企業の採用戦略の中でインターンシップの重要度が増しています (撮影:梅谷秀司)

もうすぐ2017年が暮れて新しい年を迎える。2018年に入ると、大学3年生や大学院1年生(2019年卒生)にとっては、就職活動の本番に突入することになる。

そこで採用スケジュールがどのようになっているのか、企業アンケートの分析から紹介していきたい。調査は、HR総研が2017年6月に行った上場企業・未上場企業の採用担当者に対するWebアンケート(有効回答178社)をベースに、経年比較を含めて確認した。

結論から言うと、注目すべき変化は2つある。まず1つは、インターンシップが採用のマストイベントになりつつあること。もう1つの変化は、選考開始が早期化していることだ。ただし、それらと異なる戦略で、採用に臨む企業もある。

6割超の企業がインターンシップを実施


2010年代に入ってからの採用施策で、最も重視されてきたのは、「大学との関係強化」だった。その背景には、就職ナビに過度に依存してきた、2000年代の採用施策への反省があった。しかし、2019年卒採用では、「インターンシップ」を重視する姿勢が鮮明になっている。

企業には「採用でより重要になると思われる施策」について尋ねているが、過去3年分のデータを見るとその動きがよくわかる。2017年卒、2018年卒では、企業が最も重視していたのは「学内企業セミナー」で、次に重きを置いたのは「キャリアセンターとの関係強化」だった。

しかし、この2019年卒から、潮目が変わった。最も重視する施策が「インターンシップ」(48%)になったのだ。インターンシップへの関心は年々増加してきたが、ついに「学内企業セミナー」を逆転した。とはいっても、大学との関係強化を重視する割合も多く、インターンシップと大学との関係強化は採用施策の両輪と言ってもいいだろう。

インターンシップだが、年々、実施する企業が増えている。HR総研の調査では、実施企業は2017年卒の48%から2018年卒が50%になり、2019年卒では63%と急増している。


インターンシップ実施企業のタイプ(期間、複数回答可)は、2019年卒で「半日程度」が19%、1日程度が46%で、半数程度が、いわゆる「1Dayインターンシップ」を開催していることになる。ただし、「2〜3日程度」(19%)、「1週間程度」(26%)、「2週間程度」(17%)、「3週間〜1カ月程度」(3%)、「1カ月以上」(5%)と、数日間や長期間のインターンシップを行っている企業も多い。

もっとも、今年(2019年卒)の調査では、「今年から1Dayインターンシップを始める」という企業が約3割を占めている。経団連が、採用に関する指針に記載していた「インターンシップは5日間以上」という、日数規定の文言を廃止した。これは大きな方針転換であり、企業が新たに1Dayインターンシップを開始する動機付けになっている。

もはやインターンシップは選考活動の場

「インターンシップがキャリア教育に有益」という点については、多くの識者の意見は一致するが、「インターンシップと採用選考」の関係についてはいろんな意見がある。

経団連はインターンシップを、「採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行う必要がある」、「選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しない」、と規定している。しかし、実態は異なる。

企業向けの調査で、「インターンシップの選考への活用意向」を聞いてみたところ、「インターンシップ参加者だけを選考対象とする」企業は8%だが、「インターンシップ参加者のうち、優秀な学生は考慮する」企業は最多の50%にも達した。「インターンシップ参加者には採用情報を提供する程度で特に考慮しない」企業は30%で、インターンシップ参加者を一切考慮しない」とする企業は3%にすぎない。

人と人との出会いは縁を生む。企業と学生が向かい合うインターンシップでは縁も生まれる。よい印象の学生に対して親切になるのは当たり前のことかもしれない。若手社員にインタビューすると、夏のインターンシップに参加し、そのまま翌春に内定を得た学生はかなり多い。

インターンシップの歴史について考察してみたい。広辞苑はインターンシップについて、「実務能力の育成や職業選択の準備のために、学生が一定期間、企業等で仕事を体験する制度」と説明している。発祥の地はアメリカであり、20世紀初頭からの歴史がある。しかし、日本での歴史は浅い。

国がインターンシップを推進する姿勢を明確にしたのは1997年のことで、国が作成した「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」には、インターンシップはキャリア教育や人材育成において有用と、積極的な意義を認めている。

2000年代にインターンシップは普及していき、単位認定する大学も増えていった。しかし問題も生じた。1つは、サービス業などで、学生を低廉な労働力として働かせたこと。もう1つは、就労体験とは言えない半日や1日で会社の概略だけ説明して終わるような、”名ばかりインターンシップ”が横行したことだ。

当初、1Dayインターンシップに厳しい姿勢を打ち出したのは、経団連だった。2011年3月に改定された「採用選考に関する企業の倫理憲章」で、就業体験を提供する5日間以上のプログラムのみをインターンシップとし、採用選考活動に関わるプログラムには「インターンシップの呼称を使わないことが望ましい」、とした。


この方針によって、1Dayインターンシップはいったん減少したものの、2年前の2016年卒採用から、採用募集を行う解禁日を12月から3月に後ろ倒ししたことで、12月から2月の時期に、短期間のインターンシップを実施する企業が急増した。そして実態に合わせる形で、経団連も前述の通り、日数規定を廃止するに至った。

インターンシップの定義から言えば、人事部主導で行う1Dayインターンシップは、本来のインターンシップとは言えない。とはいえ、「正しいインターンシップ」「本来のインターンシップ」という論議は、理念に足をすくわれているようにも感じられる。インターンシップは、若者に成長の機会を与えるものなのだから、1Dayであっても学生の”気づき”に役立つなら、それは有意義だと思う。学生には1社でも多くのインターンシップに参加し、ぜひ多くの気づきを得てほしい。

「3月開始」が最多、早期化が進んでいる


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「選考」の早期化も気になるところだ。企業に「選考開始時期の対前年比較」を聞いたところ、「遅くなる」とする企業はほとんどなく、「変わらない」が7割台となった。そして「早くなる」が2割台である。このトレンドは、ここ3年変化してない。

ただ、具体的な選考開始時期を聞くと、過去2年間は4月に始めるという企業が多かったが、2019年卒では、様相が変わっている。4月スタート企業は約20%に後退し、一方で、3月スタート企業が30%に増加、3月と4月が逆転する結果となった。選考開始がさらに早まることが予想される。

一方、内定出しの開始時期は、それほど変化は見られない。2018年卒の内定出し開始時期は4月が21%(前年23%)、5月が最多で、24%(前年26%)、選考解禁の6月は17%(前年19%)となっている。