Amazonの快進撃は今年も続いた。

全世界の小売業売上高が22兆ドル(約2480兆円)を記録した昨年から、eコマースの巨人はさらに食指を伸ばし、今年は実店舗とオンラインの小売、広告、動画ストリーミング、電子決済など、いくつかの業態への関与をさらに深めた。食料品小売業界に激震が走った137億ドル(約1兆5400億円)のホールフーズ(Whole Foods)買収から、サーバー間ソリューションの急速な台頭まで、Amazonの2017年は事件の連続だった。

そんなAmazonの1年をタイムラインで振り返る。

2月2日:2016年決算発表


Amazonの2017年の事業年度は、1070億ドル(約12兆円)から1360億ドル(約15兆3000億円)への27%の売上増から始まった。アナリストの試算によれば、同社の年間売上は10年以内に1兆ドル(約113兆円)を超える。

2月26日:Amazon Studiosの映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』、アカデミー賞2部門受賞


Amazonはどこにでもいると、またしても証明された。Amazon Studios配給の映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、アカデミー脚本賞と主演男優賞(ケイシー・アフレック)の2部門を獲得した。

4月4日:NFL放映権獲得


Amazonは、NFLと5000万ドル(約56億4000万円)の契約を締結し、毎週10試合の「サーズデーナイトフットボール」を、Amazonビデオのライブストリーミングで、推定8000万人のユーザーに提供すると発表。全米のネットワークテレビ局とフットボールファンの注目を集めた。

4月24日:デジタルサブスクリプションサービス「Subscribe with Amazon」開始


Amazonはパブリッシャーへのちょっとした恩恵として、Subscribe with Amazonのローンチを発表し、パブリッシャーにAmazonユーザー向けのサブスクリプション販売の場を与えた。ユーザーは、ひとつのプラットフォームで購読する媒体を管理し、検索し、読むことができるようになった。

4月27日:部屋のなかのゾウ


エージェンシーグループWPPのCEO、マーティン・ソレル氏は、Amazonを「部屋のなかのゾウ(訳注:誰もが気づいていながら触れようとしない大きな問題をいう慣用表現)」と呼び、Amazonはエージェンシーが対処しなければならない次なる巨大勢力だという考えを示した。ソレル氏がGoogleとFacebookの寡頭制の出現を予期していたことを考えれば、この忠告を聞き流すのは得策ではない。事実、その後の数カ月で、エージェンシー各社は相次いでAmazonに特化したサービスを強化した。

4月28日:Echo Look発売


AmazonはAlexa搭載の200ドルの新ガジェット「Echo Look」を発売し、ベッドルームに新たな領土を獲得した。カメラ付きで、服装チェックや自分専用のルックブック作りができる。Amazonのファッション攻勢継続の表れだ。

5月24日:Amazon Channelsの世界展開


規模を問わずどんなパブリッシャーでもPrime会員向けに動画コンテンツをアップロードできるAmazon Video Directに加え、AmazonはAmazon Channelsの海外展開を開始。これは、メディア企業が自社のサブスクリプションをAmazon Videoを通じて販売できるサービスで、英国、ドイツ、オーストリアではじまった。発足時からの参加企業によれば、売上は上々だという。

6月13日:Prime ReloadでPrime会員に新たなメリット


Amazon Prime Reloadプログラムでは、デビットカードで専用口座に入金したPrime会員は、2%のキャッシュバックを受け取ることができる。いずれはこれに機能が追加され、銀行のようになるのだろうか?

6月20日:Echo Showのお披露目


Amazonのハードウェア製品ラインナップに新たに加わったEcho Showは、画面付きのEchoデバイスで、赤ちゃんモニターや動画ストリーミングなどへの使用を想定している。数カ月後、ライバル製品を開発中のGoogleが、Echo ShowからのYouTubeへのアクセスを遮断するという騒動が起きた。

6月20日:Amazon初のパーソナルスタイリングサービス、Prime Wardrobeが登場


Amazonは、ファッションeコマース業界の「買う前に試着」ブームに乗り、Prime Wardrobeを発表した。Prime会員向けのサービスで、ファッションアイテムをいくつか選び、家で試着して気に入ったものだけを購入し、残りは返品できる。どこかで聞き覚えがあるのではないだろうか? そう、Amazonは10月にIPOを予定しているオンラインスタイリングサービス、スティッチフィックス(Stitch Fix)に刺客を送り込んだのだ。

6月21日:ナイキの降伏


ナイキ(Nike)は、Amazonでの直接販売を開始するという「降伏宣言」を発表。これは、跋扈する転売市場から関心をそらすための妥協だ。ナイキほどの大ブランドでさえAmazonに取り込まれるようでは、抵抗は無意味と言わざるを得ない。

7月14日:CEOジェフ・ベゾス氏、マッチョに変貌


アイダホ州でのサンバレー・カンファレンスに出席したジェフ・ベゾス氏の写真が公開され、筋骨隆々とした姿への急激な変貌が話題になった。ワークベストにアビエーターサングラスを合わせたベゾス氏の姿は、Amazonを怒らせてはいけないことを物語っている。

7月18日:Amazon SparkでPinterestに対抗


発見の楽しさを提供するプラットフォームとはいえないAmazonが、Amazon Sparkを開始。これはPinterestとインスタグラムを融合したようなアプリ内機能で、ユーザーは写真を商品タグ付きで投稿し、インフルエンサーの雰囲気を楽しめる。

7月19日:Amazon Payが実店舗で使用可能に


開始10周年を迎えたモバイル決済サービスAmazon Payに、新たに実店舗小売サービスAmazon Pay Placesが加わった。レストランチェーンのTGIフライデーズ(TGI Fridays)が最初の加盟店となった。

8月28日:ホールフーズ買収


Amazonが正式にホールフーズの親会社となった。その直後、一部の商品価格は下落し、Amazon Echoが商品棚に設置された。食品小売の新時代の幕開けだ。

9月7日:第2本社の争奪戦開始


ベゾス氏が、米国内に新本社を設立すること、場所は現在検討中であることを発表。5万人の雇用と50億ドル(約5610億円)の経済効果が見込まれることから、各都市が誘致合戦を開始した。ジョージア州ストーンクレスト市は、選ばれたらアマゾン市に改称するとまで公約した。

9月11日:偽造品の取締強化


Amazonは今年、Transparencyプログラムをサードパーティーセラーにも拡大。これは、複数の販売店がシャネル(Chanel)などのブランドから偽造品販売で訴えられたことを受けての対応だ。Amazonは長らくブランドに対し、偽造品からの保護を約束する代わりに卸売を求めてきたが、その前提が崩された格好だ。

9月19日:コールズ、悪魔と取引


小売チェーンのコールズ(Kohl’s)がAmazonに門戸を開き、Amazonで購入した商品の返品の店頭受付とAmazonデバイスの店頭販売を開始すると発表した。Amazonの方針は「前進あるのみ」なので、小売チェーンは今後さらに振り回されることになりそうだ。

9月21日:ニューヨークの広告事業拡大


新本社の争奪戦が続くなか、Amazonのニューヨーク支社では新たに2000人の雇用が生まれる見込みで、その大部分は広告事業関連だという。

9月22日:おなかがすいたらAmazonへ


食品配送サービスのシームレス(Seamless)もうかうかしてはいられない。9月、Amazonの食品デリバリーサービスAmazon Restaurantsが発足。同じく食品配送企業のオロ(Olo)と提携し、200チェーン、4万店舗を傘下に迎えた。

10月4日:さよならヘッダー入札


Amazonのサーバー間ソリューション、Transparnent Ad Marketplaceは昨年12月にヘッダー入札の対抗馬として発足し、いまや広告業界でもっとも人気のあるアドラッパーとなった。Googleは焦りはじめた頃だろうか?

10月13日:アスレジャーに参入


Amazonは、次なるプライベートブランドのジャンルは(予想通り)スポーツウェアだと発表した。ヨガウェアで知られるルルレモン(Lululemon)のCEO、ローレン・ポットデヴィン氏は「恐れてはいない」とコメントしたが、本当だろうか。

10月17日:ロイ・プライス氏が辞任、4000万ドルの損失


セクハラ告発を受け、Amazon Studiosの幹部だったロイ・プライス氏が辞任した。また、ハリウッドの大物プロデューサー、ハービー・ワインスタイン氏に対する数々の告発をうけ、同氏の「ザ・ワインスタイン・カンパニー(The Weinstein Company)」がプロデュースを手掛けたデヴィッド・O・ラッセル監督の映画も製作が中止された。損失は4000万ドル(約45億円)にのぼる。

10月25日:Amazon Key、新たな地平を開拓


Amazonが発表した新たなPrime会員向けサービスは、彼(女)らが前の恋人には許さなかったことかもしれない。それは、部屋の合鍵を渡すことだ。Amazon Keyを利用すれば、配送ドライバーに留守宅に入って荷物を届けてもらえる。これは配送サービスの向上なのか、それとも犯罪を誘発するだけなのか? ネットの意見は割れている。

Hilary Milnes(原文 / 訳:ガリレオ)