マツダによる、初代ロードスターを対象としたレストアサービスの受け付けが2017年12月13日より開始されました。

これに先立ち、12月10日にマツダR&Dセンター横浜にて「NAロードスターレストアサービス説明会」が開催され、対象車両、申し込みの方法やレストアの流れ、価格などが発表されました。

ざっくりいうと、その内容は下記の通り。

・対象はNA6のみでモデル、グレードの限定あり
・カスタマイズされていないオリジナル車両を基本する
・WEBから申し込み、書類審査などを経て対応可能かを確認
・費用は税込み250万円スタート、個別に有料の別メニューを追加選択可
・レストア完了時には第三者機関による認証書がもらえる
・レストアの希望があれば、まず相談を

このレストアサービスについて、ロードスターアンバサダーである山本修宏氏にお話をうかがったので、順を追って説明していきます。

■対象車両はNA6のみ

「当面の」という注釈がつくようですが、対象車両はNA6のみとなりました。初代ロードスターの1989年9月1日の発売から1993年7月のマイナーチェンジまでの、B6-ZE型1597cc直4DOHCエンジンを搭載したモデルです。

同じ初代ロードスターでも1.8Lエンジン搭載のNA8は対象外となります。また、NA6の中でもグレードにより対象から外れるものがあります。

レストアの対象はベースグレードのほか、アルミホイールなどが装備されるスペシャルパッケージ、Vスペシャル、Jリミテッドの各限定車。Sスペシャル、Sリミテッド、M2は今回の対象から外れました。

対象モデル・グレードが限定されるのは、専用装備となっていたダンパーなどのメーカー系カスタマイズパーツの再調達が、今回のレストアサービス開始アナウンスまでに難しかったため。サプライヤーとの調整で供給状況が変わった場合には対応モデルに追加される可能性もあるとのこと。

■カスタマイズされていないオリジナル車両を基本する

対象のモデル・グレードであれば、そのままサービスの対象になるとは限りません。クルマの状況によって、対象外になる場合があります。

その項目の中でも、多くのオーナーが気になりそうなところでは「オーナーにより大きなカスタマイズが行われているクルマ」を指す項目があります。

サービス開始直後ということもあり、まずは新車当時の状態へ戻すことを基本にしたいとのこと。新車当時に装備されていたものから変更されているパーツが多いものは、当面の間、対象外とすることになっています。

このほか、「ナンバーのないクルマ」や、「事故等の修正に問題があるクルマ」、「錆による侵食が激しいクルマ」なども対象から外されるようです。

■WEBにて申し込みし、書類審査などを経て対応可能かを確認

レストアサービスを受ける際の流れは以下の通りです。

1.WEBサイトで申し込み

マツダWEBサイト内の初代ロードスターのレストアサービスサイトにて、車台番号、年式・グレードとともに、希望のレストアメニューなどを記入して申し込みます。この段階で、適合車種であるかどうかも確認できます。

2.書類審査

WEBの申し込みフォームの内容をもとに書類審査を行います。車両の状態など、詳細について個別にヒアリングを行います。

3.車両確認

続いて、受付前に事前の車両確認を行います。確認場所は地域のディーラー等となっており、マツダレストアチームのメンバー立ち会いのもとで現車確認となります。この際、簡易的に各部を計測。数値が規定値に達しない場合、施されている鈑金リペアがある場合、その程度などにより、その時点でレストアサービスの対象外となることもあるようです。この確認作業により受け付けが可能となった車両は、広島または横浜での、車両受付へ進みます。

4.レストア受付

車両をマツダの広島本社または横浜のR&Dセンターへ搬入します。現状、受け渡し時に契約をおこなうため、本人が持ち込むことが前提となります。このとき車両の再計測が行われます。そこでもNGになる可能性もあるとのこと。なお、レストア費用のうち、3割ほどは作業前の前金として支払い、レストア後の納車時に残金を支払うことになります。

5.レストア作業

実際のレストア作業はマツダE&Tによって行われます。マツダE&Tは、東京モーターショーなどで展示されるようなショーモデルの製作も担当しているエンジニア集団です。またその過程は写真とともに一冊のブックレットとしてまとめられ、納車時にプレゼントされるとのことです。レストアは、受入検査、分解洗浄、塗装およびエンジンOH、組み立て、完成検査という順序で進み、1台の作業におよそ2ヶ月の期間を要するとのこと。

6.認定・納車

レストアが終了すると、テュフ・ラインランド・ジャパンのクラシックカーガレージ認定作業が入り、車両は納車手続きに進みます。納車についても広島ないし横浜で、ということになります。

■費用は税込み250万円スタートで、個別に有料の別メニューを選択可

費用は基本メニューの250万円からスタートとなり、個別のメニューを追加していく形式となります。

全車とも選択が必要
・基本メニュー(ボディ、エクステリア)…250万円(税込)

基本メニューにプラスして以下のなかから希望するものを選択
・インテリア…70万円(税込)
・エンジン・パワートレイン…80万円(税込)
・シャシー・サス…40万円(税込)
・エアコン…25万円(税込)
・ホイール・タイヤ…20万円(税込)

上記項目すべてを含むフルレストアが485万円(税込)となります。

●基本メニュー
・車両診断
・全塗装
・フタ物新品交換
・ランプ/ワイパー等交換
・復刻ソフトトップへ張替
・小ダメージの板金処理

すべてのレストアには基本メニューが含まれます。

この基本メニュー、外装はパーツ総取り替えで、フタ物とはボンネットフードや、フューエルリッドなどのこと。幌はもちろん、ボンネットやフューエルリッドなども新品交換となります。

再塗装される際、ガラスも外し新品に交換、エンジンも降ろしたホワイトボディと同様の状態にするため、エンジンルームも車内のフロアもすべて再塗装されることになります。ボディカラーは、シルバーストーンメタリック、クラシックレッド、クリスタルホワイト、マリナーブルー、ブリリアントブラック、ネオグリーン、サンバーストイエローが用意されています。

その後、新車時にはなかった工程として、クリアを吹き(エンジンルーム内、インテリアも)、磨きの作業を経て新車以上の仕上がりとなるとのこと。褪色することの多かった赤系カラーなども、クリアによって長く輝きを持続できるようになるそうです。

幌も新品に交換。新車時はドイツ製だった幌布はアメリカ製の同等品となり、新車時と同じイタリア製のリアスクリーンを使用して広島で縫製されます。シールドビームだったヘッドライトは、サンプル車両では小糸製のH4ハロゲンタイプに換装されていました。

 

●オプションメニューA・インテリア
・インパネ/トリム類
・シート表皮張替
・カーペット交換

 

インテリアのメニューでは、ダッシュボードやトリム類の腰上部分、シートやカーペットが新品に交換となるほか、ステアリングホイールはナルディ製の復刻版が取り付けられます。

 
 

●オプションメニューB・エンジン&パワートレイン
・エンジンOH
・吸排気部品交換
・冷却系部品交換
・トランスミッション交換
・ドライブシャフト交換
・デフ調整

エンジン・パワートレインでは、エンジンのオーバーホールとともに、マフラーなどの排気系パーツ、ラジエターなどの冷却系パーツが新品に交換されます。トランスミッションはシンクロ性能などが強化された、NBロードスターのものにアップグレードされます。エンジンハーネス類はカプラーのみの交換となるとのこと。

なお、エアクリーナーボックスは車両に装着しているものを清掃して使い、デフは調整のみと、部分的に新品交換にならないものもあります。

●オプションメニューC・シャシー&サスペンション
・サスペンション交換
・ブッシュ類交換
・ベアリング類交換
・ブレーキ部品交換

シャシー・サスのメニューでは、ブッシュはもとより、アーム類を含めたすべてを交換。ブレーキはキャリパーのみオーバーホールキットを使用。マスターバックなどは新品になります。

●オプションメニューD・エアコン
・エアコン関連部品(一部リビルト品使用)

エアコンについては、コンプレッサーなどを再利用するものの、ノンフロン仕様R134aタイプのレトロフィットにてオーバーホールされるとのこと。なおエアコンレス車へのエアコン装着の対応はありません。また、エアコンのメニューを選ばない場合でも、エンジンと補機類は塗装のために外されるため、エアコンで使用しているフロンは一度回収し、再利用することになるそうです。

●オプションメニューE・アルミホイール&タイヤ
・復刻アルミホイール
・復刻タイヤ(1台分)

タイヤ・ホイールは、いずれも復刻版への入れ替えとなります。発売当初の純正装着タイヤであるブリヂストン製SF325は、そのトレッドパターンはそのままに、現代の技術で当時の乗り味を再現した逸品とのこと。

基本メニューには「新品のキー」が含まれています。経年による摩耗等への対策ではありますが、粋な配慮といえそうです。また、ホワイトボディの状態になるため、取り付け時にボルト・ナットはすべて新品になるとのこと。

レストア期間中、希望者は日程を調整のうえであれば、見学が可能となっています。

基本的にメニューに入っているものは、レストアの直前に交換したものなどでも、ひととおり交換の対象になります。ただ、思い出のパーツなど、取り付けての納車などは相談可能とのことでした。

あわせて、レストア部位ではない部分などの機能損傷についてなど、判断が必要な事象については、都度オーナーに問い合わせして調整していくとのこと。なお、交換前のパーツについては持ち帰り、廃棄処分等について、選択できるそうです。

■レストア完了時には第三者機関による認証書がもらえる

レストアが終了すると、マツダの検査員によって新車と同様の完成検査が行われます。これには新車当時の規格にあわせ、すべての機能検査、アライメントなどもチェック。その後、山本氏によるフィーリング確認が実施され、サインが入った書類が添えられます。

レストア後の保証については、保証範囲がサービス施工範囲で、その内容は新品部品に1年、1万キロの保証となります。

さらに、第3者認証機関による認証書がもらえるのも今回のレストアサービスの特徴です。この認証書は、テュフラインランドジャパンによるクラシック・カー・ガレージ認証のプロセスを経てレストアがされているということを証明するもので、マツダのレストアサービスが世界で初めてこの認証をされたサービスということになります。

■レストアの希望があれば、まず相談してみる

これは全体的に言えることですが、マツダによるレストアを希望するのであれば、まずは相談してみるということが大事なようです。

今回紹介してきたレストアサービスの条件は「かなり厳しい」という意見を持つロードスターユーザーもいるかと思います。

このレギュレーションは、マツダが「せっかくマツダでレストアしていただくのだから、今できる最上級のものを提供したい」という志しをスタートラインにしているからだと思います。それはオーナーの手には新車以上の輝きを放つ愛車だけでなく、マツダでもオーナーでもない、第三者による認証をつけたころからも見えてきます。

ただ、そのためにハードルは高くなりました。オーナー自身が欲しているレストアの姿を伝えて、それに対してメーカー・ディーラー側から出てくる提案に納得できるのであれば、もう少しゆるい形態のレストアメニューが個別に生まれてくる可能性はあるのではないでしょうか。もしくはオーバーホールの範疇で対応してもらう等の提案があるかもしれません。

好評だった事前説明会に続き、西日本のユーザーへ向け、マツダ本社(広島)での説明会の開催が予定されており、12月22日頃にアナウンスされるそうです。

なお、この説明会は、参加しないとレストアサービスが受けられない(もしくは受付順位が下がる)というものではなく、事前にアナウンスがあったとおり、あくまでもレストアを希望するユーザーとのコミュニケーションの一環であるとの位置づけです。

ともあれ、マツダのレストアサービスの受け付けは開始されました。ぜひサイトを開き、国産車としては稀有なサービス、その歴史の始まりを覗いてみてはいかがでしょうか。

(古川教夫)

【関連記事】

マツダの「NAロードスターレストアサービスの事前説明会が12月に開催。参加申し込みは11月17日から11月26日
https://clicccar.com/2017/11/10/530203/

【関連リンク】
マツダ 初代ロードスターのレストアサービス
http://www.mazda.co.jp/carlife/restore/

価格は250万円〜。ロードスターが新車以上になるマツダのレストアメニューを徹底解説(http://clicccar.com/2017/12/22/539646/)