手形・小切手の電子化は進むか。全銀協が官民連携で検討

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 全国銀行協会(全銀協)が手形と小切手の電子化に向けて産業界や関連省庁と協議に入った。電子化のスケジュールや進め方を含め最終報告を2018年末に公表する。手形・小切手の流通量はピーク時の1割まで減少したが、商習慣として浸透しており、経理事務のIT化を負担に感じる一部中小事業者の間で根強いニーズもある。全銀協はこうした実態を踏まえながら官民連携で検討を進める考えだ。

 全銀協が事務局を務める手形・小切手機能の電子化に関する検討会が18日始まった。政府が未来投資戦略で「オールジャパンでの電子手形・小切手への移行」を掲げたことに伴う動きだ。

 利便性の高い決済手段として定着した手形・小切手だが、紙であるがゆえのコスト負担やリスクがある。検討会では生産性の向上や社会的コストの削減、人手不足の対応の観点から、電子化への課題抽出や方策を官民で議論する。

 手形・小切手の流通量は、振り込みの利便性が上がったことなどから、ここ二十数年で大幅に減少。しかし根強いニーズがあるのも事実。全銀協が今年実施したアンケートでは回答企業860社の約半数が手形や小切手を利用している。

 他の決済手段に移行しない理由として、振り出し側では支払いサイトの確保、受け取り側の希望、自社の慣習を挙げ、受け取り側では振り出し側の希望が挙がった。資金繰りの安定化や個社の事情だけでは変えられない商習慣が電子化の壁となっている。

 一部の中小や小規模事業者の間でIT化が進まないこともある。18日の会合では日本商工会議所など3団体が、ITリテラシーが乏しい中小でも使いやすい制度や社会的混乱の回避に向けた対応を検討し、中小が不利益を被らないようにすべきとの意見を挙げた。

 現在、手形については電子記録債権(でんさい)へ、小切手についてはインターネットバンキングなどを使った振り込みへ、代替する案が挙がっている。3団体はIT化投資のほか、でんさいやインターネットバンキングの利用料といった負担が発生するため補助金による国の支援や金融業界の努力が必要だとの認識も示した。

(文=池田勝敏)