ユニーが運営する神奈川県のピアゴ座間店は2018年春にMEGAドン・キホーテに転換する(撮影:大澤誠)

「正直驚いた――」。東海地区を中心に総合スーパー(GMS)を運営するユニーの佐古則男社長は、ドンキホーテホールディングス(HD)との提携話を聞かされたとき、こう感じたという。

12月8日、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は傘下のユニーが子会社を設立したと発表した。子会社はGMSからディスカウントストア(DS)に切り替える店舗の管理を行う。提携先のドンキHDのノウハウを生かし、低迷するGMSをディスカウントストア(DS)に転換を進めていく方針だ。

GMS事業は思ったより厳しい


8月に開かれた会見でユニー・ファミリーマートHDの郄柳浩二社長(左)とドンキホーテHDの大原孝治社長(右)は固い握手を交わした(撮影:今井康一)

新子会社の社長にはユニーで上席執行役員を務めていた梅本稔氏が、副社長にはドンキHD傘下の長崎屋社長を務める関口憲司氏が就いた。

ユニー・ファミマHDとドンキHDは今年8月に業務提携し、11月にドンキHDがユニーの発行済み株式の40%を取得。DSへの転換はまず、2018年2〜3月にかけて、神奈川県や愛知県などの6店舗で実施する。

ユニーの親会社であるユニー・ファミリーマートHDは、2016年9月にユニーとコンビニ大手のファミリーマートが経営統合して発足した純粋持ち株会社だ。当時のファミマはコンビニの国内店舗数で3番手。ユニー傘下のコンビニ、サークルKサンクスと統合し、ローソンを抜いて2番手に躍り出た。

一方、苦戦が続いていたユニーは不採算事業の整理や店舗閉鎖を進めてきたが、「GMS事業は思ったより厳しい」(ユニー・ファミマHDの郄柳浩二社長)という認識のもと、経営破綻した老舗GMS・長崎屋を立て直したドンキHDとの提携に舵を切った。

親会社からドンキHDとの提携話を聞いたとき、ユニーの社内はどのように受け止めたのか。今後、ドンキHDとどのように店舗運営を進めていくのか。ユニーの佐古社長を直撃した。


ユニーの佐古則男社長はドンキホーテHDとの提携話を聞いたとき「正直驚いた」と振り返る(撮影:田所千代美)

――提携の話を聞いたときに佐古社長自身は、どう受け止めましたか。

まずこの6月にユニー・ファミマHDの郄柳社長から、GMSのこれからを考えたときに、いろいろな企業と組むということを選択すべきではないかという提案があった。結果的に同業のドンキになったと聞いたときは、正直驚いた。私やユニーの社内が考えているよりも、親会社や投資家、お客様の見る目のほうが厳しいなと感じた。

――その時点では、ユニーを改革できる手応えを感じていたのですか。

(2021年2月期を最終年度とする)中期経営計画では前半の2年間(2017年度と2018年度)は守りの経営、3年目、4年目は攻めの経営をしようという考え方だった。

ユニーとドンキは来店目的が違う


MEGAドン・キホーテは2017年12月1日時点で国内118店を構える(ドンキホーテHD提供)

前半の2年間は選択と集中という考え方でやっている。赤字部門の解消や将来リスクの視点から、子会社の譲渡、店舗の閉店、売り場の拡大と縮小をやってきた。具体的には、衣料品と住居関連品の売り場面積を縮小し、余剰部分に欠落カテゴリーである専門店を導入してきた。

後半の2年間は消費増税も控えており、正直、売上高や利益を伸ばしていくのは難しいという認識はあった。結果的にドンキと提携することになったので、どのように彼らと組めばウィン・ウィンの関係ができ、ユニーの成長につながるかなという視点に考え方を改めた。

――ユニーとドンキの違いをどう分析していますか。

衣料、住居関連品、食料品を扱うという意味では、ユニーもドンキも同じだ。いちばんの大きな違いは、来店動機が目的買いか否かだ。

ドンキは、ユニーと違って来店動機が目的買いではない。あそこへ行けば楽しい買い物ができるというアミューズメント感覚が非常に強い。私がよく言うのは、buy(バイ)とshopping(ショッピング)。バイは買い物、家事の一部でやらされ感がある。ところがドンキの買い物はショッピングなので楽しく買い物ができる。ここがわれわれの学ぶべきところだと思っている。ユニーは残念ながらショッピングじゃなくてバイに近づいている。


苦戦が続くユニーの衣料品コーナー。ドンキ流の改革はどう反映されるか(ユニー・ファミリーマートHD提供)

――ドンキのどのような点を取り入れたいと思っていますか。

ユニーは会社設立から47年、大企業病で、時代の変化の中で闘争心が少しうせてきている。彼らは28年という歴史の中で闘争心を維持している、こういう差があると思う。いま一度、商売や数字、売り場作りに対する執着心や、お客様ニーズのくみ上げといった原点に戻ってやっていくことが、ドンキと組む大きな意義になるだろう。

GMSの衣料、住居関連品は落ちてきているが、ドンキはここをまだ維持している。特に住居関連品はドンキに勉強しようということを、実は提携以前から言っていた。彼らは個店経営、現場主義と言っているが、店舗主体で商売ができる環境を進めるためにはどうするか、そのオペレーションの仕方を学び取ることは非常に重要だ。

ユニー社内は衝撃を受けた


ドンキの衣料品コーナーでは大きなPOPが目に付き、消費者の関心を引き付けている(ドンキホーテHD提供)

また、ユニーがやめてしまったカテゴリーでドンキは儲けている。たとえば携帯電話用アクセサリーの品ぞろえは圧倒的。利益の出る売り場のみを残してきたのがGMSなのに対し、ドンキは、世間がやらなくなったカテゴリーを、自分たちのものにして利益を上げていく。こういった徹底度も取り入れていきたい。

――2018年2月からユニーの6店舗をドンキとのコラボ店舗に転換していく計画ですが、どのように売り場を変えていくのでしょうか。

6店舗については、われわれの勉強の場にしたいと思っている。ユニーが強みとする生鮮の仕入れや売り場作りはユニーが行うが、基本的に店舗はドンキに見えると思う。表面的な部分だけでなく、内面的な部分からユニーの従業員が考えながらやっていく必要がある。7店舗目から新業態として、もっと飛躍できるような店舗にしていきたいと考えている。

――提携の発表時、ユニーの社内では動揺も広がったのでは?

正直言って、私が思っているより最初は衝撃を受けているようだった。やはり4割の資本が入るということは、ユニー従業員も取引先も消費者も重く受け止めていたようだ。

ただ、小売業は売り場を作り、多くのお客様にご来店いただくというのが一番の仕事。従業員にとって、客数が増え、売り上げが上がる。これをきちんと見せるということができれば、安心すると思う。


ユニーの大型GMS「アピタ」の店舗(ユニー・ファミリーマートHD提供)

今は不安を持っている従業員はかなり減ってきている。2018年の春にオープンする転換店舗を早く見せて、みんなの自信と希望につなげていきたいと思っている。

――新しい店舗に行く人員は公募したと聞きました。

応募が少ない場合は辞令を出して、任命するしかないなと思っていたのだが、83人と想像以上の人が手を挙げた。20〜30代の若い年代が多い。将来のGMSに危機感を抱いていて、どうせ改革するならば自分が先頭切ってやっていきたいという上昇意欲の強いメンバーが手を挙げている。彼らはユニーからの出向という形で行ってもらう。

信賞必罰の文化を持つドンキ


ドンキの店内で目立つ「驚安コーナー」。特売品が並んでいる(写真:ドンキホーテHD)

――ドンキ流の店舗運営ノウハウはどう身につけますか。

基本的には、ドンキから来る人の下にユニーの従業員がそれぞれ張り付き、フェース・トゥ・フェースでノウハウを入れてもらう。人数は店舗によって違うが、ドンキが10人だったら、15〜20人ぐらいがユニーの従業員というイメージだ。

――ドンキはユニーと違い、信賞必罰の文化を持っています。

ユニーから出向する社員については、われわれの給与体系をベースにしていきたい。ドンキと共同で店舗を運営することにより、労働の中身や責任は変わってくるだろう。ただ基本的な労働時間や給与・年収の問題、こういうものは担保したい。

ユニーの今の評価制度は、会社全体の実績が賞与に反映する仕組みになっており、これは今後見直す必要があると思っている。個人評価の比重を高めた給与体系、人事制度にしていくことを前提に、労働組合とも調整していきたいということは、ドンキと提携する前の昨年から考えていた。

――11月にはGMSからディスカウントストア(DS)に切り替える店舗の管理を行う子会社を設立しました。

ここまで来た以上、失敗させるわけにいかない。お互いに侃々諤々(かんかんがくがく)やるが、そこで決まらなきゃ、私やホールディングスが決めなければならないかもしれない。早く議論をして、早く決断していく。これがお互いのためになると思っている。

ユニー売却を議論したことはない


佐古則男(さこ・のりお)/1957年生まれ。明治大学農学部卒業。1980年ユニー入社、2008年から取締役。営業統括本部長などを経て、2013年からユニー社長(撮影:田所千代美)

――ドンキに転換した店舗の売り上げは、どれぐらいを見込んでいますか。

平均して転換前比で2〜3倍を計画している。ユニーでは絶対出せない数字だが、ドンキ側がこのぐらいはやりましょうと出してきている数字だ。

――今後の転換店舗数やペースをどう考えていますか。

低収益店や不振店を1番にやり、それから小型のGMSであるピアゴ、それから大型GMSであるアピタという順で波及させていきたい。なぜピアゴかというと、小商圏の中でコンビニやドラッグストア、スーパーのシェア争いが激しくなっているからだ。うまくいけば年間で最大20店舗ぐらいはやれると思う。

ただ、ドンキと組む店舗の形態はどんどん進化、変化していく。最初の6店舗を踏まえて「はい、次に展開する店舗形態はこう決まりました」として終わりではない。ユニーの既存店もドンキのいいところを取り入れていくので、2種類の店舗形態がどこかで融合してしまう可能性もある。

――ドンキからの出資比率が上がったり、ユニー自体を売却したりという可能性はないですか。

売却については正式に議論したことはない。私が投資家だったら、GMSセグメントが利益を稼いでいけば、4割の出資比率を何も5割、6割にしていく理由がなくなってしまう。ホールディングスとしてGMS とコンビニの2本柱がどうやって成長していくかということが重要だ。