ツアー通算22勝を誇る李知姫 百戦錬磨のスイングに迫る(撮影:米山聡明)

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今季活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第29回はツアー通算22勝のベテラン李知姫(韓国)。生涯獲得賞金は堂々の2位、18年間で11億円あまりを稼ぎ出している強さの源には何があるのか。上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。

今年も「日本女子プロ選手権」で優勝し、国内ツアー通算22勝を挙げている李さんです。彼女のスイングは何といっても、フットワークのうまさが特徴です。実は、シーズン中にいきなり持ち球をドローからフェードに変えましたが、シーズン終盤にショットを見たとき、その精度が高かったことに驚きました。パットさえ入れば、何勝でもできそうな気がしたほどです。
来年の2月には39歳を迎えるベテランですが、第一線で活躍できるのは、フットワークのうまさに加え、スイングテンポがいいからです。どちらもツアーで3本の指に入ります。クラブの重さを感じながら、フットワークでスイングして、毎回同じテンポで振るイメージをいつも受けます。練習場で1球うつごとに、3回はトップからダウンスイングの切り返しをチェックしていますが、ここさえ決まれば、あとは振り抜くだけといった自分なりのポイントがあるのでしょう。足の動きで上体を捻り戻しつつ、胸とクラブを常に同調させています。ダウンスイングにかける思いは相当だと感じます。
アドレスではクラブをソールする際、2回ほど足の裏で重心位置を確認するようにリズムをとっています。そこから足でタイミングをとりながら、上体を捻転してトップをつくります。下から上へのイメージです。当然のように、ダウンスイングの切り返しも足からです。足全体でスイングをしている感覚でしょう。ダウンスイングの際、上半身はクラブの重さを最大限に感じ、その重さを足で振り下ろしているように見えます。また、グリップエンドは自分の近くを、クラブヘッドは体から離れたところを動いています。上体の動きとフットワークのバランスを考えて、それが一番効率的にボールをとらえることができるからです。上と下がしっかり連動しているダウンスイングだといえるでしょう。
フィニッシュの形を見ると、それこそ頭の先から足の裏まで一直線になっています。それだけバランスよくクラブを振っている証拠です。アベレージゴルファーの7割ぐらいはフィニッシュをとっていないと思いますが、スイングのバランスを最後に示すところであり、私は非常に大事なポイントだと考えています。いいスイングにはいいフィニッシュがついているのです。体重が右足に残ったとか、ボールを上げたいからだとか、たいていは体が空を向いた形になりますが、知姫さんのように、これだけスパーンと体全身をターゲットに対して真っすぐ向けている形をぜひ参考にしてほしいですね。
トップの位置とダウンスイングを変えてフラットな軌道にしようとしていたせいか、前半戦の成績はそれほどよくはありませんでしたが、それで夏ごろにフェードに変えたのかもしれません。フェードのほうが、自分の求めていた動きと合っていたのでしょう。ドローと比べて飛距離は多少落ちたかもしれませんが、その分、精度が上がったので、後半戦の成績もよくなったのだと思います。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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