星野源の音楽は“みんなのもの”になった 「Family Song」までの繋がりから2017年の活動を辿る

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 先日、『ビルボードジャパン年間チャート2017』(計測期間:2016年11月28日〜2017年11月26日)が発表された。各種ランキングの指標が反映されたアーティストランキング(TOP ARTIST)で総合首位に輝いたのは星野源。さらに、総合ソングチャート(HOT 100)でも星野源が「恋」で1位という結果となった。

 星野源の総合首位には、今年8月発売のシングル曲「Family Song」のヒットはもちろん、2016年のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)主題歌として発表して以降、多くの人々に愛され続けている「恋」、自身の音楽スタイルの礎を築いたアルバム『YELLOW DANCER』にも収録されていた「SUN」といった、これまでリリースしてきた楽曲たちがWEB・ラジオなどあらゆる指標において上位をキープしたことが影響している。これはまさしく、星野源の音楽が2017年、時代のものではなく“みんなのもの”になった証だと言えるだろう。

「『YELLOW DANCER』でやったことを『恋』を通じていろいろな人に認識してもらったあとで、『YELLOW DANCER』を置いていかずにもう一度もっと濃い感じでブラックミュージックを昇華した作品をつくりたいとは思っていました」(参考:星野源、「Family Song」で向き合った新たな家族観「“これからの歌”をまたつくりたいと思った」

 『Family Song』のリリース時、星野源はこのように語った。星野の楽曲は、一つ一つ別のテーマを持ちながらも、数珠のように繋がり、自身が掲げる“イエローミュージック”の歴史を作り上げている。

 “繋ぐ”というのは、今の星野源の音楽活動にとって欠かせないワードだ。5月21日〜 9月10日の全20公演が行われた『Continues』ツアーでも、細野晴臣らポップミュージックの先達たちが残してきた「音楽の歴史」を繋いでいくという決意を、全国の音楽ファンに向けて発信した。

 また、今思えば、生放送による音楽&トーク番組『おげんさんといっしょ』(5月・NHK総合)も繋がりが一つのテーマだった。同番組で星野は“おげんさん一家”の母役・おげんさんに扮し、宮野真守(ネズミ)、高畑充希(父)、藤井隆(長女)、細野晴臣(長男)らとゆるくも微笑ましいトークを繰り広げた。出演者は星野とこれまで親交のあった、芸能の各分野で活躍する人物たち。彼らがふだんとは異なる性別(動物)や世代を演じ、一つの家族を構成する。そんな番組のシチュエーションは、のちに発表される「Family Song」MVの世界観ともリンクしていた。

 今年7月より放送されたドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)の主題歌として大きな注目を集めることになった「Family Song」。『過保護のカホコ』は『おげんさんといっしょ』にも出演していた高畑充希が主演を務めたドラマだ(このキャスティングについては偶然であったことがのちに語られた)。「Family Song」は、人それぞれに恋愛のかたちがあるように、家族のかたちも変わっていくーーそんな「これからの歌」を作りたいと思い制作された。ゆったりとしたテンポのソウルミュージックにのせた星野源のあたたかな歌声には、誰もを受け入れる懐の深さがある。決してわかりやすいノリや派手さはないが、いつまでも聴き続けることができる包容力のある曲だ。

 星野源の楽曲は今年、多くの人々の生活の一部として根づく力を手に入れた。来年には映画『ドラえもん のび太の宝島』主題歌・挿入歌を担当することも決まっている。2018年も人々の生活と音楽の歴史を繋ぐ、さらなる名曲が生み出されることになるだろう。(久蔵千恵)