スタジアムの式典といったイベントも運営する(大阪府吹田市の市立吹田サッカースタジアム)

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 2020年に開催する東京五輪・パラリンピック。「今の受注レベルで1000億円は間違いなく取れる」。パナソニックの執行役員兼東京オリンピック・パラリンピック推進本部長を務める井戸正弘は、放送機器や家電などの受注に自信を見せる。これらに加え、インフラ整備やホテル、商業施設といった周辺の受注を500億円上積みする算段だ。

 しかし同社が真に狙うのは、20年を契機に広がるBツーB(企業向け)システムの市場。井戸も「五輪のおかげで、この技術が世に出たと言われるような種まきをしたい」と力を込める。ターゲットは観光、スポーツ、スマートシティー(次世代環境都市)だ。

 観光は訪日外国人がカギを握る。17年の訪日旅行者は、最高を更新した16年の約2400万人超えが確実視され、政府は20年に4000万人へ増やす計画だ。同社は多言語翻訳、避難誘導用デジタルサイネージ(電子看板)、電動車いすなど、旅行者をもてなすシステムやサービスを多数実用化している。

 一方、政府が成長を後押しするスポーツ産業向けは、16年のブラジル・リオ五輪から始めた式典運営のほか、スタジアム内店舗支援、競技分析なども提案中。五輪でシステムとサービスを組み合わせたソリューション事業の実績を積み上げ、新設や改修が計画されるスタジアム、国際会議施設などの受注を狙う。

 スマートシティーは、自社工場跡地を活用した街を情報通信技術でつなぐ。住宅、福祉、物流といった事業者と街づくりを進めるプラットフォーム型事業だ。この事業モデルは、観光やスポーツ向けシステムにも不可欠。18年に始める外国人旅行者向け手荷物配送サービスは、JTBやヤマト運輸にクラウドサービスを提供する裏方の役割を担う。

 BツーBのソリューション事業で成功するには“黒子”に徹することも必要だ。20年の東京五輪はこうした力を身に付ける最高の舞台。18年の創業100周年よりも重要な転機になり得る。
(敬称略)