子供がサッカーに目覚める瞬間とは【写真:Getty Images】

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【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――子供がサッカーに目覚める瞬間

 子供はいつからサッカーに夢中になるんだろうか。先日、次男の練習を見ながらチームメートのお母さんと話をしていた。

お母さん「次男くんは家でサッカーのことばっかり?」

僕「いや、僕や長男がサッカーの試合やダイジェストを見ていたら一緒に観るけど、どうしても見たくて見ているというわけではないみたい。まだ、そこまでのめり込んでいるわけではないかなぁ」

お母さん「うちはほとんど見ないわね。パパが試合を見てる時に一緒に隣で見ながら話を聞いたりするのは好きみたいだけど、自分から見ようとはしないかな」

 すると隣に座っていたコーチが話に加わってきた。

コーチ「うちの子はもうサッカーのことばかりだな。時間があるとサッカーの試合を見ているよ」

僕「それっていつから?」

コーチ「いつだろう? でもここ半年くらいじゃないかな? ある日、急に見出すようになった」

“W杯ごっこ”から始まった長男独自のサッカーの楽しみ方

 そういえばうちの長男もそうだった。きっかけはブラジル・ワールドカップ。ドイツ代表の活躍をテレビで一緒に追いかけていた。優勝カップを掲げる代表をキラキラした目で見ていた。

 翌日休みだった僕に長男が尋ねてきた。

「パパ、ワールドカップごっこをしようよ!」

 サッカーをすると思って僕は一緒に外に出た。ユニフォーム姿でボールを持って降りた長男は早速、そこで蹴り始めるのではなく、自転車置き場の入り口にボールをセットした。うちの住まいは半地下に自転車置き場があるのだが、僕らはそこから選手入場を真似た。スマホに入っているFIFAアンセムを流し、長男と次男と僕はそれぞれの代表チームとして階段を上がった。審判役の次男がボールを手に取ると、その先で整列。国歌斉唱の時間だ。3人で円陣をして、さあキックオフ!

 と思ったら、「面白いね。もう一回やろう!」と入場行進を繰り返す。何度も、何度も。「今度は僕、イタリア代表ね。パパが審判」。結局、ほとんどボールを蹴らないで「ワールドカップごっこ」は終わった。とてもとても楽しかった。

 今では週2回の練習と週末の試合を心から楽しみ、週末のブンデスリーガダイジェストを欠かさず見て、フリーTVで行われるチャンピオンズリーグを観戦しながら、戦術やフォーメーションにも言及する。選手データに関しては、もう僕よりも詳しい。

 入り口は人それぞれ。楽しみ方も人それぞれ。きっかけはいろんなところに転がっているし、いつまでにとか、こういうやり方でという規則があるわけでもない。ひょっとしたら次男もそうなるかもしれないし、また違うサッカーの楽しみ方を見つけるかもしれない。

 自然と触れ合いながら、自分なりのサッカー感を作り上げてほしいと願っている。

◇中野 吉之伴(なかの・きちのすけ)

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

中野吉之伴
1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。