ADL障害を抱える人の43%が関節炎(depositphotos.com)

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 日々の食事や服の着替え時、場所を移動する際や入浴時、あるいは排泄などの必要不可欠な日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)に支障はないだろうか――。

 もし、暮らし上で困難を伴なう動作が1つ以上思い当たる場合を「ADL障害」と定義して、中高年(50代〜60代前半の米国人男女)の実態を解析する研究が米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部のRebecca Brown氏らによって実施された。

 対象は、中高年のコホート研究(HRS:Health and Retirement Study)に「機能障害なし」の状態で登録した当時50〜56歳の男女6874人。その結果、最長例20年間の追跡期間中に、50〜64歳の研究対象者の22%にADL障害が認められた。

 また、ADL障害を抱える層の16%が、その後10年間でよりADLを低下させており、19%は死亡していた。困難を伴なう3大動作では、|綢悗─14%)、移動(11%)、F浴(7%)の順だった。

40代独身男性のメタボ率は既婚者の約2倍

 報告では障害の具体的な原因には言及していないが、ADL障害を抱える人の「43%に関節炎がみられた」点に触れている。一方で注目したいのが、「肥満者が(それと)同程度の割合を占めていた」という部分である。

 この『Annals of Internal Medicine』(11月14日オンライン版)に掲載されたBrown氏らの報告の2週間程前、東京慈恵会医科大学大学院健康科学の和田高士教授らが興味ぶかい調査結果を報告した。

 「第38回日本肥満学会」で発表された和田教授らの調査内容は、メタボリック症候群(メタボ)が発症しやすくなる「40代男性」に焦点を当て、婚姻状況の違いによるメタボならびに構成因子の違いを明らかにし、その原因を探るという初の試みだ。

 調査対象は、2015年に東京慈恵会医科大学附属病院人間ドッグを受けた「40代男性」2113人。内訳は、既婚者が1672人、単身赴任者が131人、(離婚者も含む)独身者が310人。

 質問票への回答と検査結果から比較分析した結果、同じ40代男性陣でもメタボ該当率は「独身者が22.9%」を占め、「既婚者(11.3%)の約2倍」という数値が読み取れた。

 メタボ予備軍では独身者(16.8%)と既婚者(17.5%)で大差が見られず、単身赴任者の場合はメタボこそ9.9%に留まったものの、予備軍は22.1%と要注意の首位を占めた。

孤食と男と独身と......

 メタボ構成要因(腹囲/血糖/血圧/中性脂肪)のいずれでも独身者が優位な高値を示したが、それは同調査結果が浮き彫りにした日常の暮らしぶり(その内訳)を比較してみれば納得がゆくというもの。

 細かな数値は省くが、独身者の場合は「1週間の外食日数」が3.8日で最多、「朝食を抜く割合が週3回以上」も最多。なのに「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上実施している」割合では最下位......。

 20歳時と現在のBMI(体格指数)比較でも半ば予測通りで、+9.2圓瞭反伴圓高い値を示した。

 さらに問題は「生活習慣改善の意向」を問うた質問への回答ぶり。こちらでも「改善するつもりはない」「特定保健指導を希望しない」という居直り傾向が最も多かったのも独身者だった。

 「定期的な運動や減量など生活習慣の是正によって、関節炎などの状態が良くなり、将来的な機能障害リスクを低減できる可能性がある。しかも理論上は高齢者よりも中年層の人たちのほうが運動によって得られる効果は高いと考えられる」

 これは前出のBrown氏らの報告掲載誌に付随論評を寄せているTomas Gill氏(米イエール大学大学院教授)の指摘だが、メタボ解析の和田教授らも「生活習慣」の比重の大きさや男性陣における「家族状況/婚姻状況の影響」を指摘している。

 東京医科歯科大学の最新研究報告では「同居者がいるのに1人で食事する高齢男性」の死亡リスクは、「家族らと一緒に食べる人」に比べて1.5倍も高まるとの可能性が示唆されている。

 「孤食」の2文字は、何も高齢を待たずに「40代独身男性」でも日々噛みしめている、苦い総菜のようなものか......。しかも、厚生労働白書では「独身40歳の5年後結婚率」が1%と推定されているらしい。

 日常生活動作(ADL)の障害対策も<備えあれば患いなし>。40代からやれることは少なくない。とりわけ、<未婚時代>を生きる独身男性は生活習慣の改善から臨むべし!
(文=編集部)