滋賀県の観光パンフレットと小冊子

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 男性トップは滋賀、女性トップは長野。男女とも最下位は青森――。

 これは厚生労働省が12月13日に発表した「2015年都道府県別生命表」による平均寿命だ。ここでいう平均寿命は、現在の0歳児の平均余命を指す。

 男女別の上位、下位は次のとおり。全国平均は男性80.77歳、女性87.01歳だった。

上位【男性】
(1)滋賀 81.78歳
(2)長野 81.75歳
(3)京都 81.40歳
(4)奈良 81.36歳
(5)神奈川 81.32歳

【女性】
(1)長野 87.675歳
(2)岡山 87.673歳
(3)島根 87.64歳
(4)滋賀 87.57歳
(5)福井 87.54歳

下位【男性】
(47)青森 78.67歳
(46)秋田 79.51歳
(45)岩手 79.86歳
(44)和歌山 79.94歳
(43)鹿児島 80.02歳

【女性】
(47)青森 85.93歳
(46)栃木 86.24歳
(45)茨城 86.33歳
(44)秋田 86.38歳
(43)福島 86.40歳

 男性部門で前回2位の滋賀がトップに躍り出たことが話題になっている。滋賀は女性部門でも4位に入った。
「長寿県」といわれている長野は、男性こそ2位に落ちたが女性は2回連続でトップ。逆に青森は男女ともに最下位で、「短命県」のレッテルを貼られそうだ。平均寿命の差は男性では滋賀と青森が3.11年、女性では長野と青森が1.74年となっている。

 こうした結果を踏まえ、厚労省の担当者は、こうコメントした。

「食生活など生活習慣の違いが反映している。滋賀は喫煙率が低く、食塩摂取量が少ないことも要因として考えられる」

 喫煙率と食塩摂取量がカギとなりそうだ、との見解だ。

 平均寿命と生活習慣の関係はどうなっているのか。厚労省の「平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要」から、いくつかの指標をみてみよう。

 BMI(肥満度を表す体格指数)の平均値(全国平均は男性23.8、女性22.6)。日本肥満学会の分類では18.5から25未満が普通体重、25以上30未満が肥満(1度)とされている。

 平均寿命男性トップの滋賀は23.9、2位の長野は24.3と、全国平均を上回っている。京都、奈良、神奈川は平均以下だ。一方、平均寿命下位グループは青森、鹿児島が24.5、岩手24.4、秋田24.1、和歌山23.9と5県すべてが全国平均を上回っている。

 女性では上位グループのうち平均を上回ったのは岡山と福井の2県で、長野、島根、滋賀は下回っている。下位グループは、福島の23.9を筆頭に秋田の22.8まで5県すべてが平均を上回った。

 次に食塩摂取量(全国平均男性は10.8グラム/日、女性は9.2グラム/日)。男性上位グループでは長野(11.8グラムで全国3位の摂取量)だけが平均を上回り、残り4県は平均以下。男性下位グループは秋田、鹿児島、青森が平均を上回り、岩手、和歌山は平均より下だった。

 女性上位グループは長野(10.1グラムで全国1位)と島根が上回り、福井、滋賀、岡山は平均以下。女性下位グループは栃木以外の4県はすべて平均を上回っている。全体的には「食塩摂取量が多い県は短命になりがち」との傾向がみてとれるが、長野のような例外もある。

 喫煙率の比較(全国平均は29.7%)。これはデータが男性しかない。平均寿命上位グループは、20.6%で全国一低い滋賀、奈良(22.0%)、神奈川(26.8%)の3県が平均以下。京都、長野は30%台で平均を上回っている。下位グループは、青森、秋田、岩手が30%超で平均より上。和歌山は29.7%でちょうど平均値、鹿児島は平均以下となっている。

 際立っているのは滋賀、奈良両県の喫煙率の低さだ。福井県(喫煙率2位、平均寿命6位)といった例外もあるが、喫煙率が高い県は平均寿命ランクで下になりがちである。

●総合的な暮らしやすさが平均寿命を延ばす

 厚労省のデータを基に体格や生活習慣と寿命の関係をみてみたが、ある程度の相関関係はうかがえるものの、これといった決め手はなかなか見つけにくい。

 長時間労働との関係はどうか調べてみた。厚労省の毎月勤労統計調査(平成27年/事業所規模30人以上)によると、総実労働時間の全国平均は1カ月で148.7時間。

 男性の平均寿命上位グループでみると、滋賀(148.0時間)、京都(141.7時間)、奈良(141.0時間)、神奈川(145.1時間)の4県が平均以下。長野だけが152.9時間で上回っている。一方の平均寿命下位グループは、鹿児島が下回っただけで、青森(157.8時間)、岩手(157.3時間)、秋田(151.3時間)、和歌山(149.8時間)の4県が平均を上回り長時間傾向にある。長時間労働の影響も考慮したほうがよさそうだ。

 一連のデータで目立つのは、滋賀県の数値がことごとく良いということだ。

 BMIは男性こそ平均水準だが、女性は22.1と全国で4番目に低い。食塩摂取量は、男性が全国5番目の低さ、女性は7番目の低さである。喫煙率は全国で最も低い。1日当たりの歩数では男性が17位、女性が4位となっている。旅行・行楽の年間行動者率は全国1位(79.0%)、スポーツの年間行動者率全国2位(67.9%)といったデータ(総務省の社会生活基本調査)もある。一戸建住宅の増加率も9.9%で全国1位(住宅・土地統計調査=総務省)だ。

 滋賀県は東京大学大学院医学系研究科の渋谷健司教授らがまとめた「日本の都道府県別の疾病負荷研究(1990〜2015年)」の調査結果でも平均寿命84.7歳(2015年)で長野県を抜いてトップになっている。

 滋賀県の健康寿命推進課の担当者は、こう受け止めている。

「県内19市町が、ボランティアの健康推進員さんたちと地域ぐるみで食生活改善や検診率アップの取り組みを行ってきた結果だと思います。琵琶湖をはじめとした恵まれた自然環境の中で、県民の皆さんがスポーツや旅行などで積極的に体を動かされていることも関係しているのかもしれません」

 食生活をはじめとする生活習慣はもちろんだが、日常生活を取り巻く環境のよさ、暮らしやすさが長寿につながっているのである。
(文=山田稔/ジャーナリスト)