卵巣の腫瘍に関する投稿が先日、SNS上で話題になりました。看護師をしているという投稿者はある日、左下腹部に突然チクチクとした痛みを感じたといいます。やがて前屈みになっていないと耐えられない激痛となり、痛み止めを飲んだものの「生理痛でも便秘でもないし、もしかしたら死ぬかも」と救急外来へ。エコーの結果、左の卵巣が通常の3倍に腫れ上がり、捻転していることが判明。その後、「卵巣嚢胞(のうほう)」(正しくは「卵巣嚢腫(のうしゅ)」)と診断され、オペで膿を出さないと卵巣は小さくならないと言われたそうです。

 これに対し「うちの母親はこれで即入院→手術だったわ…」「私は手術した時既に壊死(えし)してて全摘出だった。本当に早く病院に行ってください!」「何気なくがん検診受けて腫瘍見つかったことあるし、みんな婦人科行こうね」など、さまざまな声が上がっていますが、卵巣嚢腫とは一体どのような病気なのでしょうか。オトナンサー編集部では、医師の尾西芳子さんに聞きました。

卵巣に血がたまるチョコレート嚢腫など

Q.「卵巣の腫れ」にはどのような種類があるのでしょうか。

尾西さん「『卵巣が腫れている』と診断された場合、多くの原因が考えられます。排卵前に卵胞が大きくなったり、排卵時の出血によって卵巣に血がたまることで卵巣が腫れて見えたりするものは、月経周期の中で起き、放っておいても自然に消えてしまうものです。一方『卵巣嚢腫』と呼ばれる腫れは放置しても消えないため、定期的な検査や治療が必要になります。良性の嚢腫としては、子宮内膜症が原因で卵巣の中に血がたまる『チョコレート嚢腫』、毛髪や脂肪、歯といった体の組織が入った『成熟嚢胞性奇形腫』、水のような液体が入った『漿液(しょうえき)性嚢腫』、粘度の高い粘液が入った『粘液性嚢腫』などがあります」

Q.卵巣嚢腫の原因と症状、治療法を教えてください。

尾西さん「原因は特に明らかではありませんが、上記のうち、子宮内膜症が原因となるチョコレート嚢腫は放っておくと不妊の原因になることもあり、要注意です。子宮内膜症の人は生理痛や排便痛などの症状があることが多いため、症状がある人は一度検査しましょう。また、チョコレート嚢腫から卵巣がんになることも分かっており、その点でも注意が必要です。卵巣嚢腫は4〜5センチの大きさになると嚢腫が破れることもあるほか、卵巣がねじれて急に腹痛が起き、救急搬送されて緊急入院となることもあるため、大きくならないうちに治療する必要があります。卵巣嚢腫の種類によって治療法は異なりますが、まずは定期的にサイズをチェックし、4〜5センチになったら手術するのが一般的です。チョコレート嚢腫はホルモン剤による治療が可能で、嚢腫が大きくなるのを予防したり、小さくしたりする薬があります」

Q.卵巣嚢腫を早期発見するためには何が必要でしょうか。

尾西さん「卵巣は嚢腫ができた場合でも、ある程度の大きさにならないと目立った症状が現れないことがほとんどです。子宮内膜症の場合は痛みを伴うこともありますが、多くの場合は健診で初めて卵巣嚢腫を指摘されます。また、卵巣がんも同様に、なかなか症状が出にくいため、見つかった時には進行していることも多い病気です。急に発症して悪化することも多いため、定期検査をしてもムダだという意見もありますが、チョコレート嚢腫のようにそこからがんが発生することもあるため、素地がないか知っておくことは大切です。検査法としては超音波(エコー)が一般的で、そこで何か問題があれば、MRIで確認検査を行うこともあります。一般的な婦人科健診では、子宮頸がんの検査しか行わない場合もあるので、超音波検査があるかどうか事前にしっかり確認してください」

(オトナンサー編集部)