東京都調布市の「東宝調布スポーツパーク」では12月の夕方だったが、ナイターも楽しめた(筆者撮影)

ゴルフ人口が減少し続ける中で、ゴルフ市場の売上、ゴルフ場数も減少し続けている。日本生産性本部がまとめたレジャー白書2017によると、ゴルフ市場はピークの1992年の1兆9610億円 から2016年の8740億円と、この20年あまりで半減している。ゴルフ場数もピークの2002年2460コースから2016年2335コースと減少している。

また、ゴルフ場入場者数も一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会によれば、入場者ピークの1992年度1億0232万5000人から2016年度8682万6974人と大幅に減少している。当然ゴルフ場当たりの年間売上、入場者数も減少の一途をたどる。

入場者を伸ばし続けるゴルフ場

このようにゴルフ場業界が厳しい状況の中で、毎年入場者数が2000人以上増加し続けているゴルフ場がある。東京調布市にある「東宝調布スポーツパーク」だ。ゴルフのショートコース、ゴルフ練習場、テニスコートが併設されているスポーツ複合施設だ。このショートコースは昨年、入場者数が4万4000人を超えて、毎年2000人以上のペースで増えているのだ。今年の入場者の見込みも4万7000人近くを見込んでいる。通常のゴルフ場で年間3万7000人程度なので、その多さがわかる。


9ホールのゴルフ場全景(写真:東宝調布スポーツパーク提供)

東宝調布スポーツパークはその名が示すとおり、親会社は東宝株式会社。映画の撮影場、倉庫の跡地を利用してスポーツ施設を作ったものであり、オープンから今年で51年目をむかえる。

コースは9ホールのショートコースとはいっても、パー4が3ホール、最長のパー4は325ヤードありドライバーが打てる。トータル、パー30、1545ヤードである。


東宝調布スポーツパークを運営する油田哲(ゆた・さとし)社長(筆者撮影)

場所は調布市で最寄りの西調布駅から徒歩で10分程度で行けるところである。なぜ、増え続けるのか、東宝調布スポーツパークを運営する東宝共榮企業株式会社の油田哲社長に伺ってみた。

「お客様の6割は5km圏内ですが、それ以外は口コミです。全国のほとんどの地域からいらっしゃいます」

近隣にはチラシを配布しているものの、ホームページを見たり、口コミで来場するという。他のゴルフ場と比較しても、特別な集客をしているわけではなさそうだ。

プレーするホール数が減っている

「ただ、お客様のゴルフの楽しみ方が変わってきていることを感じます。それを端的に表しているのが、プレーするホール数。9ホールのショートコースで2度回れば通常の18ホールをプレーしたことになります。ですが、9ホールだけを回るプレーヤーが現在8割程度。昔に比べて圧倒的に多くなってきて、更に増える傾向があります」と油田社長は話す。

つまり、ゴルフはしたいがそこまで時間をかけたくないお客の潜在需要を満たしているのではないかと推定できる。スタート時間も平日の場合、早朝7時〜、日中9時〜、夕方15時〜で、時間帯により料金も変え、ライフスタイルの多様性に応えている。ちなみに平日、日中9ホールプレーで4600円。全体の客単価は5000円程度とのことである。

さらに、20〜30代の来場比率が40%、女性の来場比率が25%とゴルフ業界が喉から手が出るほど欲しがっている層を獲得している。特に毎週月曜日実施しているレディースデイは、9Hプレー代500円引き、併設のレストランで1コインランチ(500円)提供などのサービスをして、50%近く女性が占めるとのことである。

また、10代についても全体の8%の来場者があり、夏休みには40近くの大学ゴルフ部の学生を中心に、大学生も多く来場する。立地だけでなくプレー料金や開始時間などハードルの低さが若者を集めている。前出のレジャー白書2017によれば日本のゴルフ参加人口の52.8%が60歳以上、女性比率13.7%だ。この現実を打破する、1つのヒントが見えている。

日本は少子高齢化でゴルフ対象人口が減少し、さらに若者の参加が少ないことが課題だ。ゴルフ関連の17団体で構成されているゴルフサミット会議でも、ゴルフ振興の中期目標として20歳代後半から30歳代前半のゴルフ実施率を10%強に引き上げることが叫ばれているが、増えていないのが現状である。

海外に目を向けてみると、欧米ではゴルフの若者離れが目立ち、その理由がゴルフに時間がかかるためだという。その対策として米国ゴルフ協会では9ホールのみのプレー「PLAY9」を推奨している。

またヨーロピアンツアーでは今年の5月「ゴルフシックス」という6ホールで争われる変則マッチプレー大会が始まった。公式競技であり、16ヵ国から各国2名が参加する国別対抗戦だ。開催コースは英国のセンチュリオンクラブで6ホール全長2276ヤード、パー24のコース設定であった。まさに時代の先取りをしてきたのがこの調布のコースである。

実際にプレーしてみた

私も体験してみた。15時30分にスタートして17時30分過ぎにプレーを終了した。2時間弱で9ホールを楽しむことができた。冬の夕暮れは早いが、夕刻になり暗くなってくると、ナイター照明のLEDが点灯しプレーを続けることができた。夜は22時まで営業しているので会社帰りでも楽しめる。また、併設のレストランも夜の時間も営業していて、プレー後に仲間とお酒や料理を楽しめた。

この盛況がすべてゴルフ場に当てはまるとは思わない。しかし、9ホールのプレースタイルをもっとゴルフ場関係者は普及させてはどうだろうか。気楽に遊びに行けるゴルフスタイルが、子供や女性を含めたゴルフ初心者、若者を取り込めるのではと実感した。ゴルフへの新しい楽しみ方を提案し、ゴルフファーのニーズの変化に対応していけば、まだまだゴルフ場の活性化の余地はある。