【スタッドレスタイヤ試乗記】ヨコハマ「アイスガード6」 ブロック剛性の高さが全てのドライブシーンに好影響:斉藤聡

【ギャラリー】YOKOHAMA iceGUARD 6156


『冬の怪物』のキャッチコピーで今年新登場したヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤ=アイスガード6。「氷に効く・長く効く・燃費に効く+ウエットと音に効く」というのが特長だ。

トレッドデザインは、2本の太い縦溝+2本のギザギザの縦溝と、太めの横溝でブロックを大きめに切り分けた、左右非対称パターンを採用。走りのしっかり感をより向上させるために、ブロックに刻んだ極細溝も進化させ、4段重ねのクワトロピラミッドディンプルサイプとした。三角の突起を持った3Dサイプを4段重ねにするだけでなく、その横に丸型の凹凸をつけ、ブロックに横方向の力がかかった時に強力に互いを支えあうように設計されている。


つまり、ブロックを大きくし、かつブロック剛性を上げているのがアイスガード6のトレッドデザインの特徴というわけだ。

当然、相応のコンパウンドグリップを発揮しているからブロック剛性を高くすることができるわけだ。


コンパウンドはプレミアム吸水ゴムと呼ばれる新コンパウンドを採用。これは、ダマになりやすい微粒子シリカを、シリカ高反応ホワイトポリマー(シリカとポリマーの接着剤)を採用することで分散性を高め、ゴムの柔軟性を高め、路面とコンパウンドゴムのミクロの密着性を高めグリップ性能を高めている。それに加えてゴムの劣化を抑え氷上性能を維持させるオレンジオイルSも使われている。ちなみにオレンジオイルSの効果で4年後もゴムの柔軟性を持続させ性能低下を最小限に抑えている。

新マイクロ吸水バルーンとエボ吸水ホワイトゲルの効果により、吸水性能は従来と比べ6%アップ。吸水バルーンの殻が氷の路面を噛むことでひっかき効果も発揮する。

これら新トレッドデザインと新コンパウンドの効果により氷上制動距離はアイスガード5プラスに比べ15%も短縮している。


ウエット性能も向上している。濡れた路面にも密着するプレミアム吸水ゴムを採用したことでウエット路面での制動距離も5%短縮。

しかも、氷上ウエット路面でのグリップ性能が上がっているのに燃費性能は向上している。従来ベースコンパウンドに採用していたゴムから、新・低発熱ベースゴムに変更することでエネルギーロスを44%も改善。転がり抵抗も2%低減しているという。

このほか、タイヤノイズも低減。パターンノイズを1.8dB低減することに成功。アイスガード5プラスの57.1dBに対してアイスガード6は55.3dB。騒音エネルギーに換算すると33%も低減しているという。

試乗してまず強く感じたのは、圧雪路面でのしっかりした手応えだった。ブロックの剛性が高く、しかもしっかりとグリップしているから、ステアリング操作にダイレクトにクルマが応答してくれるのだ。例えば、ハンドルを切り出した時も、微細な滑りが生じてからぐぐっと曲がり出すのではなく、ハンドルを切った瞬間から、操舵量と操舵速度に応じてスーッとクルマが向きを変えてくれるのだ。

アイスガード6は、横方向の溝が太く多め(に見える)なことからも分かるように、トラクション性能がいい。しっかりと雪の路面を噛んで蹴って、強いトラクション性能を見せてくれる。

こういった加速の場面でも、ブロック剛性が高いと、雪の路面をとらえている感覚がダイレクトに感じ取れる。だから、ホイールスピンさせないようなアクセルコントロールもやりやすい。


一般的にドライバーは、加速時のトラクション感や、ブレーキをかけた時の制動感で、横方向のグリップ性能をイメージしている。トラクション性能ばかりを重視して、横方向のグリップ力が期待値より少ないと、不安感を感じてしまう。

その点、アイスガード6は横方向のエッジの効きも良く、縦横のグリップバランスがいい。しかも、ブロック剛性が高いので高速(と言っても80kmくらいだが)旋回でもスキーでエッジを描かせて旋回しているような、ダイレクトに路面をとらえている感触がある。


多めにアクセルを踏んで、軽くホイールスピンさせても、トラクションがイッキに抜けてしまうようなことがなく、タイヤが前にクルマを進めようとする力が残っている。もちろんホイールスピンのさせ方次第ではあるが、案外クルマが横に滑りながらも斜め前に走ってくれ、ドリフトコントロールもかなりイージーだった。

もちろん、ごくごく普通に走っているときでも走りやすさは変わらない。ハンドルを切った通りに曲がり加速し、止まってくれるので安心して走れると思う。


氷も良かった。じつは北海道で行われた試乗会は気温が高く氷の路面でのテストができなかったのだが、改めてスケートセンターのアイスリンクを使ってテストすることができた。

感触的には、ヒタッ! とタイヤが路面に密着するような感じ。吸水性能が高く、コンパウンドグリップがしっかり発揮されていて、グリップが出ている手応えだ。走り出してみると、圧雪路同様ハンドルの効きがいい。ブロックのグニャつく動きがなく、ハンドル操作にダイレクトにクルマが応答してくれる。ブロック剛性の高さと、それに釣り合うグリップ性能が出ているため、こうした操縦感覚が得られるのだろうと思う。


もちろん速度を上げていけば滑り出すが、滑り出しの挙動もグリップの高さ、旋回速度から考えるととても穏やかだ。何よりインフォメーション性が良く、タイヤが滑る寸前がかなり正確に感じ取れるので、唐突に滑り出す感じがまったくしない。

走っていて、「あ、そろそろグリップの限界だ」とか、「そろそろ滑り出すかも」というのが、とてもわかりやすい。ここでも安心感が高いというのが一番の印象だった。

もちろんブレーキ性能も良かった。制動距離の短さももちろん感心すべきポイントなのだが、それ以上に減速感がちゃんと出ていて、止まってくれる、という安心感があるのが良かった。


じつは、アイススケートリンクを使った試乗会だったのだが、少しだけ、表のドライ路面を走ることもできた。予想通り、ブロック剛性が高く、サマータイヤと同等というのは大げさだが、これまでのスタッドレスタイヤと比べるとだいぶしっかり感も乗り心地も違う。ゴムがたわむような柔らかさがなく、良い意味でソリッド感のある乗り心地だ。ハンドルを切った時の応答も素直で、ヨレ感はほとんど意識しないで走ることができた。

ノイズも少なくなった。コンフォートタイヤほどではないが、普通に静かで、これならドライ路面の高速道路を走っていてもストレスにならないというくらいには静かだった。


全体の印象としては、コンパウンドグリップが上がり、ブロック剛性を高くすることができるようになったことが、ほぼすべてのドライブシーンでよい影響を与えているのだろう、と感じた。改めてブロック剛性が高いとハンドルの効きが素直になり、インフォメーション性が良くなる、というのを実感した。アイスガード6は、スタッドレスタイヤがまた一歩大きく進化したぞ、というのを感じさせてくれる性能を手に入れている。

ヨコハマタイヤ 公式サイト:アイスガード6
http://www.y-yokohama.com/product/tire/iceguard_6/

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