“黄金世代”を担う一人、吉本ひかる(撮影:村上航)

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今季活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第28回は、今年プロテストに合格した吉本ひかる。2016年にアマチュアながらステップ・アップ・ツアーで優勝を遂げると、プロ転向した今年もステップVを挙げた。そんな新鋭のスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
【連続写真】吉本ひかるのスイングは安定性が“光る”
今年のプロテストに合格した後、ステップ・アップ・ツアーで優勝を飾った吉本さん。通常、女子プロの場合、飛距離を稼ぐためにドローボールでゴルフを組み立てるケースが多いのに、彼女はフェードボールでゴルフを組み立てています。身長152センチと小柄なため、ボールを止めるだけのパワーが不足しているからでしょう。止まりにくいドローボールよりもスピンが効くフェードボールのほうが止めやすいですからね。ただ、彼女のいいところは、フェアウェイウッドやユーティリティアイアンの扱いが非常に上手く、ドライバーでの飛距離不足を十分補っていることです。まさに狙ったところを外さない申ジエ(韓国)さんのようなターゲットゴルファーだといえます。
アドレスではどっしりと構え、バックスイングではしっかりと上体を捻転しています。アベレージゴルファーだとなかなか背中を目標に向けることができないのに、吉本さんは背中が目標どころか、さらに10〜20ヤードぐらい右に向いています。
曲がらない秘密は、ダウンスイングで体とクラブを同調させていることです。インパクト後の形を見ると分かるように、ベルトのバックルの前に両手があります。体の回転スピードに合った速度でクラブを振っているからです。飛距離にこだわりがない分、ボールを叩きにいく動きがないからこそ同調性が生まれるのでしょう。正直、ここまでベルトを平行に回そうとする人は、ツアーでもあまりいないと思います。
腰の回転が平行だと、ダウンスイングでクラブヘッドが下りてくる入射角も安定します。フェアウェイウッドのように長いクラブは、パワーがないと難しいのですが、きちんとボールの横から払い打つことでミート率を上げています。それも安定したベルトの回転があるからです。
ドライバーでも払い打ちに近い形でボールをとらえているので、ロフトどおりにボールが上がり、スピン量も安定しています。緩やかな角度でヘッドを下し、急激に上げようとせず、そのままの角度で振り抜くので、スイングによけいな動きがありません。
ただ、1つ気になるのは、これだけ捻転が深く入っている割には、ダウンスイングの切り返しで上体を戻すタイミングが早いように感じます。もう少しトップの形を維持しながらクラブを下ろしてくると、タメも生まれ、飛距離も伸びると思います。インパクトが少し窮屈な形になっているのも、上体を戻すタイミングが早い分、それに合わせようとしてクラブを下ろしているからでしょう。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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