韓国の理工系国立大学である韓国科学技術院(KAIST)が、iPhoneやiPadに、同大学の半導体製造技術が無断で使用されていると訴えたのを受け、韓国公正取引委員会が動き出した模様です。しかし、主張には不可解な点もあり、背後にSamsungの意向が働いているのではないか、とも指摘されています。

半導体の集積度を上げる製造技術が問題に

KAISTがAppleに権利を侵害されたと主張しているのは、finFET(fin field effect transistors)と呼ばれる、半導体の集積度を上げることで小型化と低消費電力化に効果のある製造技術です。
 
同技術を用いて製造されたチップは、iPhone Xをはじめ、iPhone6s/6s Plus、SE、7/7 Plus、8/8 Plusといった、2015年以降のiPhone各モデル、iPadシリーズに搭載されています。

仮に特許侵害が認められれば年間売上の30%相当の罰金

韓国の公正取引委員会は、この訴えを受けて捜査を開始するかどうかの審査を開始しており、捜査が始まれば通常、6カ月から10カ月で結果が出るとのことです。
 
仮に、Appleが同大学の特許を侵害していると判断された場合にはAppleの韓国法人に対して、年間売上高の30%に当たる罰金が科せられます。

Samsungの意向を忖度してAppleを標的に?

Apple関連の特許情報に詳しい米メディアPatently Appleは、finFET技術の開発段階で関わっており、技術的にも先行しているのは台湾のTSMCであり、KAISTではない、と指摘しています。
 
また、同技術の使用についての訴えが、チップを製造しているTSMCではなくAppleを対象としていることから、KAISTの訴えには政治的な思惑があり、背後にはKAISTと近い関係にあるSamsungの後押しがあるのではないか、と推測しています。

iPhone6s/6s Plusで問題を起こしたSamsung製チップ

ちなみに、iPhone6s/6s Plusに搭載されたA9チップにはSamsung製とTSMC製があり、Samsung製のA9チップは消費電力が異常に多い、との指摘が相次ぎ「チップゲート」として騒ぎになりました(その後の調査の結果、大きな差はない、とされています)。
 
翌年に発売されたiPhone7/7 Plus以降、iPhoneに搭載されているAシリーズチップは、全てTSMCが製造しています。

iPhone X発売直前にはAppleのオフィスに家宅捜索も

韓国とAppleといえば、iPhone Xの発売直前に公正取引委員会によるApple韓国法人への家宅捜索が入り、政治にも強い影響を持つSamsungの意向を汲んだ当局による、iPhone X発売の妨害ではないか、とも言われました。
 
韓国初となるApple Storeが2018年1月か2月、あるいは12月30日にもオープンすると言われるタイミングでの今回の訴えだけに、今後の動向によっては波紋を呼びそうです。

 
 
Source:Patently Apple
Photo:KAIST
(hato)