私が捜査の現場に立ったのは、ちょうど福建省からの密航者が日本中で暗躍していた時代だった。毎日のように事件が起きていた。写真は成田空港。

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私が捜査の現場に立ったのは、ちょうど福建省からの密航者が日本中で暗躍していた時代。毎日のように事件が起きていました。

国際捜査官と聞くと、新東京空港警察署(現在は成田空港警察署)に勤務しているのかとよく聞かれました。確かに空港警察署でも事件はあったが、密航者はどこから日本に上陸していたかも分からないのが大多数でした。

あの当時の密航者は身内から多額の借金を抱え、日本で摘発されるまで必死に働き、地下銀行で故郷に送金し、不法残留でありながらも、真面目にコツコツ働く人も沢山いたのだ。

私は千葉県警だったので千葉県内で発生した事件を担当するのですが、捜査の範囲は千葉県内だけじゃないんですよ、皆様。隣接する都県には必要に応じてあちこち捜査員は出没するのです。私服ですから皆様の目に届かないだけ。犯罪者には県境は関係ありませんから。

刑事と言うと、警察関係者を除くとその実態は知られていないし、皆様があえて知る必要もないと思います。だって内緒だもん。我々は捜査上知り得た事実を口にする事はありません。まだ解決していない事件は沢山ありますし、どこで誰が聞いているかも分かりません。口がゆるい人間は警察官になってはいけない。それは我々の掟です。

テレビや映画で事件ものの作品を見ると、もう我々にはパロディとしか思えなくて、基本的に突っ込みどころ満載なので見ません。だって2時間ドラマでも検事だの鑑識官だの…こんな風に時間通りに事件解決してたら苦労しません。警察24時間?これだって当たり障りのない場面を編集して放送しているだけ。いわゆる警察のPR活動の一環でっせ。全国各地の警察署には必ず警察官募集のポスターが掲載されていますが、実際辞める人も多いんです。

はっきり言って激務です。都道府県で違いがありますが、公安職は大変。よく公務員だから安定していて良いよね〜なんて言われましたが、命削ってますってば。あんまり実情を書いちゃうと元の職場からクレームが来ちゃうのでこの辺でやめておきますが、それでも警察官になってみたいという方は個別にメッセージ下さい。

あ、私が国際捜査官辞めた時に某出版社から暴露本の執筆依頼を受けましたが、私は書きませんよ。まだ当時の仲間が現場で頑張っていますし、彼らの足を引っ張るようなことは私はしません。捜査上知り得た秘密は墓場まで持ってく。このポリシーは揺るぎません。

それは司法通訳をするようになった今でも同じです。司法通訳の現場を知りたい方も個別に連絡下さい。こんな公の場では語れません。私の仕事がなくなります。さて、警察を辞めて、中国語通訳案内士になった私が感じたあらゆる矛盾の数々は、次回にしたいと思います。

■筆者プロフィール:YinYin
1964年生まれ。千葉県出身。北京留学後、日本の大手商社の中国駐在員として活躍。千葉県警初の国際捜査官(北京語・巡査部長採用)の経歴を持つ。さらに、中国語通訳案内士の資格を有し、司法通訳(警察・地検・地裁・入国管理局)、医療通訳など、マルチに活躍している。