◇レスリング全日本選手権最終日(2017年12月23日 東京・駒沢体育館)

 男女計10階級の準決勝、決勝が行われ、男子グレコローマン60キロ級でリオ五輪59キロ級銀メダリストの太田忍(23=ALSOK)が2年ぶりの大会制覇を果たした。今年の世界選手権王者の文田健一郎(22=日体大)との決勝戦は残り15秒で逆転。リオ五輪後に台頭を許した年下のライバルに意地を見せ、来年の世界選手権代表争いで一歩リードした。女子50キロ級では入江ゆき(25=自衛隊)が2年ぶりの優勝を飾った。

 勝った方も負けた方も泣いていた。「ここまで長かった」。この日、うれし泣きしたのは太田。だが先に絶望を味わったのも太田だった。

 リオ五輪銀メダリストとして臨んだ昨年大会、今年6月の全日本選抜で文田に連敗し、世界選手権代表を逃した。日体大で練習を共にする後輩は世界の頂点へ。だが、太田は分かっていた。「五輪後に僕も重圧があった。今回は文田選手に世界王者の重圧があった」

 相手の実力を謙虚に認め、1週間前には自らスパーリングを願い出た。「その時はボコボコにされた」というが本番ではお返ししてみせた。「相手は体力がない。後半勝負の練習をしていた」と残り15秒、得意のがぶり返しで投げて逆転の2ポイント。今回敗れれば階級変更まで考えていたが、不退転の決意を実らせた。

 これで文田とは4勝4敗。「これからも勝ったり負けたりがあるかもしれないが、最後に東京五輪で金メダルを獲るのは自分」。3年後の金メダルへ、競い合うほどに大きな目標へと近づく。