この連載でも何度かふれてきたように、テレビでのジャニーズは、音楽番組、ドラマ、バラエティ、スポーツ番組というように次々と活躍の場を広げてきた。

 そのなかで一番後になったのが、情報番組・ニュースへの進出だと言えるだろう。

 情報番組・ニュースには純粋な娯楽番組の対極というイメージがある。しかし実際には、ジャニーズが情報番組・ニュースに出演するケースも近年増えている。つい最近も、東山紀之が10月からの新番組『サンデーLIVE!!』(テレビ朝日系)のMCに就任して話題になった。

 ではなぜ、そうなってきたのか? テレビの歴史を踏まえながら、そのあたりを今回は少し掘り下げてみたい。

(参考:NEWS 小山慶一郎、なぜ“アナウンサー化”進む?

 現在、テレビの報道分野で活躍するジャニーズと言えば、まず嵐の櫻井翔とNEWSの小山慶一郎の名が挙がるだろう。

 二人はともに、日本テレビ系列のニュース番組にレギュラー出演している。櫻井は夜11時台の『NEWS ZERO』のニュースキャスターとして月曜レギュラー、また小山は夕方5時前から放送されている『news every.』の第1部を中心に月曜から金曜までメインキャスターとして出演、すでにキャリアも長い。櫻井が2006年10月からなので11年余り、小山も2010年4月からなので7年以上と、もはやともに番組の顔と言っていい。

 そうしたなかで、レギュラー放送だけでなく大きな報道特番に出演することも多くなった。衆院選や参院選の特番である『ZERO×選挙』(日本テレビ系)に櫻井は2007年から、2014年からは小山も出演するようになっている。小山は2016年のアメリカ大統領選開票特番のメインキャスターも務めた。

 こうした報道番組にジャニーズが出演することには、まだ違和感を抱く人もいるかもしれない。だが情報番組やニュースの歴史をたどり直してみると、まったく意味なくそうなったわけではない。そこにはある種の歴史的必然性もある。

 現在各局で花盛りの「情報番組」の元祖的存在と言えるのが、1979年に始まった『ズームイン!!朝!』(日本テレビ系)である。平日の朝に毎日放送されたワイド番組で、司会は日本テレビアナウンサー(当時)の徳光和夫だった。

 この番組が画期的だったのは、ニュースのあいだの序列をなくしたことである。

 たとえば、従来のニュースを扱う番組では、国会での議論など中央(東京)で起こった出来事が必ずトップで伝えられるというような暗黙の序列ができていた。ところが『ズームイン!!朝!』はその序列をなくし、全国各地のニュースを「情報」として均等に扱おうとした。その象徴が、系列局を結んで地元の話題を地方局のアナウンサーがリレー形式で伝えていく「NSヘッドライン」のコーナーである(齋藤太朗『ディレクターにズームイン!!』日本テレビ放送網)。

 また司会の徳光和夫も入社以来スポーツ中継やバラエティ出演などがメインで、報道畑を歩んできたわけではなかった。だからニュースを読むアナウンサーというよりも、ニュースに対して自分の喜怒哀楽を素直に出す「徳さん」であり、それが人気の理由でもあった。そこから、情報番組のMCは報道のスペシャリストやジャーナリストである必要はなく、むしろ視聴者の代表の立場で司会をするというスタイルが出来上がっていった。

 そして最初に書いたように、近年ジャニーズがその情報番組のMCを務めることも増えた。

 理由としてはまず、“アイドルの寿命”が延びていることがあるだろう。

 現在、情報番組のMCを務めるジャニーズの多くが、TOKIOの城島茂(『週刊ニュースリーダー』)、山口達也(『ZIP!』)、国分太一(『ビビット』)やV6の長野博(『よじごじDays』)、井ノ原快彦(『あさイチ』)など40代だ。

 そうした情報番組の主な視聴者として想定されているのも同じ年齢層であり、それは彼らを長年応援してきたファンの年齢層とも重なる。またファンから見たアイドルという存在の親しみやすさは、情報番組のコンセプトである「視聴者目線」にそのままうまくフィットするはずだ。たとえば、長野博は今年4月から夕方の生活情報番組『よじごじDays』(テレビ東京系)の水曜MCになったが、得意の食材についての知識や料理の腕はもちろん、とてもソフトな司会ぶりを見せているのが印象的だ。

 もう一方で、1980年代になるとニュース番組にも大きな変化があった。

 そのきっかけになったのが、1985年に始まった『ニュースステーション』(テレビ朝日系)である。この番組のメインキャスターだった久米宏もまた、それまで『ぴったし カン・カン』や『ザ・ベストテン』(ともにTBSテレビ系)など娯楽番組を主な活躍の場としてきたアナウンサーで、ニュース番組へのレギュラー出演自体が初めてだった。

 ただ久米は、そのことをむしろ番組の長所にしようとした。そこで彼が心がけたのは、「中学生でもわかるニュース」「テレビ的なニュース」そして「楽しめるニュース」ということだった(久米宏『久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった』世界文化社)。

 つまり、ニュースは、テレビならではの視覚的な強みを生かし、わかりやすく、なおかつ楽しめるものでなければならない。この「わかりやすさ」と「楽しさ」を軸にするというポリシーの根底には、『ズームイン!!朝!』の場合と同じく「ニュースを伝える側」ではなく「ニュースを見る側」に立つという「視聴者目線」があった(同書)。

 特にニュースは楽しいもの、エンターテインメントであるべきという久米の考えは、ジャニーズのニュース番組への進出を理解するうえで一つのポイントになるだろう。

 舞台であれば観客、テレビであれば視聴者を楽しませることを常に第一に考えるのは、ジャニーズが始まって以来の一貫した哲学である。もちろんそれがニュース番組にも当てはまるとはさすがに思っていなかったかもしれない。だがテレビのほうが、『ニュースステーション』の登場などによって、「ニュース=エンターテインメント」という方向へと歩み寄ってきたのである。

 そんなテレビ自体の変化のなかで、ジャニーズがニュース番組に出演する道が開けたのではあるまいか。そしてそうなっていくなかで、少しずつではあるが、ニュース番組に出演するジャニーズたちも自分の特色を出すようになってきた。

 たとえば、櫻井翔は『NEWS ZERO』では話題のニュースをわかりやすく解説する「イチメン!」のコーナーを担当する一方、インタビュアーとして存在感を発揮している。元ソ連大統領・ゴルバチョフのような海外の要人、日本の政財界のキーパーソン、有名スポーツ選手など、その相手は多岐に渡っている。彼のインタビューを見ていると、話の流れを見ながらポイントをまとめていく力量の高さはもちろんだが、どんな相手でも話しやすくさせる空気のつくり方、そしてその根底にある彼の心遣いが感じられる。

 また小山慶一郎は、本職のアナウンサーにも劣らない滑舌の良さや原稿の読みの正確さがまず目につくが、一方で彼は、よく現場に足を運ぶ人でもある。災害などの現場はもちろんだが、学校などいまの若者たちが生きるさまざまな現場に行くことも多い。そのフットワークは、ニュース番組だけでなく『NEWSな2人』(TBS系)でも存分に発揮されている。そうした現場リポートの様子を見ていると、彼がその場の雰囲気や人々のちょっとした表情などから問題の本質をつかみとる直感に優れた人であるのがわかる。

 転換期を迎え、混沌とし始めている日本社会のなかで、視聴者本位に徹したよりわかりやすく、より楽しいニュースの必要性はますます高まっていくだろう。そうしたなかでジャニーズが魅力的な存在になりうることは間違いない。(太田省一)