「Thinkstock」より

写真拡大

 皆さんはSNSに疲れてはいませんか。実は、「SNS疲れ」は減っているという話があります。

 ジャストシステムの「SNS利用による疲れやストレス」に関する実態調査(2017年5月)によると、「今までSNSを利用していて『SNS疲れ』を感じたことはありますか?」という質問に対して、「頻繁にあった」は7.2%、「ときどきあった」は32.8%と約4割があると答えました。

 一方、「SNSを利用し始めた頃と比べた場合の、現在の『SNS疲れ』を感じる頻度についてあなたの状況に当てはまるものは」という質問に対しては、「かなり減ったと思う」(14.1%)、「やや減ったと思う」(45.5%)と約6割が「減った」と回答。「やや増えたと思う」(35.4%)、「かなり増えたと思う」(5.1%)の「増えた」(約4割)を大幅に上回りました。

 SNS疲れは減少傾向にあるようです。SNS疲れは少し前に流行した言葉ですが、なぜなのでしょうか。また、SNS疲れを感じている人たちはどのように使えばいいのでしょうか。

●なぜ人はSNSで疲れるのか?

 なぜ人はSNS疲れに陥るのでしょうか。

 Facebookでは、学校関係や仕事関係などの異なる人間関係とつながってしまうこと、友だち申請が断りづらいこと、その結果何を書いていいのかわからなくなること、「いいね!」のプレッシャーなどが影響しているでしょう。

 LINEでは、「既読」機能による返信をしなければというプレッシャー(既読スルー)、なかなか「既読」がつかないことによる心配(未読スルー)、止め時がわからずトークが長引くことによる疲れを感じる人が多いようです。

 Twitterでは、「いいね」へのプレッシャーやプライバシーのなさ、「いいね」やリツイート、フォローなどを求めてしまう気持ちなどが疲れにつながっています。

 Instagramでも「いいね」へのプレッシャー、お洒落で「いいね」がもらえるような投稿をしなければと背伸びしてしまう自分の気持ちにストレスを感じるようです。

 FacebookやLINEはリアルの人間関係と直結しているため、人間関係のストレスが影響して疲れることがあります。一方、TwitterやInstagramは匿名で複数アカウントの利用が可能であり、知り合いとつながらなくてもいいつながりの緩さが受けた理由のひとつでした。ところが周囲の反応や投稿内容が気になり、やはり疲れにつながってしまっているのです。

●「使い分け」でSNS疲れを回避

 同調査で「SNS疲れを感じることが減った」と回答したユーザー相手に理由について聞いたところ、「SNSに慣れて、自分なりの使い分けができるようになったから」(43.8%)、「SNSに慣れて、一つひとつのSNSに対して自分なりの使い方ができるようになったから」(38.4%)、「SNS上の『いいね』などのリアクションに対して過度な期待を持たないようになったから」(29.0%)などとなっていました。

 SNSの使い分けは、特に若い世代において進んでいます。たとえば10代は、TwitterやInstagramで複数アカウントを所持して使い分けています。TwitterやInstagramは匿名で複数アカウントを利用することができます。投稿内容やフォローする相手などを変えると、テーマや人間関係によってアカウントを使い分けられるというわけです。

 実際、スマートアンサーの調査(2016年9月)によると、10代男性の60.7%、10代女性の77.7%がTwitterのアカウントを複数保持していると回答。10代女性に限っては、3つのアカウントを持っている割合は21.2%、4つは12.9%、7つ以上も8.3%いました。

 ある大学で聞いたところ、その場にいた50名くらいの学生のTwitterの平均アカウント数は4つでした。ある学生は、「大学垢(アカウント)、趣味垢、裏垢、愚痴垢の4つ」と言っていました。大学用にまっさらのアカウントをつくり、そこで人間関係を構築したと言います。また別の学生は、「高校の友だち用のアカウントと、大学の友だち用のアカウントは別にある。高校までの友だちには、大学の話は興味がないと思うから。大学の友だちに過去のことも知られたくないし」と言っていました。

 このようにアカウントを使い分けることで、人間関係も切り分けることができます。それによって無用な気遣いが要らなくなるということなのです。ただし、それでもやはり「LINEで返事がないのにInstagramを使っていてイラッとした」などのトラブルはあるようです。

●うつ状態にならずSNSを使うコツ

 すでに述べてきたように、SNS疲れは減少傾向にあります。しかし、まだ4割の人たちが、「以前よりSNS疲れするようになった」と回答していることは見逃せないでしょう。

 たとえば、FacebookやInstagramは、いわゆる「リア充」写真を投稿する場として使われています。その結果、それらのSNSを見ることでSNS疲れとなり、果てはうつ状態になる人も少なくありません。

 たとえば英王立公衆衛生協会(RSPH)が17年5月に発表した報告書によると、Instagramは若者の心に与える不安感や孤独感、いじめ、外見的な劣等感などへの否定的な影響が他のSNSより強かったといいます。

 またFacebookも、知人の経済的・社会的な成功や幸せそうな恋愛・家庭生活といったものがユーザーの嫉妬心につながり、うつ状態になるきっかけとなるといいます。認知科学者のCharlotte Blease氏は、オンライン上の友だちが多く、友だちの投稿を読むのに長時間を費やし、頻繁に読み、自慢そうな投稿が多い場合はうつ状態につながりやすいと言っています。

 SNSは使わなければいけないものではありません。あくまでリアルの人間関係の補助的ツールなので、精神的負担になるようであれば使用をやめたり、利用時間を決めて使うなど、利用を控えるのがおすすめです。

 また、SNSはハレとケのうち、ハレのことを投稿する場ということは知っておくべきでしょう。SNSのみでコミュニケーションするのではなく、対面で話して気持ちや自分の状況を伝えたりすることで、SNS疲れはかなり防げるはずです。

 SNSの適切な利用の仕方はまだ確立していず、過渡期に当たります。今後も次々に新しいサービスが誕生し、利用することもあるでしょう。しかし何を利用する場合でも、ベースには人間関係があり、自分がどのように使いたいかという軸があります。自らを保って適切に利用できるようにしていくことが今の時代には求められているのです。
(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)