豪華観光列車は人気だが(朝陽を浴びて庄内平野の水田地帯を走行する「四季島」号)

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JRは4月に発足から30年を迎えた。大都市圏を抱えるJR東日本、JR東海、JR西日本は、商業施設やホテルなど非鉄道事業にも力を注ぎ、高収益企業に生まれ変わった。3社の運賃引き上げは消費税率変更時の転嫁分だけだ。一方で鉄道網は新幹線を中心に再構築された。全国各地で採算の取れないローカル線、人口減少が進む今後の地域交通をどう維持すべきかという問題に直面している。

 整備新幹線の開通後にJRから経営分離された全国の並行在来線8社は10月、都内で連携協議会を設立した。初代会長に就いたIGRいわて銀河鉄道(盛岡市)の菊池正佳社長は「収益性の低い区間を抱える。沿線の人口減少、設備の老朽化。維持存続が強く危惧される」と訴えた。

 JR北海道は2016年末に、路線の半分以上は維持困難と明らかにし、地域と今後の持続可能な地域交通のあり方について協議を進めている。経営安定基金の運用益を頼りにしてきたが低金利で経営は危機的状況。再建には新たな枠組みの構築が不可欠だ。

 JR九州は豪雨で被災した福岡・大分県の日田彦山線を“単独復旧”は困難とし、自治体と協議を始める。不採算路線の整理は急務で18年3月のダイヤ見直しでは全運行本数の3%超を減らす。

 本州3社も他の収益でネットワークを維持している状況に変わりはない。地域の公共交通についてJR東の冨田哲郎社長は「鉄道以外の選択肢も考えていかなければならない」と示す。しかし、過疎地の鉄道維持に対する思いは強い。JR東は6月、不通が続く福島県・只見線の一部で、県に鉄道線路を譲渡する「上下分離方式」採用で復旧を決めた。

 今後、大きな課題となるのがメンテナンスの効率化だ。作業に携わる社員は高齢化、多くの施設は老朽化も著しい。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を使った新たなメンテナンス手法の実用化は、ローカル線の維持コスト抑制にも期待できる。
(文=小林広幸)