男女が恋仲に発展するための最初のステップである、デート。

互いの愛情と絆を深めあうチャンスとなる一方で、玉砕する場合もある。

二人で同じ時を過ごし、同じ景色を見ていても、男女で感じるものは違うようだ。

あの時、君は何を思い、その行動に出たのだろうか...




真衣と知り合ったのは、友人が開催しているワイン会だった。

最初は知人のみ参加できる会だったが、ゲスト参加もOKとなり、現在は主要メンバー5人、ゲスト5人くらいの割合で開催されている。

各々指定された店や誰かの家にワインを持ち寄って食事を楽しむ場だが、月に一度の定例会は新たな出会いを生む場でもあった。

そんな中、初参加だった真衣を見て僕の胸は高鳴る。

綺麗な顔立ちに、上品な佇まい。可愛いというよりも美人という言葉が似合う。

「この会、初参加だよね?僕は主催者の友達で、知之って言います。慶應の医学部を出て、今は都内で父親の跡を継いで開業医として働いています。」

早口で自己紹介を済ませ、真衣に近づく。

「真衣です。初めて参加しましたが...皆様、ワインお詳しいですね。無知で恐縮です。」

ワインを愉しむという名目ではあるが、参加者はワインよりも出会いを期待して来ていることは明白だ。

男性はそれなりの肩書を持つ人が集まり、女性はそれなりのビジュアルを持った人が集まる。

目的が明確な分、連絡先交換もスムーズにできる。

「良ければ、今度美味しいワイン飲みに行かない?西麻布にお気に入りのお店があって。」

「わぁ、是非♡」

こうして、僕は真衣とデートすることになった。

振り返ってみても、デート中、僕のプレゼンテーションは完璧だった。それなのにどうして、真衣は僕に靡いてくれなかったのだろうか。


完璧だったはずのデートの落とし穴に気づかぬ男


Q1:結局、女性は年収と肩書しか見ていないでしょ?


西麻布にある『レフェルヴェソンス』は、ここ一番の勝負で使う店だ。繊細で美しい料理はもちろんのこと、良いワインが揃っている。




「今日は、お仕事お休みなんですか?」

グラスシャンパンを飲みながら、僕たちのデートは始まった。

「開業医だから。基本的に時間外は診察しないし、勤務医と違って比較的自由に働けるんだ。」

「そうなんですね!開業医なんて、すごいですね。」

「そんな、全くすごくないよ。父親が医者だったから、その他の選択肢がなかっただけの話で。」

僕の家は、代々医者の家系である。弟も医者になったし、僕たち兄弟には“医者”以外の選択肢がなかった。

「でもその分、家族は全員仲が良いのが自慢なんだけどね(笑)」

実家は目白にあるが、未だに週末は集まっている。

また真衣と出会ったワイン会の主催者とは慶應時代から家族ぐるみの付き合いで、皆ワインに詳しくてついていくのに必死だ。

ワインを飲みながらそんなことを話している間、真衣はウンウンと頷きながら、“知之さんは生まれた時からの勝ち組ですね!”なんて言いながら、僕の話を聞いてくれた。

「真衣ちゃん、仕事は何をしてるの?」

「丸の内にある貿易関係の会社で働いています。」

ワイングラスを口に運ぶ姿も優雅で、思わず見とれてしまう。改めて真衣を見つめ直すと、やはり美人である。

そうなるとますます、僕は真衣に良いところを見せたくなった。するとタイミング良く、真衣の方からキラーパスを投げてきてくれた。

「知之さんは、普段どんなお店に行かれてますか?色々とお詳しそうなので...」

正直に言うと、グルメ偏差値には自信がある。

元々父親がグルメだということもあるが、昔から美味しい食事が好きで、新店なども含めレストラン情報はマメにチェックしている。

「そうだなぁ...かなり王道だけど、銀座の『アピシウス』は昔から通っているよ。鮨は『三谷』。あと新店だと西麻布にできた『龍眉虎ノ尾 西麻布』とかは気になっているから、今度行こうと思ってる。」

さらに幾つかの店を挙げると、真衣はとても興味深そうな顔をしながら、身を乗り出して聞いてくれていた。

「すごいですね〜!さすが知之さん、お店選びのセンスも良いんですね。」

目をキラキラとさせている真衣を見て、僕は嬉しくなる。ワインも料理も美味しいし、会話も弾んでいる。

「この後、もう一軒連れて行きたいお店があるんだけど...どうかな?」

“行きましょう”と言ってくれた真衣を連れ、タクシーは外苑前へ向かって走り始めた。

タクシーの中で妙な沈黙が流れてしまったが、ここからさらに僕の快進撃は続いた。


勝利を確信していた知之の誤算とは!?


Q2:女性が言う「尊敬します♡」は素直に受け取っていいんでしょ?


二軒目は、青山にある会員制のバー『&b』にした。

内装もシックで洒落ており、メンバー以外は入れないというのが選民意識をくすぐってくれるバーだ。




「ここ、会員制なんだ。良いワインが揃ってるよ。」
「素敵なお店ですね。」

嬉しそうな真衣をみて、僕は更にテンションが上がる。

「赤ワインにしようか?サッシカイアとかどうかな?」

サッシカイアは赤ワインの中でも好きな銘柄だった。独特な華やかさが感じられる味わいで、まるで口の中に花を咲かせてくれるようなこのワインには、女性のファンも多い。

そんなことを語りながらオーダーする。

「これは何年の物ですか?」

真衣が赤ワインを見つめ、グラスを回しながら店員さんに聞いている。

「お!年代を聞くなんて、真衣ちゃんもワイン通になってきたね!」

「そんなそんな。やめてくださいよ〜。美味しいなぁと思って、興味本位で聞いてみました。」

ちなみにオーナーがワイン好きなのか、このお店にはミーハーなボトルからマニアックな年代物まで揃っており、僕が飲みたいと思うものは何でもある。

「凄い定番になるけど、やっぱりオーパス・ワンは美味しいよねぇ。あのカリフォルニアっぽい強さとまろやかさがたまらないと思うんだ。」

「たしかに、美味しいですよね。」

美女と飲むお酒は、格段に美味しく感じる。

「今度、銀座にあるフレンチに行かない?僕がよく行く店があるんだけど、そこもワインが美味しくて。真衣ちゃんも気に入ると思うんだよね。」

「気になります!さすが知之さん。ワインやレストランに精通していますね。尊敬します♡」

最後の一言に、僕は笑みがこぼれる。良いところも見せられたし、真衣も楽しそうにしている。

「次は、さっき話していた銀座のフレンチに行こうね。」

帰り際、タクシーに乗り込む前に僕は念押しをした。

「それまでに私も、ワインとレストランの知識身につけておきます!」

ヒラヒラと手を振り笑顔で去りゆく真衣を見ると、僕はすぐにでも次回のデートの日程を決めたくなった。

しかし、そこから真衣は僕のLINEに対して何も返信をくれない。“ご馳走様でした”とお礼LINEが来た以降、全く相手にもしてくれない。

デート中、全くミスは犯していない。
楽しく会話できたし、店選びもワインも全部が完璧だった。

あんなにも楽しそうにしていた真衣なのに、どうしてだろうか?

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真衣がデート中にひたすら気になっていたこととは?:デートの答えあわせ【A】

<これまでのデートの答えあわせ【Q】>
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