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商品やサービスを購入する場合、所有権を得るために対価を支払うが、サブスクリプション方式は製品やサービスの利用権を得るために対価を支払う方法だ。企業は予測可能な収益流入が見込めるため、不確実性と危険性が大幅に軽減する。顧客も不要になれば解約することで、高額な対価を支払う必要がない。両者に利点が生まれる「サブスクリプション(購読)ビジネス」は急速に拡大しつつある。

このビジネスモデルは、雑誌や新聞の月間もしくは年間購読料をベースにしているが、IT業界周辺で注目され出したのは2000年初頭だ。2004年3月当時、Mercury CEOだったChristopher Lochhead氏は、一般的な従来のビジネスモデルを批判し、企業向けソリューションの収益モデルをサブスクリプションに移行すべきだと発言している。

2013年には、Adobe Systemsがビジネスの主力を現行のAdobe Creative Cloudへ移行することを表明し、Appleは音楽/動画配信サービスのApple Musicを2015年6月に開始した。ソフトウェアはサブスクリプションビジネスと親和性が高く、Microsoft Office 365など次々とサブスクリプション型に移行している。「この3〜4年でほとんどのITベンダーがサブスクリプション(ビジネス)を開始した」(Zuora Japan 代表取締役社長 桑野順一郎氏)。

他方でサブスクリプションビジネスはIT系ソフトウェアに留まらない。「Fordはカーシェアリングや駐車場サービスを提供し、サブスクリプション(ビジネス)での収益化を図っている」(桑野氏)など、非IT企業のサブスクリプション移行事例は枚挙に暇がない。数例を挙げると、独Porscheは2,000ドル/月もしくは3,000ドル/月で車両登録から保険や税金、メンテナンスなどのパッケージ化した「Porsche Passport」を2017年11月から提供を開始した。米カルフォルニア州でフライトサービスを提供するSurf AIRや、フランスの都市間高速鉄道TGV、有名なギターを販売するGibson。国内ではコマツやリコー、東芝、横河電機などがサブスクリプションビジネスを採用し、収益化を実現している。

サブスクリプションビジネスは、顧客獲得コストの削減や顧客満足度の向上、契約者の属性などを元にした各種マーケティングも容易になるなど利点は多い。だが、一方では製品ならライフサイクル管理を厳格化が必要となり、PaaS的なサービスならばUIの改良1つ取っても、利用者が投げ掛ける質問に答える準備に備えなければならない。このように顧客サポートの負荷が発生するのも事実である。だが、ラーメンや洋服、非常食までがサブスクリプション化している現状を鑑みれば、ERP(統合管理)やCRM(個客管理)といった過去のビジネスモデルが旧態依然のものなのか、ご理解できるだろう。

阿久津良和(Cactus)