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雪道でスタックすると、こんなコトに……

北海道のマツダのテストコースにご協力頂き、圧雪にシルバーのデミオを模擬的に突っ込む。雪を掻き分け力強く進むデミオだが、とうとう最後はスコップの力を借りることに。

こんな場所で、メーカーは何を開発しているのか。雪道取材第1弾はマツダ。まずは発売直後のCX-8で雪国の公道に飛び出してみた。

もくじ

雪道試乗
ー マツダCX-8 AWD車
ー FF車はどうか? CX-3で試す
“技術系のお勉強”
ー 「ヤクド?」
ー 0.2G 躍度・加速度モニターで計測
タイムトライアル
ーFRが最速 雪道慣れ早いFFも好タイム
スペック
ーCX-8 XD Lパッケージ(AWD 6人乗り)

雪道試乗

マツダCX-8 AWD車

えっ、ここホントに雪道だよね?

新型CX-8を緩斜面に停め、ステアリングを切った状態でアクセルを踏み込む。すると前輪が空転することもなく、スッと前進していく。何度かやってみたけれど、結果は同じだった。

スゴイ! まるでドライ路面だね。

マツダの4WDシステム「i-ACTIV AWD」の大きな特徴といえば、前輪スリップ予兆検知システムだ。タイヤの反力から路面μを推定するとともに、ドライバーが気づかないような微かな前輪スリップ(空転の予兆)をいち早く検知。予兆を検知すると、駆動力をリアに配分、前輪の空転を抑制する。さらに、常に微かなトルクを後輪にも伝達しておくことで、必要なときにタイムラグなく後輪を制御できるようになっている。まさに石橋を叩いて渡る制御。うわさには聞いていたけれど、正直ここまでスゴイとは思わなかった。


北海道にあるマツダ剣淵テストコースでの雪上試乗会にやってきた。

公道試乗で用意されていたのは、12月に発売されたばかりのCX-8。フロントまわりの意匠や車幅はCX-5ゆずり、全長や3列シートは海外向けのCX-9ゆずりという、いわばCX-5とCX-9のハーフモデルだ。実車を前にすると、エクステリアには貫禄をたたえ、インテリアには上質感があって、なかなかのイケメン。発売前の約3ケ月の間に月販目標1200台の約6倍となる7362台のバックオーダーを抱えているというから、上々の滑り出しだ。
 

FF車はどうか? CX-3で試す


路面はアイスバーンの上に新雪がちらちらと舞う、滑りやすい状況。不安を持ちつつゆるゆると走りだしたものの、雪道であることを忘れてしまうほど、まったく危なげなく走ってくれる。FRのクルマなら確実に滑るな、と思う交差点での右左折においても、CX-8 AWD車はしっかりとグリップし、ステアリングもスイスイ切れる。


同じくAWDのCX-3でも一般道を走ってみたが、雪道での走破性の高さでという点に変わりはなかった。

i-ACTIV AWD、優秀じゃないの!


クローズドコースではFFのCX-3にも試乗することができた。時速35km程度ではほとんどアンダーステアが出ることもなく、想像以上にしっかりと路面を捉えていたので、てっきりAWDだと思っていたら、FFだと聞いてビックリ。


これにはエンジンを使って荷重を最適化する「G-ベクタリングコントロール(GVC)」の恩恵も少なからずあるという。0.01G程度という微小な荷重コントロールとなると、ドライ路面ではその変化がわかりづらいが、車両がより不安定になる雪道では、その効果を実感することができた。
 

“技術系のお勉強”

「ヤクド?」


マツダのこの手の試乗会では、“技術系のお勉強” がセットになっているのだが、今回も開発陣の熱い視線に囲まれながら日暮れまで続く勉強会が待っていた。こちらも気が引き締まる。

マツダでは、特別な意識をしなくても、安心・安全で、“クルマが身体感覚になる”、そんな人間中心のクルマづくりを目指しているという。その際に、感じ方の指標として重視しているのが躍度だ。

ヤクド? なにそれ。


日常的には聞きなれない言葉だが、加速度が、速度の変化率を表すのに対し、躍度は、加速度の変化率を表す。つまり、加速度が変化していく勢いのことだ。具体的には、タイヤに力を加えたときの勢いと、体にかかるGの度合い、その両方を指している。


こんなシーンを思い出してみよう。バスに乗車中、変速時のショックでつり革を握っていないと立っていられないことがあるが、新幹線では発進時でも普通に立っていられる。この場合、双方の加速度には、それほどの違いはないが、躍度(=力の出し入れの緻密さ)には違いがあるということなのだ。
 

0.2G 躍度・加速度モニターで計測


今回は、躍度に対する理解をより深めるために、躍度・加速度モニターを設置したクルマでの試乗と、タイムトライアル(オートテスト)が用意されていた。コース内の気温は最高でも-2℃。積雪は約20cm、圧雪路になりかけの新雪路だ。雪が多い分、意外とグリップする。


躍度をうまくコントロールするためには、加速度が一定になるよう、つまり躍度をゼロに近づけるようなイメージで走行することが大切だという。それには、ゆっくりとスムーズな動作で行う。アクセルのオンオフは丁寧に、ブレーキもABSがかからないようにジワ〜ッと踏み込み、止まる瞬間にそっと抜く。そして急なハンドル操作は控える。


実際に運転してみる。0.2G程度の変動範囲を目指して、なめらかな操作を心がけるが、ちょっと気を抜くとすぐに0.4〜0.5G程度にまでグラフの波形が乱れてしまう。これをマスターするのは、なかなか難しそうだ。
 

タイムトライアル

FRが最速 雪道慣れ早いFFも好タイム


続いて行われたタイムトライアルでは、低μ路で躍度を意識し、自分の操作の勢いを自らがコントロールし、滑らかな走りでコースを走りきることが目的となっている。


周回を重ねるごとにタイムは良くなっていったが、タイムを狙って加速しすぎると痛手を負う。ひとつひとつの動作を丁寧に、確実に行うことが、結果的にタイムに繋がる。


3台の中で一番いいタイムが出たのは、意外や意外、FRのロードスター。後輪が滑りやすくコントロールはしづらかったが、雪遊び感覚で楽しめたのが良かったのか!? 次にコンマ3秒遅れでゴールできたのがFFのデミオ。普段FFに乗り慣れているせいか、扱いやすかった。3番目がアクセラ・スポーツ。練習ではまずまずだと思っていたが、4WD性能が高いせいか走りやすく、逆にスピードを出しすぎてしまうシーンも。適正なスピードであれば、もっといいタイムが出たはずだ。


丸一日を使って行われた雪上試乗会だったが、最新のマツダの技術が凝縮された、あいかわらず密度の濃い内容だった。

マツダといえば、魂動デザインやSKYACTIVエンジンといったキーワードが真っ先に思いつくが、いやいやどうして、i-ACTIV AWDによる4WD性能の高さという点でも、優秀である、ということに気づかされた。

マツダの四駆、結構やるな〜!
 

スペック

CX-8 XD Lパッケージ(AWD 6人乗り)

■価格 422万2800円 
■全長×全幅×全高 4900×1840×1730mm 
■最高速度 - 
■0-100km/h加速 - 
■燃費 17.0km/ℓ 
■CO2排出量 152g/km 
■車両重量 1900kg 
■パワートレイン 直列4気筒2188ccターボ 
■使用燃料 軽油 
■最高出力 190ps/4500rpm 
■最大トルク 45.9kg-m/2000rpm 
■ギアボックス 6速オートマティック 
■タイヤ ブリヂストン・ブリザックDM-V1 225/55R19