今年も数多くのスマートフォン新製品が市場を盛り上げた。Galaxy S8で復活したサムスンや新世代スマートフォンとして生まれ変わったiPhone Xをリリースしたアップルなど、シェアトップのメーカーは期待通りのパフォーマンスを見せた1年だった。

その一方、日本ではほとんど話題に上がらなかったものの、ひっそりと復活し、気が付けばフルラインナップを揃えるまで復活したノキアの動きは注目に値する。

ノキアのスマートフォンは、元ノキアOBらが立ち上げたHMDグローバル(HMD)がノキアからライセンスを受けて製造販売している。ノキアはWithingsからウェアラブルやスマートヘルス部門も買収しており、一度は撤退したコンシューマー向け製品で2つの分野に進出している。HMDは今後タブレットの製造も考えていると伝えられており、2018年はさらなる製品数増加が期待できそうだ。

しかし2017年1月にノキアブランドのスマートフォンが市場に復活した時は、市場で生き残ることができるか懐疑的な声も聞かれた。ノキアのブランドは未だに衰えてはいないものの、市場にはすでに多くのメーカーが参入しているからだ。

しかも1月と2月に発表されたスマートフォン3モデル、「Nokia 3」「Nokia 5」「Nokia 6」は、エントリーからミッドレンジという、激戦区に投入される製品だった。あえてノキアを選ぶ層は、古くからのノキアユーザーや、親の使っている携帯電話にずっとあこがれており、それがノキアだった、といった若い世代などに限られていただろう。

ちなみにノキアマニアを自負する筆者ですら、この3モデルには食指が動かなかった。ノキアの名をつけるからには、ノキアである理由が無くてはならない......それが筆者の考えで、この3モデルはその点が弱かったのである。

例えばNokia 6は1600万画素カメラを搭載するものの、チップセットはSnapdragon 430。価格を抑える競合他社品よりカメラで優位に立とうというコンセプトなのだろうが、中国系の新興メーカーの製品に総合的なスペックでは負けていた。Nokia 3とNokia 5も、シャオミの低価格品と比べると目新しさに欠けていた。



だが2017年8月に発表された「Nokia 8」は、筆者の考えるノキアらしさを十二分に味わえる製品であり、大いに物欲をそそられた。カメラはカールツアイスの高画質レンズを搭載。しかも背面の2つだけではなく前面にも搭載。3つのカメラが同じ1300万画素で、どのレンズを使ってもほぼ同じ撮影結果が得られるのだ。

しかも背面と前面のカメラを使って同時に写真、動画、そしてライブストリーミングができる「Bothfie」(Both=両側と、Selfei=自撮り、の造語)に対応する。

ノキアのスマートフォンは過去にもカールツアイスとコラボした製品があったが、Nokia 8はそれを復活させてくれた製品だ。各社のスマートフォンがカメラに注力する中、ノキアも正面からその競争の輪の中へ参入していったのである。

基本性能という点でも、Nokia 8はQHD解像度のディスプレイやメタルフレームの高級感あふれるボディーなど、フラッグシップと呼ぶにふさわしい製品で、ようやく他社のハイエンド品と比較できるレベルに到達した。



このNokia 8のあとに登場した「Nokia 7」は、カメラはシングルながらもカールツアイスレンズの1600万画素と、解像度を高めた。フロントカメラは500万画素と一般的だが、Nokia 8同様に前後カメラを使うBothfieに対応。2つのカメラを使ったコミュニケーションはSNS向きであり、Nokia 7とNokia 8でノキアは新しいカメラの使い方を提唱したのだ。

2017年のノキアはこの後に99ドルの超低価格機「Nokia 2」を発表し、全てのラインナップが出揃った。このNokia 2は新興国を本気で狙った製品で、ロースペックながら4100mAhと巨大なバッテリーを搭載している。本当であれば最上位モデルとなる「Nokia 9」も年内に間に合わせたかっただろうが、わずか1年で6機種を一気に投入しただけでも十分といえる(Nokia 9は近々発表予定とウワサされている)。



最初の3モデルだけではHMDがノキアのスマートフォンをどのように市場展開していくかが見えにくかったが、最終的に特徴の異なった6モデルが揃ったことで、ラインナップはノキア全盛時代を思わせるものになった。

Nokia 8:超ハイスペック+カメラ新提案の新世代機

Nokia 7:スペック重視+高画質カメラのカメラ重視機

Nokia 6:大画面+高画質カメラのコスパ機

Nokia 5:あらゆるユーザー向けの標準機

Nokia 3:低価格ながらセルフィー重視のライトSNS機

Nokia 2:超低価格、新興国向けのデカバ機



さて、これで気になるのは、このラインの最上位に位置する予定のNokia 9のスペックだ。リーク情報などによるとSnapdargon 835に5.5インチ18:9のOLEDディスプレイ、1300万画素+1200万画素カメラなど、Nokia 8の性能を引き上げた性能となるようだ。Galaxy上位のような、エッジタイプ曲面ディスプレイの搭載も噂されている。

iPhone X、Galaxy S8など他社のフラッグシップにも負けない、堂々としたフラッグシップモデルだ。登場は2018年1月が予定されており、Nokia 9の登場でノキア復活の第一幕はひとまず完了となる。

それでは2018年のノキアはどのような新製品を出してくるのだろうか。古くからのノキアマニアやノキアファンとしては、QWERTYキーボード搭載や回転式などギミックを持った製品を期待したいだろう。しかしノキアはまだまだ市場に再参入したばかり。販売台数を考えても、まだ遊び心を持った製品を出す余裕はない。



IDCの調査によると、HMDのスマートフォン出荷台数は2017年上半期で1500万台だったとのこと。Nokia 3、5、6の3機種だけでこの数字というのは悪くはない。一方フィーチャーフォンは毎月1000万台売れているというアナリストの報告も聞かれる。2017年はノキアブランドの製品を広い市場に投入し、ブランド復活を市場にアピールする1年だったが、その目的は十分達成できたと言える。

2018年はそこから飛躍し、販売数を少なくとも倍増させる必要がある。

18:9ディスプレイの全面的な採用、フロントカメラのデュアル化などやるべきことはまだたくさん残っている。しかし他社の後追いだけでは販売数を伸ばすのは難しい。Bothfieのように自らが先駆けて新しいユーザー体験を消費者に提供することが、ノキアの完全復活には必要だ。

「iPhoneよりノキアのスマートフォンが欲しい」と思わせる製品をどう提案していくか。ノキアの2018年新モデルはどのような展開が行われるのか、期待したい。