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NTTデータは12月20日、都内で記者会見を開き、企業におけるAIを活用した分析業務の自動化を実現する分析オペレーション自動化フレームワーク「AICYCLE(アイサイクル)」を開発し、2018年1月から正式提供を開始すると発表した。なお、新フレームワークはNTTデータの技術開発本部、NTTデータ数理システムと連携して開発している。

新フレームワークは、AIが予測を行う際の判断ロジックとなる予測モデルを、さまざまなビジネス関連データやAIの予測結果・実績(予測と実績の良否)データを用いて自動的に評価・更新することにより、予測精度(予測モデルの品質)を維持する技術。

また、新フレームワークで分析モデルの構築やAPI発行、モデル適用(検知、予測)などを自動的に構築し、導入後も制度モニタリングや、モデル再構築、品質チェック、デプロイ指示、証跡管理をはじめ運用業務の自動化を実現するという。

NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 AI&IoTビジネス部 課長の野村哲郎氏はAIへの期待感として「AIは意思決定に関しては根拠を明示し、自動化については分析から業務運用までの自動化が可能だ。また、取り揃えることで状況に応じて交換できることとなり、これら3点がAIを業務導入するための必要要件となっている」と述べた。

AIは第1世代がルールベース、2世代が機械学習、第3世代がディープラーニングが主流となっており、業務の自動化・自律化という観点から考えると、これらの技術全般をAIの活用技術として捉える必要があり、同社では要素技術と顧客のユースケースの間を埋めていくことに注力し、インテグレーションしていく方針だ。

一方で野村氏はAIに対する期待感の高まりは一巡し、5つの課題が存在するという。同氏は「1つ目はデータが活用できないケース、2つ目はエッジ側の処理の仕組みが不十分、3つ目がAI開発特有の開発プロセス、4つ目が分析モデルのブラックボックス化、5つ目がデータサイエンティスト人材の不足だ」と、指摘していた。

1つ目の課題に対しては、すでに別のソリューションで対応し、3〜5つ目の課題には新フレームワークとなり、2つ目は新フレームワークの拡張で対応していく。

これまで、AIによる分析・予測精度を維持するために必要な予測モデルの更新は、データサイエンティストが行っていたが、自動化されることで高い頻度で人手をかけずに予測モデルを更新することが可能だという。これにより、ビジネス領域におけるAI活用が拡大していく中で課題とされている、データサイエンティスト不足や、予測モデルが周辺環境の変化に追随できないことにより生じる予測精度の低下問題の解決につながるとしている。

主な特徴として、(1)予測モデル構築に必要なデータの前処理(ETL)・蓄積、(2)予測モデルの精度低下を検知・再構築することで予測精度を維持、(3)予測の結果・実績データに加えて、過去運用した予測モデルを保存・管理、(4)機械学習フレームワークは、顧客の要件・インフラ制約などに合わせて選択可能であることを挙げている。

また、最新のデータを用いて予測モデルを再構築したとしても、予測精度が低く、ビジネスルールを満たすことができない場合、新フレームワークは予測を停止(=予測モデルの運用を停止)する。この際、過去に利用したデータや構築した予測モデル・予測結果・実績などを保存・管理しているため、それらを基にデータサイエンティストが解析を行い、新たな予測モデル構築を行うことが可能だという。

適応例としては、製造IoT、不正検知、デジタルマーケティングなどを挙げている。製造IoTではライン・機器不良の早期発見、不正検知では手口の早期検知、デジタルマーケティングは大量のキャンペーン分析モデルを自立的に維持することを可能とし、業務・状況変化に伴う分析精度劣化に自動・自立的に対応するとしている。

○三菱重工航空エンジンと「AICYCLE」の実証実験

同社は、三菱重工航空エンジンの航空エンジンブレード製造工程にAICYCLE(AIエンジン部分に、DataRobotが提供する機械学習プラットフォーム「DataRobot」を採用)を導入し、不適合品の早期発見工程改善の実現に向けた実証実験を行った。

検証内容は、品質データに基づく不適合製品の予測、予測された不適合製品の原因となる設備や品質異常箇所の推定、設備や品質異常箇所に対する推奨対策案の提示、メンテナンス時の工場停止時間や不適合製品率の削減効果検証を実施。

実証実験で確認した効果としては、不適合製品発生割合を47%削減、メンテナンスにかかる工場の停止時間を25%削減、これまで2カ月を要していた予測モデル更新の所要時間を2分に短縮。今回の結果を踏まえ、三菱重工航空エンジンではIoTやAI活用によるSCM高度化とスマートファクトリー化の実現のため、NTTデータと協業し、AICYCLEの適用拡大を検討していく予定だという。

今後、新フレームワークを提供開始する2018年1月以降、同社が提供する各種ソリューションに適用し、これらのソリューションと、同社のAIインテグレーションサービスを組み合わせることで、ビジネスシーンでのAI技術活用を促進し、顧客ビジネスのデジタル・トランスフォーメーションを支援していく考えだ。

さらに、製造業向けの展開に加え、金融や流通、マーケティングなど他領域での導入も推進し、2020年までにAI・アナリティクス領域において、500億円規模の売上を目指す。