IGESのCOP23報告セミナー(12月1日)

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 温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が2015年12月に採択されてから2年。フランスやカナダなどが石炭火力発電の廃止を表明し、海外企業からも脱炭素宣言が相次ぐ。一方、日本は対策の遅れが指摘され、気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)の場で“環境後進国”のレッテルを貼られた。危機感を抱いた日本企業が、汚名返上へと動きだした。

風当たり強く
 「日本の石炭火力に厳しい見方がされていた。我々も石炭火力に厳しい姿勢でのぞまないといけない」。1日、都内で開かれた報告会で中川雅治環境相は、COP23に参加した感想を語った。

 英国とカナダが主導し、石炭火力からの早期撤退を目指す連合を結成するなど、COP23が開かれたドイツ・ボンは“脱石炭”一色だった。40基以上の石炭火力の増設計画を持つ日本は批判の矢面に立たされた。

 日本企業関係者も風当たりの強さを体感した。LIXILなどが参加した訪問団は、ドイツ・ボンで面談したクリスティアーナ・フィゲレス前気候変動枠組み条約事務局長から「石炭火力をアジアへ輸出することは正しい振る舞いなのか」と質問を浴びせられた。

ブランド低下
 富士通の山崎誠也環境・CSR本部環境エンジニアリング部長は「COP23会場で会う人、会う人に石炭火力のことを聞かれた。日本の石炭火力の増設・輸出は有名だった。悔しいと思った」と漏らした。石炭火力が、日本の環境ブランド低下を招いている。

 一方、米国は違った意味で注目を集めた。パリ協定離脱を決めた米国は、政府代表団を3分の1に縮小。しかし米国の存在感は低下しなかった。企業、州などが“WE ARE STILL IN(我々はパリ協定に留まる)”を掲げて集結。米国“非政府”ブースにパリ協定残留を掲げるカリフォルニア州知事、企業トップが登場すると会場は熱気に包まれた。

 11月下旬、シンポジウムに登壇したリコーの加藤茂夫執行役員は「日本がこのままでは、サプライチェーンから外されるだろう」と危機感をあらわにした。

 マイクロソフトは再生エネを調達できない地域にデータセンターを新設しないと公言する。またアップルは自社が使う電力全量の再生エネ化を進めつつ、取引先にも再生エネの活用を呼びかけている。安価な再生エネを調達できない日本は環境だけでなく、経済面でも地盤沈下が起きる。

消極姿勢転換
 パリ協定は「産業革命前からの気温上昇を2度C未満に抑える」目標を掲げて15年12月に採択された。

 実現のために温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す。英仏がガソリン車の販売禁止の方針を打ち出すなど、脱炭素が潮流となっている。

 日本は消極姿勢なままだと、世界から取り残される。加藤執行役員は「我々もWE ARE STILL INの日本版をつくりたい」と、会場に呼びかけた。