品質データ改ざん問題に揺れる神戸製鋼所。今回新たに経営幹部の関与が浮上した(撮影:ヒラオカスタジオ)

やはり経営幹部が改ざんに「関与」していた。

神戸製鋼所は12月21日、一部製品の品質データ改ざん・捏造問題で、アルミ・銅事業部門を担当する執行役員3人が不正行為の一部を「認識」していたと発表した。弁護士3人からなる外部調査委員会が会社側に報告したもので、同調査委は関与の状況など詳細について引き続き調査している。

副社長に報告はなかったというが・・・

神戸製鋼所はこれまで、不正に関与したのは工場など現場の社員として、執行役員を含む経営陣の関与は確認されていないとしていた。

今回、不正の認識が判明した執行役員3人は、常務執行役員の藤井拓己氏と磯野誠昭氏、執行役員の平田誠二氏。藤井氏は2009〜2011年にアルミ鍛造品の大安工場長を務め、磯野氏は2008〜2013年に長府製造所の銅板工場長を務めており、その当時から不正を認識していた。平田氏は工場長の経験はないが、2017年4月からアルミ・銅部門担当の執行役員となり、何らかの形で不正を把握したという。

記者会見した梅原尚人・代表取締役副社長は「これら執行役員3人が不適切行為に直接関与したり、具体的な指示を出したりしたという報告はない。あくまで認識していたということだ」と語った。

不正を把握した後、是正策・改善策を採ろうとした形跡もあったが、結果的に不正は止められず、上長であるアルミ・銅部門トップの金子明・代表取締役副社長にも報告されなかったという。「取締役会への報告はされていない」と、自ら取締役を務める梅原副社長は断言した。

今回の発表だけでは、執行役員3人の具体的な関与のし方は依然はっきりしない。不正を「認識していたが、直接関与や指示ではない」ということは、「黙認していた」と解釈できる。だが、事業部門担当の執行役員が不正を黙認するということは、「不正は問題ない」と考えているのと同じだ。不正を行う部下が暗黙の指示と受け止めたとしても不思議はない。

また、アルミ・銅部門の執行役員3人がそろって不正を知っているのに、その上司であり、同部門の最高責任者である金子氏にまったく報告がなかったというのも、疑念がつきまとう。

会社の法的責任は格段に重くなる


11月10日に会見した神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長(撮影:風間仁一郎)

11月10日の会見で川崎博也・代表取締役会長兼社長は、自らが不正を把握したのは金子氏が執行役員3人から報告を受けた今年8月末であり、金子氏ともども「愕然とした」と語っていた。取締役である金子氏らが以前から不正を知っていたとすれば、会社の法的責任は格段に重くなる可能性が高い。会社としては、取締役会の関与だけは是が非でも避けたいところだろう。

外部調査委は現職の役職員だけではなく、役職員OBの関与についても調査中。そこまでさかのぼらなければ、不正がいつ頃始まったのかも究明できない。これまでの調査では、不正は検査データが残存する分だけで約10年前から行われていたことがわかっている。だが実際には、もっと長期にわたっていた可能性が高い。

今回、不正を認識していた執行役員3人は現在の委嘱業務をすべて解かれ、「アルミ・銅事業部門長付」とされた。上長へ報告しなかったことに対する事実上の「処分」であるが、最終的な処分については外部調査委の報告を待って、他の関係者とともに行うとした。

外部調査委の調査完了は当初、今年年内メドとされていたが、今回、来年2月末まで延期されることが併せて発表された。

その理由については、調査中の国内79拠点のうち「約7割の拠点」について行われた神戸製鋼所の自主点検では、手続きに何らかの不十分な点があり、さらに徹底した調査が必要と外部調査委から連絡があったからという。

どこまで組織ぐるみの不正だったか


梅原尚人副社長は「取締役会には報告されていない」と強調するが・・・(10月20日の会見、撮影:尾形文繁)

加えて、調査の一環として設置されたホットライン窓口に「複数の案件」が寄せられており、その中には「慎重な調査が求められるものが含まれている」という。複数の案件について梅原副社長は、「通報者の保護が重要であり、われわれに中身の報告はない」と語ったが、旧役員を含めた他の経営陣の関与についての告発である可能性も否定できない。

もし、旧役員を含めて何十年もの間、改ざん・捏造が続いていたとすれば、真の原因は何だったのか。11月10日に神戸製鋼所が中間報告的に発表した報告書では、「工場で起きている問題を経営が対処しなかった」としていたが、その内容が大きく修正される可能性がある。

経営陣が関与していたとすれば、工場の歩留まりを上げて不良品を減らし、コストダウンによって利益をカサ上げする目的以外にはないだろう。どこまでの組織ぐるみの不正なのか、外部調査委が真相を突きとめることができるかが焦点となる。