けやき坂46、2017年の躍進と成長 “アンダーグループ扱い”からの脱却を読む

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 けやき坂46(ひらがなけやき)の『ひらがな全国ツアー 2017』が、12月13日に幕張メッセイベントホール公演でファイナルを迎えた。3月からスタートした同ライブは、6都市8公演で合計約2万8000人の観客を動員。今年の初めは欅坂46(漢字欅)の妹分やアンダーグループと認知されていた彼女たちが、単独での全国ツアーや主演ドラマ、そしてメンバーの増員など様々な経験を積み重ね、この1年で“けやき坂46”という一つのブランドの確立した。

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 けやき坂46とは、欅坂46に遅れて加入した長濱ねるの“居場所”として誕生したグループ。2016年5月8日にオーディションで選ばれた井口眞緒、潮紗理菜、柿崎芽実、影山優佳、加藤史帆、齊藤京子、佐々木久美、佐々木美玲、高本彩花、高瀬愛奈、東村芽依と長濱でグループとして始動。欅坂46の運営委員会委員長を務める今野義雄氏は「基本は同じ欅坂46の一員でありながら、別のグループとして活動していくという位置付けです。ただ、けやき坂46で頭角を現したメンバーが、欅坂46へ加入するといった動きはあるかもしれません」(『日経エンタテインメント!』2017年5月号)とその立ち位置を語っている。とは言え、齋藤が「正直1年前の今頃は『この先どうなるんだろう?』ってことばかり考えてましたし、漢字さんがいて、ひらがながいて、そのひらがなの位置づけってどういうものなんだろう?とずっと悩んでました」(『別冊カドカワDirecT 07』)とその立ち位置に不安を抱いていたように、けやき坂46は一体どこへ向かうのかと、ファンもメンバーも未知数の存在だった。

 2017年の年初め、漢字欅とひらがなけやきの32人が氷川神社で初詣を行った際は、各メディアで「欅坂46の下部組織 けやき坂46」と表記されていたけやき坂46。しかし、2月には「earth music&ecology KANKO Label」のビジュアルキャラクターに就任。けやき坂46メンバー単独の仕事で注目を集めた。けやき坂46がひとつのグループとして世間に認められ、いよいよ本格的に動き出したのかと今年の躍進を期待させた。

 また、バラエティ番組においても、3月に『欅って、書けない?』(テレビ東京/以下、けやかけ)で、2週に渡り「もっとみんなに知って欲しい!けやき坂46キャラ解説 by 長濱ねる」がオンエアされ、欅坂46とけやき坂46が本格的に共演。そこで齋藤のラーメン好きや低音ボイスがフィーチャーされたり、「媚びない人」と紹介された柿崎が守屋茜に腕相撲を挑み下克上を目論むなど、それぞれの個性が紹介された。着実にファンへの認知度を高めていく中で、ひらがなけやき単独ワンマンライブが3月21日と22日にZepp東京で開催となり、漢字欅よりも先に全国ツアーを開始することになる。

 同ワンマンライブは、漢字欅とひらがなけやきのグループカラーの違いを示したライブだったと言える。楽曲は欅坂46のものだが、けやき坂46がパフォーマンスすることで、また違った魅力があった。例えば、「二人セゾン」で平手友梨奈のソロダンスパートを、ダンスが苦手な井口眞緒が踊り、その健気で一生懸命な姿がファンの心を打った。けやき坂が欅坂46と比べ、「アイドルらしいライブ」と言われる由縁はここで生まれたのではないだろうか。

 初ワンマン、全国ツアー、雑誌のグラビアと本格的に始動し始めた矢先、4月6日に欅坂46の1stアニバーサリーライブで、ひらがなけやきの追加メンバーの募集が発表された。様々な憶測がファンの間で飛び交ったが、結果的に見ると、ひらがなけやきがアンダーではなく独立したグループとして活動するための体制作り、新しい風を吹き込むことによって長濱を漢字欅に専念させる流れを作ったと言える。

 7月には『KEYABINGO!3』(日本テレビ系)が放送開始となり、漢字欅と週替わりではあるがレギュラー番組を獲得。”今もっとも有名になりたいアイドル”という肩書きで登場したひらがなけやきは、汗と涙でビショビショになった初単独企画「60分間耐久ダンスサバイバル」をはじめ、定番の罰ゲームを率先して受ける企画や漢字欅との陸上対決など、貪欲にアピールを重ねることで、少ないチャンスをものにしていった。ライブでも、欅坂46初の野外ワンマンライブ『欅共和国 2017』や欅坂46全国ツアー2017『真っ白なものは汚したくなる』に参加。ひらがなけやきのパフォーマンスは、クールな欅坂46の世界観を一瞬にしてハッピーオーラに変えてしまう。そんな欅坂46とのギャップは、約半年間で培ってきた経験と成長が出した、ひとつの答えだったように感じる。

 そして9月、5thシングル『風に吹かれても』の選抜と同時に、長濱の欅坂46専任が発表。同時期にけやき坂46初主演ドラマ『Re:Mind』(テレビ東京)の放送が発表されていただけに、ファンやメンバーへのインパクトは大きかった。柿崎がブログで「寂しいとか不安とか、ネガティブな感情しか湧かなくて、ねるの為に結成されたけやき坂46に、ねるがいなくなったら私達の存在する意味がなくなってしまうんじゃないかなど、いろんな事を考えました」と心境を告白(参考:柿崎 芽実 公式ブログ | 欅坂46公式サイト)。ひらがなけやきメンバー全員が不安でいっぱいだったのだ。

 しかし、12月17日に放送された『けやかけ』で齋藤冬優花が「兼任、本当にお疲れ様でした。ねるが頑張れる、ギリギリのところまで最善を尽くしたね」と長濱を労っていたように、ひらがなメンバーも兼任で悩んでいた長濱の気持ちを知っていたため、それぞれ感謝の気持ちをブログに綴っていた。そして加藤は、「これから今いる11人と新メンバーでひらがなけやきを最高のハッピー集団になって、もう誰にもアンダーって言われないチームになりたいって心の底から思ってます」と力強く宣言。長濱の脱退は各メンバーの気持ちをより一層引き締め、けやき坂46が進化する起爆剤となった。

 10月は、ひらがなけやきの2期生新メンバーが『けやかけ』に初登場。金村美玖、河田陽菜、小坂菜緒、富田鈴花、丹生明里、濱岸ひより、松田好花、宮田愛萌、渡邉美穂の9名が加わったことでけやき坂46は20名の大所帯になり、新体制で新たな章をスタート。ファッションブランドのイメージキャラクターから始まり、レギュラー番組の獲得、全国ツアー、地上波ドラマ主演&主題歌タイアップと、2017年はまさに破竹の勢いで快進撃を続けてきた。今年のけやき坂46の活動には、「経験と成長」という言葉がしっくりくる。漢字欅の背中を追いかけ、長濱が抜けたことで新しいグループに生まれ変わり、それが形となったこの1年。今年1年で土台は出来上がり、自分たちの立ち位置も見つけたひらがなけやきは、これからがアイドルグループとしての本当の勝負と言えるだろう。(本 手)