5勝8敗3セーブで新人王を獲得、大いに期待されたが以後、活躍できなかった。

通算92勝を挙げた山内、松坂は1登板で退団

〇1981年以降
山内和宏 投 1981年-1990年290試92勝107敗1S1662.2回 防率4.2
村田勝喜 投 1990年-1993年100試40勝45敗0S741.1回 防率4.02
渡辺智男 投 1994年-1997年38試4勝15敗0S170回 防率4.99
吉田豊彦 投 1998年(登板なし)
松修康 投 1999年-2000年3試0勝0敗0S2.1回 防率3.86
新垣渚 投 2003年-2014年148試60勝50敗0S956.1回 防率3.82
松坂大輔 投 2015年-2017年1試0勝0敗0S1回 防率18
武田翔太 投 2018年

 山内和宏は、山内新一、山内孝徳とともに「山内トリオ」を形成。南海からダイエー時代を通じ先発投手として息の長い活躍を見せた。ホークス歴代5位の92勝。球団の「18」では最多勝だ。

 村田はダイエー・ホークス初期の先発投手として活躍。93年オフに西武ライオンズにトレードされ、そのトレード相手の一人だった渡辺智男が「18」をつけた。

 吉田豊彦は南海時代から先発、救援で活躍した投手。98年に「18」をつけたが同番号では1軍登板がないまま阪神にトレードされた。松は東北福祉大から逆指名(2位)でダイエーに入団した左腕。「18」を与えられたが活躍できず、3年目に「12」に改めた。

 新垣渚は松坂世代。沖縄水産、九州共立大から自由獲得枠でダイエーに入団。1年目から8勝を挙げ、主力投手として活躍。この新垣がヤクルトにトレードされ、新垣とは高校時代からライバルだった松坂大輔がMLBから復帰して「18」をつけた。松坂は西武ライオンズ、ボストン・レッドソックスを通じて「18」をつけており、こだわりのある背番号だった。しかし3年間で1試合の登板にとどまり、今オフに自由契約に。武田翔太が「30」から19代目の「18」をつけることになった。

 他球団と同様、ホークスでも「18」はエースナンバーという認識があり、期待が大きな投手がつけることが多かったが、残念なことにその期待に十二分に応えた投手は少なかった。

 すでに48勝を挙げている武田はホークスの先発投手陣の一角を担っているが、エースナンバーにふさわしい成績を残すことができるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)