演技後、笑顔を見せる坂本花織

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 「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)

 代表2枠を争う女子はショートプログラム(SP)で坂本花織(17)=シスメックス=がほぼミスなしの演技を見せ、73・59点でトップに立った。フリーは23日に行われ、代表選手は24日に発表される。

 湧き上がる興奮を抑えきれなかった。圧倒的な高さと幅を誇るジャンプに、躍動的な演技でSP「月光」を完遂。ピアノの旋律がやむと、フィギュア界一表情が豊かな17歳から感情が怒濤(どとう)のように溢れ出た。

 勇ましく右拳を握ったかと思えば、終盤のスピンがふらついたことに苦笑いし「怖い怖い怖い」とキスアンドクライへ。参考記録ながら“自己ベスト”の73・59点が表示されると、目を見開き、口を覆った。堂々の首位発進で、優勝者が手にする五輪切符に王手。「予想よりはるかに点が出てビックリ。平常心でできた。ビビりは全くなかった。ドヤ顔?じゃないですよ」と否定しても、得意満面な笑顔は隠しきれなかった。

 今季が始まる前、坂本のこれだけの躍進を誰が予想できただろうか。昨季の世界ジュニア銅メダリストとはいえ、今季シニアデビューしたばかり。2枠の五輪切符には、まだ遠い存在と思われていた。それでも関西の誇る“元気印”は、まるで漫画の主人公のように試合のたびに着実に強くなっていった。

 地方大会にも果敢に出場し、今季はこれでなんと9試合目。他の有力選手が4〜5試合であることを考えれば、驚異的な試合数だ。「めっちゃキツい」と思っていた強行軍も持ち前の元気で糧とし、前回スケートアメリカで合計210点をマークし、宮原に次ぐ2位となり、一躍五輪代表候補に急浮上。「たくさん試合に出させてもらって、点も出るようになった。アメリカで一気に“イケるんじゃね”って」。指導する中野園子コーチは「全部こなしてやっていける子。一つのトレーニングとして試合に出てきた」と、その無尽蔵の体力を信じたがゆえのプランだった。

 23日は運命のフリー。「気を抜かず、落ち着いてやれば、フリーもノーミスできる。表彰台を狙いたい」。勢いは間違いなく、出場選手中ナンバーワン。嵐のような“カオリン劇場”が、4年に一度の極限の大一番をのみ込もうとしている。